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血清乳酸デヒドロゲナーゼ

【読み】
けっせいにゅうさんでひどろげなーぜ
【英語】
serum  lactate  dehydrogenase、LDH
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】 生体の解糖系内において、乳酸からピルビン酸への酸化過程でまず、Hをferricytochrome Cへ、次いでNADにわたす反応を触媒する酵素(lactic acid dehydrogenase)の総称である。
【意義】 各組織内に広く分布するが、特に肝、心、腎および筋肉内に多く、血清中には微量存在するにすぎない。したがって、これらの組織の破壊の程度に応じて血清中に逸脱するほか、悪性腫瘍や白血病でも上昇することが知られており、これらの酵素のアイソザイムの分画像から疾患や病態の特定ができる。
【適応疾患名】 急性・慢性肝炎、肝硬変および肝・胆道系癌、膵臓癌、大腸癌、心筋梗塞、うっ血性心不全、悪性貧血、溶血性貧血、白血病などのほか妊娠とか過激な運動でも上昇することが知られている。
【正常値】 200~400 IU/L/37℃
【評価】 急性肝炎では、GOTおよびGPTなどとともに初期から上昇するが、慢性肝炎および肝硬変では正常か軽度上昇にどとまる。肝癌では鋭敏に上昇するが、特に原発性に比し転移性肝癌に高値傾向が見られる。心筋梗塞ではCPKおよびGOTの上昇より遅れ、12~24時間後から上昇しはじめ、2~3日後でピークに達し、7~10日間高値が持続する。一般に本酵素活性値が上昇しても、これだけでは診断を特定することは困難で、ほかの検査値との関連とか臨床症状を考慮しなければならないが、LDHアイソザイムの検索は鑑別診断上有力な指標となる。
 注意事項として、赤血球中には血清中の約200倍ものLDHが存在するので、採血とか検査中の手技による誤差を招かないようにすることである。