ザ・クインテッセンス 2022年5月号_2
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Movie樋口琢善*1/芳賀 剛*2*1福岡県開業 ひぐちファミリー歯科連絡先:〒820‐0066 福岡県飯塚市幸袋140‐1*2福岡県開業 学研都市歯科・矯正歯科連絡先:〒808‐0131 福岡県北九州市若松区塩屋3‐3‐5Takuyoshi Higuchi, Takeshi Hagaキーワード: PRGF,歯周組織再生療法,PRP,血小板Periodontal Regeneration Therapy with PRGF68P72(使い方:P7参照)スマホで動画が見られる!the Quintessence. Vol.41 No.5/2022—1044 歯周組織再生療法は,原理原則を守れば予知性の高い治療方法である.その変遷は,骨移植,GTRを経て,昨今ではエムドゲインをはじめとする成長因子が主役となってきた. その歯周組織再生療法を成功させるための鍵が“血餅”であることは周知の事実だと思われる.また,細胞と足場,シグナル因子,いわゆる“tissue engineering based approach(組織医工学に基づいた対応)”の考えを順守し,治療の戦略を立てることも重要である.なかでも筆者らが注目しているのは,“シグナル因子”である.PRGF(PRGFの概要については前編を参照にされたい)が活性化されると,PDGFやTGF-β1,FGF,VEGF,bone sialoproteinなどのシグナル因子(以下,成長因子)が血小板から放出される.その結果,血管新生の増進,痛みと炎症の軽減,細胞遊走を刺激,増殖因子の分泌の促進,分芽増殖の増大などが起こるとされている. さらに,PRGFは白血球を含まないシステムとなっている.白血球を含むと骨再生に抑制的に働くサイトカインや細胞破壊が生じる酵素などを生成するリスクを増加させると報告されている1. Solakogluら2が,PRGFと骨補填材を併用した歯周組織再生療法を行い,その組織切片を観察したところ,歯周病によりできた欠損部に,破壊された組織を正常な歯周組織に変化させようとしている作用が確認されたと報告していることからも,PRGFの優位性が見て取れる. 前編では,PRGFを用いたインプラント治療のためのGBRに焦点を当てて解説したが,後編の本稿では,PRGFを用いた“歯周組織再生療法”に焦点を当てて解説していきたい.はじめにPRGFを用いた歯周組織再生療法特 集 2多増殖因子血漿(PRGF)を活用した治療方法後編再生療法の新しい一手

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