新聞クイント2010年3月(お試し版)
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第171号 2010年3月10日(水)3今月のニュース今月のニュース 保険の窓第43回横浜デンタルショー開催2日間で8,379名が来場し盛況となる特別講演に大久保日歯会長を招聘社 会 1月10日(日)、11日(月)の両日、パシフィコ横浜(神奈川県)において、第43回横浜デンタルショー(第43回横浜デンタルショー運営委員会主催、藤井達士大会長)が「Yokohamaから未来へ―口からはじまる健康づくり―」をテーマに開催され、2日間で8,379名(歯科医師3,606名、歯科技工士945 名、歯科衛生士1,370名、歯科助手242名、歯科学生96名、商工業者1,376名、同伴744名)が来場した。 146社の歯科関係業者が出展した会場では、各出展業者・神奈川県歯科技工士会・神奈川県歯科衛生士会によるテーブルクリニックが14題、神奈川県歯科技工士会主催の技工セミナーでは全10題が行われ、どの会場も熱気にあふれていた。 また、歯科の潮流である歯科用X線CT装置、CAD/CAMのブースには依然として多くの来場者が詰めかけ、関心度の高さがうかがえた。そのほか、歯ブラシや歯磨剤などの口腔ケア関連用品のブースでは、歯科衛生士や歯科助手が説明員に積極的に質問を投げかけたり、使い勝手を確認する姿も多く見られた。 なお、11日には、横浜市歯科医師会主催による特別講演「食べる、話す、呼吸する~『生きる力』を支援するための多職種連携を目指して~」(角町正勝氏、日本歯科医師会理事)、「生きがいを支える歯科保健・医療」(大久保満男氏、日本歯科医師会会長)が催され、盛況を博した。多くの参加者が詰めかけ、賑わいを見せた会場。第6回医歯大シンポジウム開催歯科医療機器の早期導入を目指すための方策が模索される社 会 1月18日(月)、東京医科歯科大学(大山喬史学長)において、第6回歯科器材・薬剤開発センターシンポジウム(東京医科歯科大学歯科器材・薬剤開発センター、東京医科歯科大学大学院教育改革支援プログラム「大学院から医療現場への橋渡し研究者教育」運営委員会主催)が「歯科器材の開発・改良における諸問題― 『患者さんにより良い歯科医療を』の視点から、あらためて考える―」をテーマに開催された。 会場では、まず関野秀人氏(厚労省医薬食品局審査管理課審査管理室室長)が「医療機器の現状と課題」と題するテーマで講演を行った。関野氏は、医療機器の承認時期および申請時期などの遅れや、現場への提供後の安全確保など諸課題を挙げた。その解決策として、2008年12月に厚労省より策定された「医療機器の審査迅速化アクションプログラム」、同年4月に新設された「高度医療評価制度」、2006年10月から開催されている「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」を概説し、臨産学官の連携の必要性を強調した。 引き続き、園田秀一氏(東京医科歯科大学歯科器材・薬剤開発センター副センター長)が「歯科器材の臨床導入迅速化への現状・課題・期待~事前アンケートから~」と題するテーマで登壇。事前アンケートを供覧し、現在の歯科医療機器の承認申請や審査の諸問題に対して、関野氏と今回参加した田村敦史氏(医薬品医療機器総合機構医療機器審査第二部部長)に返答を求めた。 その後のディスカッションでは申請側である歯科企業・関連団体と審査側(厚労省、医薬品医療機器総合機構)との意見交換が行われ、クラス分類のあいまいな一般的名称の見直しや追加のほか、歯科用インプラント承認基準の運用など、歯科医療機器の早期導入のための今後の方策が模索された。会場は歯科企業の担当者も多く詰めかけた。 1月23日(土)、ベルサール神田(東京都)において、第8回モリタ歯科技工フォーラム 2010 TOKYO(株式会社モリタ主催、森田晴夫代表取締役社長)が開催された。本年も800名あまりを集める盛況となった。 会場ではまず、「第4回 新人発掘プロジェクト『技工登竜門』」受賞者のプレゼンテーションおよび授賞式が行われた。今回は、五十嵐 智氏(プライム・テクノロジー・スタジオ)と保坂達則氏(ルネス青山デンタルクリニック)がそれぞれ優秀賞を受賞。各自受賞プレゼンテーションを行ったうえで賞状と記念品が授与された。 このほか、「修復治療における補綴物形態のあり方~ラボが押さえておくべきチェアサイドの情報~」(西村好美氏、デンタルクリエーションアート)、「『義歯の形を設計し作りこむ』~クリニックとラボ双方での歯科技工士の可能性~」(中込敏夫氏、JADE)、「成功できるインプラント臨床技工私が27年間上部構造を作り続けて得た秘訣~これからインプラント技工を目指すテクニシャンへ~」(鶴巻春三氏、マスターズ)、「天然歯の質感と表面性状の再現~変化に富んだ天然歯の表情に対応するための方法~」(湯淺直人氏、近藤歯科)、「デジタル時代の歯科技工所経営~技工所活性化につながる新たな提案~」(松浦賢治氏、ケン.デンタリックス)、そして最後に「歯科技工の基礎を通して臨床に活かせるヒントについて」(佐々木正二氏、大阪セラミックトレーニングセンター宮崎校校長)と「The Achievement in Lab Work~純白と透明~」(德冨博和氏、Cusp Dental Research)がセッション形式で行われた。 なお、本年も同社の技工関連用品を特価で提供する「トレードフェア」には多数の歯科技工士や歯科関係者が参集し、あわせて盛況となっていた。第8回モリタ歯科技工フォーラム開催800名を集め本年も盛況となる社 会 特別講演にて登壇する大久保日歯会長。写真左より「技工登竜門」の受賞者の五十嵐氏と保坂氏。歯周病と歯管について 昨年10月29日付の厚労省事務連絡通知により、またまた臨床現場は混乱に陥っている。 日本歯科医学会の「歯周病の診断と治療に関する指針」の「9 学童期の歯周治療」には「視診・触診等で判断できれば、成人で行う歯周組織検査は必須ではなく」とあるため、多くの地域では口腔清掃指導や歯面清掃を主とした治療でスケーリングを行わなくても改善が見込まれる場合、歯周組織検査の算定がなくても歯管の算定を認めてきた。また、主訴に対する治療を優先する場合、歯周病を有していても歯周病の治療に着手していなければ、歯周組織検査の算定がなくても主訴の疾患に対する歯管の算定として認めてきた。 ところが、厚労省はこれらを否定し、混合歯列期については歯周ポケット測定の必要性が乏しいと判断した場合、他の検査により歯周組織検査の算定を容認するとした。その上で、歯周病を有する患者については歯周組織検査の算定がなければ歯管は算定できないとしたのである。 もちろん厚労省は、平成20年4月の改正時点から前述のように主張していたようではある。歯管の通知(1)には「口腔を一単位として」とあるため、初診患者について口腔内診査によりすべての歯科疾患を列挙し、すべての疾患について検査・治療計画・管理計画を立て情報提供を行った上でなければ歯管の算定はできないと考えているようである。 本通知に従えば再診月以降にP病に限らず、初診月になかった病名の追記はできなくなるのではないか。これこそ臨床現場をまったく無視した考えであろう。(お茶の水保険診療研究会:Y・S)

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