MFS 2020年2月号(お試し版)
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■どのように検査を進め,診断をしたか:患部は,₇₅支台のフルカバレッジのブリッジが装着されていた.適合に問題はなかった(図1).₇₅に打診痛,触診による圧痛を認めず,₇頬側辺縁歯肉に図1a,b 初診時.正放線撮影(a)と偏近心撮影(b).修復物直下の中央から近心部に虫食い状の透過像を認める. 臨床経験年数  1999年朝日大学歯学部卒業,同年奈良県立医科大学口腔外科学講座,2007年黒瀬歯科クリニック開業.2016~2017年Penn Endo Program in Japan8期修了.日本口腔外科学会,日本歯科麻酔学会,日本歯内療法学会,Penn Endo Study Club in Japan所属. 診療方針  生涯にわたり健康な口腔内を維持したいという患者の願いに応え黒瀬尚利兵庫県開業 黒瀬歯科クリニック連絡先:〒669‐1528 兵庫県三田市駅前町1-38 JR三田駅NKビル5Fることを最大の目的とし,一口腔単位の総合的な治療を展開している.歯内療法を診療の根幹に位置づけ,「根尖性歯周炎の予防と治療」に精力的に取り組んでいる. 日々の臨床  診療内容別に診療するチェアと診療時間を決め,診療が煩雑にならないように工夫している.クリニック全体で1人ひとりの患者に効率的かつ質の高い歯科医療を提供できる環境を構築している.軽度の腫脹を認めた.プロービング検査で₇頬側中央に幅の狭いポケット6mmを認めた.他の部位はすべて3mmであった.この時点で考えられる病態として,垂直性歯根破折,穿孔,根分岐部病変,縁下う蝕が考えられる.デンタルエックス線撮影を行ったところ,中央から近心部の歯冠側1/3に虫キーワード:侵襲性歯頸部吸収,ICR(InvasiveCervicalResorption),根管治療,マイクロリーケージ患者の背景を踏まえて治療にこだわる若手Dr. にご登場いただく欄 日常臨床で行う治療の内訳15% 20%小児5%口腔外科補綴・修復矯正5%歯内療法歯周療法35%20%the Quintessence. Vol.39 No.2/2020—0489219219図1a図1b2020年2月初診時の状態診査・診断,治療計画侵襲性歯頸部吸収(ICR)ClassⅢの処置方針についての考察

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