ザ・クインテッセンス 2021年12月号
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(anatomical apical foramen)(major diameter)(cemento-dentinal junction)the Quintessence. Vol.40 No.12/2021—293141ろである8,9.つまり,柔軟性が優れたNi-Tiロータリーファイルを使用することで,根管の解剖学的形態を損なうことなく,比較的容易に根尖部の拡大号数を上げることができるようになったといえる.このことは,非外科的歯内療法によって根尖性歯周炎を治癒させるためには大きなアドバンテージである. 1988年に,WaliaによりNi-Tiロータリーファイルが歯科に紹介された10.それ以来,Ni-Ti合金やファイルのデザインの研究が進み,われわれは初期のNi-Tiロータリーファイルと比較して,飛躍的に柔軟性を増した高性能なNi-Tiロータリーファイルを日常臨床に使用し,短時間でよりクオリティの高い根管拡大形成ができるようになった. しかし,いかに優れた柔軟性を有したNi-Tiロータリーファイルを使用したとしても,作業終末位の設定(apical vertical limit)は術者が任意に行わなければならない.作業終末位を適切に設定することは,治療の予後にも大きくかかわるところである. このようなことを背景に,Ni-Tiロータリーファイルを使用した根管拡大形成を行うことが主流となりつつある今だからこそ,「作業終末位の決定」にフォーカスを絞り,多角的に再検証していきたい.図1 作業終末位の選択肢は,①解剖学的根尖(anatomical apex),②エックス線的根尖(radiographic apex),③解剖学的根尖孔(anatomical apical foramen),④セメント象牙境(CDJ:cemento-dentinal junction),⑤根尖最狭窄部位(apical constriction).解剖学的根尖(anatomical apex)≒エックス線的根尖(radiographic apex)解剖学的根尖孔セメント象牙境根尖最狭窄部位(apical constriction)(minor diameter)作業終末位の選択肢のなかで,もっとも望ましいものは?

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