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介護施設における新型コロナ感染への対応改善を要望

2020年6月号掲載

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介護施設における新型コロナ感染への対応改善を要望

全国老人保健施設協会

 4月21日(火)、公益社団法人全国老人保健施設協会(以下、全老健、東 憲太郎会長)は厚生労働省に対して、介護現場における新型コロナウイルス感染者の対応について改善を求める要望書を提出した。

 老健施設は要介護者の在宅支援・在宅復帰を目的としており、日常生活のケアに加えて、医学的管理の下における介護および機能訓練といった医療も提供している。そのため施設には医師が配置されているものの、要望書では「新型コロナウイルス感染による肺炎を治療する設備は整っていない」と説明。感染予防を講じるための衛生用品も不足しており、そうしたなかで陽性者のケアを続けることによる感染拡大のリスクについて強調した。

 厚生労働省は4月3日に発出した事務連絡「『新型コロナウイルス感染症の軽度者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について』等の周知について」において、施設利用者に新型コロナウイルス感染症の感染が判明した場合は、原則として入院措置を行う方針を示している。

 これに対し全老健は、千葉県の老健施設2施設を例に挙げ、入所者に多数の陽性者が出たにもかかわらず、病院へ入院できず入所を継続せざるを得ない現状を訴えた。また陽性者との濃厚接触などを理由に自宅待機となる職員が増えたことにより、人手不足が叫ばれる介護現場においては、残された職員たちの負担増加が深刻化している。

 こうした状況をふまえ、施設内の集団感染による介護現場の混乱を阻止するためにも、陽性と診断された入所者は優先的かつ速やかに病院へ入院できるよう、各都道府県への対応の強化を求めた。

 昨今、民間においても医療現場などへの支援が活発となっている。しかし感染リスクが高く、重症化しやすい要介護高齢者が多数入所している介護現場も早急な対策を必要としている。