ザ・クインテッセンス2021年8月号
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63the Quintessence. Vol.40 No.8/2021—1945視える!をアップグレードさせる“3大勘所”それはズバリ,「よく『視える』ことで治療は必ずうまくなる!」ということです. この場合の「視える」とは,「物体を拡大して見る」だけではなく,「視点を1点に集中させることができる」ことも意味し,平たくいうと「障害物がなく,大きく視える状態」を指します.もし,すべての歯を上顎前歯の唇側面のような感覚で支台歯形成できるとすれば,これまでの方法より格段にうまく治療ができると思います.100%の実現が無理であったとしても,それに近い視やすい状況をつくり出すことで,治療をシンプルにし,臨床技術をアップグレードさせようというのが,筆者らの推奨する「視える化」の趣旨です. では,どのような練習をして,どのようなことを意識すればアップグレードされた臨床技術が身につくのでしょうか? その勘所は,①マイクロスコープの導入:拡大視野下の緻密な治療②診療姿勢(ポジショニング)のマニュアル化:「視える」範囲の拡大③鏡視法のマスター:「死角」への攻略法という3点になります(図1). では,①の勘所「マイクロスコープの導入」から話を進めていきましょう.図1 高拡大視野下での処置により,精密かつ正確で,侵襲の少ない治療術式の選択が可能となるが,単にマイクロスコープを導入するだけで,すぐにこれらが達成されるというわけではない.そのためにはまず適切な診療姿勢のバリエーションを体得することにはじまり,さらには鏡視法により口腔内での死角をなくし,よりよく「視える」環境をマニュアル化することが診療技術向上の鍵となる.「視える」ことは,術者と患者に多大な利益をもたらす.「視える」とは,さらに高度で,繊細で,正確な治療術式を達成できることを,そして「視える」ことで診断の誤りやテクニカルエラーを未然に防げることも意味する.そして,なによりも術者にとって「視えない」ことはストレスで,「視える」ことは楽しい! したがって,より「視える」ためのテクニックを習得しない手はない(!?)マイクロスコープの導入診療姿勢(ポジショニング)のマニュアル化鏡視法のマスター

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