ザ・クインテッセンス 2022年6月号
3/11

 昨今,「人生100年時代」という言葉をあらゆる分野で耳にする.厚生労働省は平成29年9月より人生100年時代構想会議を設置し,さまざまな年代で活躍できる社会,安心して暮らせる社会をつくることを目標に掲げている1. また,2007年生まれの日本人が107歳まで生きる確率は50%であると推測されており2,永久歯列完成期が12~15歳くらいであることを考えると,われわれ歯科医師は約90年先を見越した歯科治療を考慮しなければならないことになる.これにより,患者のその後の人生を見据えた歯科治療が必要となるだろう. Kaoら3は歯科治療の予後を左右するもっとも重要な因子として年齢を挙げている.つまり,20歳の患者と80歳の患者に同じ治療を施した場合,余命が短いほど予知性はより高くなる. そのため,患者の人生における時間軸のなかで,どのタイミングで治療介入をするべきかが重要となり,それぞれのライフステージで優先すべきポイントは変わってくるはずである. そこで本稿では,地域のGP(一般開業医)の立場から,ライフステージが異なる患者それぞれへの対応の実際について,症例とともに解説していく.Takeshi Kamiyamaキーワード: ライフステージ,バイオロジカルコスト,人生100年時代,天然歯列の保全Comprehensive Dental Practice Considering Patients' Life Stages:From the Treatment Plan to Maintenance54神山剛史埼玉県開業 神山歯科医院連絡先:〒369‐1105 埼玉県深谷市本田2578the Quintessence. Vol.41 No.6/2022—1272はじめに特 集 2   の を患者ライフステージ考慮した包括的歯科臨床治療プランニングからその後のメインテナンスまでを考える

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る