ザ・クインテッセンス 2022年6月号
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 当院は開業して40余年になりますが,筆者は一貫して予防矯正の確立を目指してきました.図1は当院の治療計画説明書です.う蝕,歯周疾患そして歯列咬合の状態に加えて,不良習癖と口の機能の診査項目を設けています.これらのうち,「歯列咬合の状態」「口呼吸の有無」そして「口腔機能の状態」は呼吸と関連がある項目です.読者もご存知のように,口呼吸と口唇閉鎖の状態は呼吸と直接的に関連しています.また,嚥下機能,発音機能の状態は直接的ではありませんが,呼吸機能と深い関連がある項目です. このように,小児歯科医療では,口の機能や歯列咬合の診査で呼吸を診る機会が多くあります.そのため,筆者も継続的に呼吸を診てきましたが,最近は「呼吸の質の低下」を示す小児が増加していると感じています.以前もアレルギー性鼻炎や花粉症による鼻腔通気障害を有する小児はいましたが,今では,それらの症状に悩んでいる小児が日常的にみられるようになりました. 歯科領域で「口呼吸」と呼んでいる病態は,耳鼻科領域では通常「鼻腔閉塞」と呼ばれていますが,厳密には口呼吸と鼻腔閉塞は異なります.口呼吸のなかShinichi Aritaキーワード:呼吸,口呼吸,小児歯科,呼吸機能障害Diagnostic Methods and Measures for Respiratory Dysfunction in Pediatric Dentistry82有田信一長崎県開業 ありた小児歯科・矯正歯科連絡先:〒852‐8016 長崎県長崎市宝栄町14‐8the Quintessence. Vol.41 No.6/2022—1300特 集 3診断方法や対応の実際まではじめに小児の「呼吸」を歯科でどう診るか

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