ザ・クインテッセンス 2022年6月号
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歯周治療の標準的な進め方1図1 日本歯周病学会の推奨する“歯周治療の標準的な進め方”1.新連載プロローグ岩野義弘東京都開業 岩野歯科クリニック連絡先:〒157‐0066 東京都世田谷区成城6‐9‐4‐2F134医療面接(初診)歯周病検査歯周病診断治療計画立案歯周基本治療プラークコントロール/スケーリング・ルートプレーニング/習癖の修正/抜歯/咬合調整/う蝕治療/暫間固定/歯周治療用装置など再評価検査歯周外科治療再評価検査口腔機能回復治療咬合治療/修復・補綴治療/矯正歯科治療/インプラント治療再評価検査治癒メインテナンスthe Quintessence. Vol.41 No.6/2022—1352病状安定サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)歯周治療を成功に導くエビデンスと臨床手技切らないペリオ,切るペリオを定義する連載にあたって 歯周病に悩む患者さんは多く,成人の約8割が罹患する国民病です.4mm以上の歯周ポケットを有する成人の割合も5割にのぼります.歯周病とりわけ歯肉炎と歯周炎は,歯周病原細菌の感染によって引き起こされる慢性炎症性疾患です.また,遺伝や全身疾患,歯列不正や不適合補綴装置,ブラキシズムなどの宿主因子,喫煙やストレス,ブラッシング習慣や食習慣などの環境因子がリスク因子となり,これらが複雑に絡み合って発症,進行する多因子性疾患という側面もあわせもちます. 歯周病に罹患すると,細菌感染にともなう炎症に加え,硬・軟組織の喪失,歯列不正,咬合不調和,審美障害などさまざまな不具合が生じます.そのような歯周病の治療を適切に行うためには,医療面接を経て,検査・診断・治療計画の立案からサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)に至る歯周治療の流れ(図1)に沿った,系統立てた考え方が必要になります.歯周病の治療には,このような系統的な考え方の下,適切に対応できる歯科医師の存在が求められます. そこで本連載では,歯周組織再生療法や露出歯根面被覆術などの歯周外科治療を”切るペリオ”,歯周外科治療以外の,医療面接,非外科的歯周治療を中心とした歯周基本治療,SPTなどを“切らないペリオ”と定義し,歯周治療の各工程ひとつひとつを毎回のテーマとして,それら“切らないペリオ,切るペリオ”をどのような目的でどのように行うのか,文献と症例の提示を基に紐解いていきたいと思います. 切らないペリオを適切に行うことによって,切るペリオが回避されるケースもありますし,切るペリオの成功の鍵を握るのもまた,切らないペリオです.連載のなかでは,両者の関係性についても言及していきたいと考えています.切らないペリオ,切るペリオ

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