ザ・クインテッセンス 2021年9月号
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the Quintessence. Vol.40 No.9/2021—219761スマイルラインLow smile全体の20% スマイルラインを評価する方法として,Tjanら1は以下の3つに分類している(図1).・ Low smile:臨床的歯冠が75%以下の露出状態で,全体の20%を占める.・ Average smile:臨床的歯冠が75~100%の露出状態で,全体の69%を占める.・ High smile:臨床的歯冠が100%露出し,歯肉も露出している状態で,全体のおよそ11%を占める. いくつか報告2があるが,約80%以上がaverage smileまたはhigh smileとされる.また,“感じのよいスマイル”は,“上顎の歯が完全に露出し,約1mm程度歯肉が見えるもの”と定義されている3.患者のスマイル時の歯肉露出が3mm以上の場合はガミースマイルとなり,患者がその改善を希望すれば歯周形成外科や矯正治療の対象となる. しかし,ガミースマイルといっても,歯肉増殖,受動的萌出不全,上顎骨歯槽突起の挺出,上顎骨の垂直的な過成長,上唇の幅の異常,上唇可動量の過剰といった,いくつかの要因が複合して成立していることに留意しなければならない.さらに,その治出)萌出)的萌出)図1 スマイルライン(スマイル時の歯肉,歯の見え方).Tjanら1により,low smile,average smile,high smileの3つに分類された.また,スマイル時の歯肉露出が3mm以上の場合をガミースマイルと呼ぶ.Average smile療法は多く報告されている.上唇可動量の過剰が認められる場合は,口唇移動術,口唇筋の分離などを行う.上顎骨歯槽突起の挺出に対しては,矯正的な圧下が適応となり,上顎骨の垂直的な過成長に対しては,外科的な矯正治療が第一選択となる.口唇の幅が異常に短い場合,歯肉露出を呈するため,口唇移動術が選択される.そして,受動的萌出不全を認める場合では歯周形成外科が第一選択となる. Spearは,ガミースマイルの鑑別診断として,・ Short upper lip(鼻から上唇までが短い)・ Hyper-mobile lip(上唇が上がってしまう人)・ Vertical maxillary excess(上顎骨の垂直的成長)・ Anterior over eruption(前歯の骨が出ている)・ Wear and compensatory eruption(咬耗による挺・ Altered active eruption(歯が出きっていない能動的・Alteredpassiveeruption(歯肉が上にいかない受動 以上7つの項目を挙げている.なお,本稿では,alteredpassiveeruption(歯肉が上にいかない受動的萌出)に焦点を当てて解説する.全体の69%High smile全体の11%1.ガミースマイルの特徴と診断

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