ザ・クインテッセンス 2022年6月号
1/11

 適切に撮影されたデンタルエックス線写真の画像(以下,デンタル)からは,多くの貴重な情報が得られる.しかし,撮影のしかたや診る人によって1枚のデンタルから得られる情報量に違いが生じることも否めない.患者に被曝というデメリットを与える以上,それを上回るメリットを引き出すことは医療従事者としての使命である.歯内療法を成功に導く要素は多くあるが1〜3,なかでも的確な診断が大きなウェイトを占めると筆者は考えている. 診断を誤れば,術者がどんなに情熱を注いだとしても,患者の満足を得られずに徒労に終わってしまう.診断学の重要性は,筆者の師である故・下川公一先生がつねづね言われていた,「診断なくして治療なし」の一言に尽きる. 今回は,歯内療法を行う際のデンタル読影のポイントや4,5,それを補うためのCBCT(以下,CT)の有効性などを解説してみたい.臨床において画像診断を最大限に活かせるヒントとなれば幸いである.倉富 覚、Clinical Tips for Radiological Diagnosis in Endodontic Therapy:Breaking through A Conventional Dental Radiograph’s Limit40福岡県開業 くらとみ歯科クリニック連絡先:〒800‐0207 福岡県北九州市小倉南区沼緑町1‐20‐15Satoshi Kuratomiキーワード: 歯内療法,診断,デンタルエックス線写真,CBCTthe Quintessence. Vol.41 No.6/2022—1258デンタルエックス線写真の限界を突破するために特 集 1CBCTを用いた歯内療法における画像診断の勘所はじめに ─診断なくして治療なし─

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る