ザ・クインテッセンス 2021年9月号
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藤林晃一郎the Quintessence. Vol.40 No.9/2021—2196Approach to Gummy Smile60 ガミースマイル(gummy smile)とは,患者のスマイル時あるいは動的機能時に,上顎前歯の歯肉の露出量が多い状態のことを指す.患者自身がそれに気づきやすいこともあり,審美的改善を主訴に来院する患者も少なくない.その術前,術後の変化は顕著で,患者満足度の高い審美修復治療の1つといえる. 一方,審美歯科治療のゴールは,あくまで医学的なエビデンスに基づいて回復させる“機能”の延長線上にあると筆者は考える.機能の回復を無視して完成した“審美”によって,本来の機能である咀嚼や発音に問題が生じてしまえば本末転倒である.審美歯科治療とは“審美,機能,恒常性”がすべて満たされていることが必須である. そのためには,審美の原理原則を整理したうえで患者1人ひとりの個性を加味し,アプローチしていくことが重要となる.そして,そのゴールへとたどりつくためには,骨レベル,歯肉レベル,歯の形態および歯列の連続性と調和が不可欠である.なかでも,本稿で解説するガミースマイルでは,歯肉レベルを整えることがメインであり,歯肉切除,骨外科処置などの歯周外科処置が必要となる. 本稿では,ガミースマイルに対するアプローチとして,その診断のポイントから実際のテクニックまで3症例を提示して解説する.京都府開業 フジバヤシ歯科クリニック連絡先:〒606‐8411 京都府京都市左京区浄土寺東田町34‐1FKoichiro Fujibayashiキーワード: スマイルライン,ガミースマイル,歯肉弁根尖側移動術,骨外科処置,歯冠長延長術特 集 2ガミースマイルに対するアプローチ診断からテクニックの実際まではじめに

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