ザ・クインテッセンス2021年8月号
8/9

明日の臨床から使える!“歯周病の新分類”使い方ガイド連載187the Quintessence. Vol.40 No.8/2021—2069辻 翔太*1/阿部健一郎*2*1大阪府開業 歯周病治療専門クリニックSPIDO連絡先:〒530‐0012 大阪府大阪市北区芝田1‐4‐14‐3F*2香川県開業 阿部歯科医院連絡先:〒761‐0701 香川県木田郡三木町池戸2878新分類に関する歯肉退縮,NCCL,用語変更があった生物学的幅径第 回81.歯肉退縮1)歯周組織のフェノタイプ 歯肉・歯槽粘膜の形態異常と歯肉の退縮は,多くの患者に認められる. 平均寿命が延びているなかで,多くの人びとにおいて歯肉退縮を起こした歯の本数が増え,根面のトラブルが増加している.したがって,これらのトラブルを解決する治療法の決定のためにも,歯肉・歯槽粘膜の解剖学的,形態学的な特徴や,歯肉退縮に由来する素因について,定義することは重要と考えられる(図1). 歯周組織の厚みは,歯肉退縮のリスクファクターの1つとして考えられている1.この歯周組織の厚みを表現する方法として,フェノタイプという定義を採用している.はじめに 本連載では,とくに重要だと考えられるディシジョンツリーをとおして,歯肉炎,歯周炎などの解説を行ってきた. 2018年に行われたAAP(米国歯周病学会)/EFP(ヨーロッパ歯周病連盟)のワークショップでは,それ以外にもさまざまなことについて,最新の知見より議論が行われた. 本稿では,歯肉退縮(歯肉のフェノタイプ,Carioの分類),NCCL(Noncarious Cervical Lesion:非う蝕性歯頸部歯質欠損),用語変更があった生物学的幅径について解説していきたい.

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る