ザ・クインテッセンス2021年5月号
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79the Quintessence. Vol.40 No.5/2021—1143図1 タッピング運動は,歯科補綴専門用語集1において2つの定義で説明されている.はじめに 前回(第2回)では,多くのエビデンスにサポートされた“中心位を基準とした咬合挙上法”を紹介した.本稿(第3回)では,中心位への誘導が困難な症例でも適用可能な“タッピング運動を基準とした咬合挙上法”と,より簡便で日常臨床に応用しやすい“咬頭嵌合位を基準とした咬合挙上法”について解説する(表1).タッピング運動の定義定義①:開口量の少ない反復的な習慣性開閉口運動臨床的には,咬頭嵌合位の歯の接触部位や早期接触部位の検出,顎運動経路の検査,診断に利用される.タッピング運動の範囲内では,下顎頭はほぼ移動しない.A:咬頭嵌合位.B:タッピング運動での開口量.C:タッピング運動の範囲を逸脱した大きな開口量定義②:ゴシックアーチ描記板状に記録される複数の点(タッピングポイント)を記録するための下顎反復小開閉口運動TPTP下顎反復小開閉口運動は,歯や顎関節に依存しない運動で,水平的顎間関係の決定や下顎位の診断に用いられる.D,E:ゴシックアーチトレーサー上に印記されたタッピングポイント(TP).F,G:アンテリアジグ上に印記されたタッピングポイント(TP)AAABBCCBCDEFG

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