ザ・クインテッセンス2021年5月号
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55the Quintessence. Vol.40 No.5/2021—1119⁃補綴装置を装着している者の割合⁃さまざまな形態の下顎顎堤ような難症例には,ティッシュコンディショナーによるダイナミック印象を応用した軟質リライン義歯の応用が有効である2,3. また,義歯の対象者の多くは高齢者であるが,一般的に高齢者は適応能力が低下している.とくに要介護の高齢者では,その傾向が顕著である.義歯に関しても同様で,新しい義歯に慣れるのに時間を要したり,学問的に正しく製作された義歯を装着しても慣れることなく使用されないケースも高い頻度で見受けられる.義歯が患者に受け入れられるには性格など多くの因子が絡んでいるが4,義歯への順応性つまり「義歯への慣れ」5が大きく影響すると考えられる.つまり,義歯の形態をあまり変化させることなく,慣れている現義歯をできるだけ理想的な形態に近づける術式が現実的であると思われる. 具体的な処置としては,現義歯に対するリリーフや咬合面再形成に加えリラインが挙げられる.もちろん,修理や調整で対応できない咬合関係や形態を有する義歯には,再製が必要である.また,在宅高齢者も増加しており,処置を行う環境を考慮すれば,新義歯製作よりもリラインはより確実に行うことができる.図1 8020達成者は増加しているが,依然,多くの高齢者が義歯を装着している.図2a 顎堤は高く,不動粘膜に覆われている.図2b 顎堤は高度に吸収し,大部分は可動粘膜に覆われている.義歯の装着には不利な顎堤である.最近の義歯症例はこのような「難症例」が増えている.50403020100割合(%)年齢(平成28年歯科疾患実態調査よりデータを引用し,作成)15~1920~2425~2930~3435~3940~4445~4950~5455~5960~6465~6970~7475~7980~8485~ブリッジ部分床義歯全部床義歯インプラント

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