ザ・クインテッセンス 2021年9月号
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the Quintessence. Vol.40 No.9/2021—2174Diagnostic and Therapeutic Decision Making in the Treatment of Caries Lesion38Hiroshi Miyashitaキーワード: う蝕病変,診断学,意思決定,ステップワイズ法 筆者が留学したイエテボリ大学診断学教室では,診断のステップを,以下の2つに分けて考えるというコンセプトがある.1つめのステップは「診断学上の意思決定」で,2つめのステップが「治療学上の意思決定」である(図1).忙しい日常臨床のなかでは,これらのステップを分けて考えるということをできていないことがあるかもしれない. なぜこのように2ステップで考えなくてはならないのか,という疑問を抱く読者もいるだろう.その背景として,疾患の診断が不確かな場合があること,そして現代社会の医療における患者因子の占める割合の増加が挙げられる.本稿では,このうち診断について解説する. 一般的に,術者側と患者側の治療に対する考え方にはどうしてもギャップが存在するが,それがあまりにも大きい場合には,対応に苦慮することもあるだろう.術者側からすると善いと思っての対応であったとしても,患者側はそれをオーバートリートメント(やり過ぎ)と感じていたり,その逆の場合もありえる.このような臨床現場での問題点に気づき始めた場合には,「診断学(図2)」を深く学ぶとス宮下裕志東京都開業 東京国際歯科 六本木連絡先:〒106‐0032 東京都港区六本木5‐13‐25‐2F臨床の迷いが減っていく!特 集 1う蝕病変における診断学・治療学上の意思決定はじめに

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