ザ・クインテッセンス 2022年6月号
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原瀬忠広先生は,本稿ご校正中の2021年10月にご逝去されました.今回,ご遺族の許可を得て掲載させていただきます.編集部一同,心よりご冥福をお祈りいたします. 歯科医院にはさまざまな基礎疾患を有する患者が日常的に来院する.そのなかでも糖尿病を有する患者は近年増加の一途をたどっている.アジア人は糖尿病のリスクが高いため,現在日本では糖尿病患者約900万人と糖尿病予備軍1,100万人の,合わせて2,000万人の患者が存在するといわれ,増加傾向の顕著な疾患だ. 「寝ても疲れがとれない」「足がよくつる」「目がかすんで見えにくくなった」「何を食べても味がせず,美味しく食べられない」「口が渇いて,喉が渇く」「歯茎がよく腫れて,噛みにくくなった」などは,糖尿病や歯周病の典型的な症状である(図1). 糖尿病と歯周病はまったく病態の異なる疾患だが,その背後には予想もしなかった多くの類似点が潜んでいることがわかってきている.このような患者に対応するには,歯科医師も糖尿病の基本的な知識や内科的治療方針を理解し,糖尿病を歯科医療安全上の問題からも捉える必要がある(図2). そこで本稿では,歯科医院を受診される患者の糖尿病発症リスク軽減や糖尿病治療中断者への啓発など,糖尿病の重症化予防の一端を担うべき歯科の役割について述べる.Tadahiro Haraseキーワード: 糖尿病,歯周病,合併症,医科歯科連携Basic Knowledge for Diabetes Patients108原瀬忠広愛媛県開業 原瀬歯科医院連絡先:〒791‐8061 愛媛県松山市三津1‐3‐5the Quintessence. Vol.41 No.6/2022—1326特 集 4はじめにGPだからこそできる!糖尿病患者を歯科的に支えるための基礎知識

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