ザ・クインテッセンス2021年6月号
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73the Quintessence. Vol.40 No.6/2021—14271.歯槽堤保存術における術式決定のためのディシジョンツリー Jungらは,審美領域における歯槽堤保存術において,抜歯対象歯周囲の硬軟組織が受けているダメージの度合いに応じて,抜歯窩の封鎖にコラーゲン製材(または自己組織)を用いたディシジョンツリーを提唱している1(図1,表1).ここで用いられているコラーゲンマトリックス(Mucograft)は,前編で述べた考えに基づきコラーゲンメンブレン(Bio-Gideなど)で代用可能であると考えている3〜5.また,この代用を行うことで,このディシジョンツリーは(適応外使用とはなるが)本邦における国内承認材料を用いてすべて対応可能となる.したがって,これはわれわれの日常臨床において意思決定する際 歯槽堤保存術(alveolar ridge preservation:ARP)とは,「抜歯後の変化として生じる歯槽堤の硬軟組織の吸収にともなう体積の減少を抑制する処置」のことを指し,このなかには骨補填材を抜歯窩に填入する処置を指すソケットグラフト(socket graft)や,吸収した抜歯窩壁の増生術(ridge augmentation of extraction sockets)などのより細分化された語句が含まれるが,本稿においてはこれらをまとめて歯槽堤保存術という語句に統一している.語句補足説明(前編より再掲)即時あるいは抜歯後2か月以内にインプラントの埋入が可能かYESNO軟組織コンディションの改善が必要か?抜歯窩の骨欠損のサイズは?NO自然治癒血餅のみ0~8週解説はP.74YESソフトティッシュプリザベーション移植材+自己組織(CTG/FGG)6~8週解説はP.74~大きい(50%以上)ハードティッシュプリザベーション(GBR)移植材+コラーゲンメンブレン+ピン6か月以上後解説はP.76小さい(50%未満)ハード&ソフトティッシュプリザベーション(ソケットシールテクニック)移植材+自己組織(CTG/FGG)またはコラーゲンマトリックス4~6か月後解説はP.76使用するテクニックインプラントの埋入時期使用する材料図1 歯槽堤保存術の術式選択に関するディシジョンツリー(参考文献1より引用・改変)

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