ザ・クインテッセンス2021年8月号
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補綴歯科治療における咬合のメインテナンスどこを見る?36the Quintessence. Vol.40 No.8/2021—1918Where to See and How to Evaluate Occlusion in Maintenance Periodキーワード:咬合接触,補綴歯科治療,顎関節症,咬合のメインテナンス*1日本大学松戸歯学部クラウンブリッジ補綴学講座連絡先:〒271‐8587 千葉県松戸市栄町西2‐870‐1*2東京都開業 上北沢歯科連絡先:〒156‐0057 東京都世田谷区上北沢3‐17‐6‐2F小見山 道*1/行田克則*2Osamu Komiyama, Yoshinori Nameta特 集 1はじめに 補綴歯科治療のメインテナンスは,補綴装置が長期的かつ良好に顎口腔機能を営んで維持されるように,定期的に実施していくことが重要である.したがって,補綴装置や支台歯,歯周組織,歯列,咬合関係などに生じる経年変化に対応して,機能や形態に異常がないかを検査する必要がある. また,術後のメインテナンスにおけるホームケアと,定期的なリコール時のプロフェッショナルケアの両者の協力による補綴装置の維持が重要であることは,すでに報告されている. 実際の臨床でのメインテナンスは,基本的に歯周治療のメインテナンスに準じる方式で行い,補綴装置の装着部位はもちろんのこと,その装着による影響は口腔内全体に及ぶことを鑑みて,口腔全体を見ることが必要である.しかしながら,そのなかでも咬合に関するメインテナンスの記述はあまり目にすることが少ない.せっかく全顎の補綴歯科治療を行ったにもかかわらず,咬合面の一部破折などが発生する例は枚挙にいとまがないが,これを予防するためには,やはりメインテナンス時の咬合の検査が必要であろう(図A~C). 本稿では,咬合のチェックを中心とした補綴歯科治療のメインテナンスについて報告する.とくに,臨床において適切な精度をもち,診療時間にそれほどインパクトは与えない即時性と,誰とでも共有できる可視性,さらにメインテナンスにおいて経過を観察するための保存性に重点をおいて解説したい.

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