ザ・クインテッセンス 2022年6月号
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 このように,口呼吸と鼻腔閉塞は歯科領域にもさまざまな影響を与えることが知られています.とくに,小児歯科領域では口の機能や歯列咬合の診査のなかで呼吸を診る機会が多く,筆者は「呼吸に問題がある小児」に対する対応の在り方を考えながら,臨床を行ってきました. そこで,本稿では,当院で実施している「呼吸の診査方法」や「小児の呼吸への対応」を紹介し,そして,それらの取り組みを通じて,「歯科における呼吸の重要性」をお伝えしたいと思います.噛み合わせの状態●正中のズレ ( 有 ・ 無 )●異常なし●要観察… ○下顎前突 ○上顎前突 ○開咬( )前歯・奥歯の上下がくっつかない ( ) ○叢生(乱ぐい歯) ○過蓋咬合 (深い噛み合わせ) ○交叉咬合( ) ( ) ○切端咬合 ○その他 ( )上下の奥歯の噛み合わせが横にずれている ( )顎関節症状●異常なし●要観察…痛み( 有 ・ 無 ) 雑音( 有 ・ 無 ) 開口障害 ( 有 ・ 無 ) ( )不良習癖1. 指しゃぶり2. 唇を噛む癖3. 爪を噛む癖4. 口呼吸(多い・少ない)5. 歯ぎしり 歯のすりへり( 有 ・ 無 )6. その他口腔機能1. 唇の閉鎖の状態  (良好・不良)2. のみ込みの状態  (良好・不良)3. 発音  (良好・不良)4. 舌の動き  (良好・不良)5. 食事中水分摂取  (有・無)6. その他図1 当院の治療計画説明書では,う蝕や歯周病(歯肉炎)などとともに,歯列咬合の状態,口呼吸の状況,口腔機能の状態をチェックしているが,とくに緑色で色づけした項目は呼吸機能と関連が深い項目である.これらの項目を評価する場合には,同時に呼吸機能の評価が必要である.the Quintessence. Vol.41 No.6/2022—130183◆当院の治療計画説明書には,「鼻腔閉塞がない」か「軽度の鼻腔閉塞がある」状態が含まれるからです.口呼吸は口腔内の乾燥,舌の低位,軟口蓋と舌の閉鎖不全をともない,「舌の動きの機能不全」「味覚障害」「う蝕のリスクの増大」「歯肉炎リスクの増大」そして「顎顔面領域そして歯列咬合の発育不全」を引き起こすことが考えられます.一方,鼻腔閉塞は「口呼吸」と「咽頭閉塞」を引き起こすことが知られています.同時に,「いびき」の発生にも深くかかわっています.さらに,「閉塞性の無呼吸」に至ることもあります.=呼吸に関連する項目  〔       〕  〔       〕  〔       〕

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