ザ・クインテッセンス2021年8月号
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補綴歯科治療後の咬合のメインテナンスでは,どこを見ればよいのだろうか? Q37the Quintessence. Vol.40 No.8/2021—19191.補綴歯科治療の咬合のメインテナンスとは 補綴歯科治療後,リコール,メインテナンスを行っている最中に,咬合に介入が必要となるシチュエーションとしては,①歯科医師みずからが装着した補綴装置の咬合接触が,変化していることに気がつく場合,②患者が咬合の違和感を訴えたことにより,歯科医師が咬合接触の変化に気がつく場合,の2つに大別できると考える. 咬合の検査というと,咬頭嵌合位あるいは中心咬合位における咬合接触の検査が思い浮かぶが,その場合でも咬合紙や感圧シート,シリコーン検査材と,使用する材料は多様である.さらに高度な咬合検査となると下顎運動を三次元的に計測し,咬合器に付着するような内容まで可能である.これらのなかで,補綴歯科治療後のメインテナンス期間において,咬合のチェックをするうえで,どこに着目して,どのように検査し,何を行えばよいのであろうか. リコール時にルーティンで行う咬合のチェックは,まずは中心咬合位(咬頭嵌合位)での咬合接触点の変化である.補綴装置を装着した時点では十分な咬合接触を点接触で与えているはずであるが,後述する筆者(行田)の症例のように,著しい咬耗により,どんどん面接触となり,咬合接触面積が増えてくると,これは補綴装置破折の予兆と考えるべきである.  また,そのような咬耗や,下顎位の変化,下顎運動の変化によって補綴装置装着時に与えた咬合様式が変化していないかを確認するべきである.すなわ図A~C 装着後5年で₆遠心頬側咬頭のポーセレンがチッピングにより小さく破折した(青丸部).どのような補綴装置を用いた審美回復でも,咬合面の破折の問題はつきまとう.咬合のメインテナンスをする際には,何の検査を行い,どこを見るべきだろうか?ABC

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