萬人一語

エビデンスに弱い日本、コロナ禍で学ぶか

2022年4月号掲載

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2022年4月号掲載

エビデンスに弱い日本、コロナ禍で学ぶか

 4月に入ると、8年間以上中止されていた子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)接種の積極的呼びかけが再開される。2013年に定期接種が始まった直後、HPVワクチンに対してメディアが「反ワクチンキャンペーン」を実施し、厚生労働省が「積極的な接種勧奨」を差し控えることになった。その結果、自治体は対象者やその保護者に定期接種のお知らせを送らなくなったのだ。この約10年間で、世界的にはワクチンの接種が進み、先進国では子宮頸がんの発症率が激減した。一方日本は、毎年1万人以上が発症し、3,000人以上が死亡している。悔やまれる10年だと言われてもしかたがない。

 私自身は、信頼に値する学者の言葉に耳を傾け、何よりも「科学」を信頼する。ところが「学者」や「科学」が導き出す見解や情報より、出どころ不明な怪しい言葉に惹かれる人々は案外多い。ある調査によれば「日本は世界でもっとも科学に対する懐疑的な見方をもっている国、科学に対する知識の自信も各国より低い国」らしい。

 一方、新型コロナウイルス感染拡大で、「科学」に対して懐疑的な意識をもつ日本人の割合が初めて減少しているらしい。禍から学んだことは、まさか副反応ではないだろう。

 4月、歯科においても「診療報酬改定」が実施される。詳細な内容はまだ把握できていないが、疾患予防にも目を向けた改定になると伝え聞いている。う蝕経験歯数が少なく、歯周病を進行させなければ歯は長くもつ。だれもが経験上わかること、「科学」や「学者」の意見に頼ることもない。