新聞クイント2010年4月(お試し版)
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2010年4月10日(土) 第172号2今月のニュース今月のニュース 2月25日(木)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(大久保満男会長)による定例記者会見が開催された。 冒頭の挨拶のなかで大久保会長は、同月23日(火)に第2回「生きがいを支える国民歯科会議」(大島伸一座長、国立長寿医療センター総長)が開催されたことについて、「出席委員が在宅歯科医療の問題を自分の問題として捉える発言があいつぎ、活発な意見が出された」と報告した。今後の会議スケジュールについては多忙な委員ばかりであるため、座長と調整するにとどめたが、最終的にはシンポジウムの開催や、会議などでの意見をまとめた書籍を発行する意向とのこと。 引き続き、宮村一弘副会長より、同月17日(水)に日本私立歯科大学協会(中原 泉会長)と公式では第1回となる協議会を開催したことが報告された。会合では大学志願者の減少や国家試験の合格率の低下などにともなう今後の質の確保、歯科医師需給問題についてそれぞれ意見交換が行われた。次回の協議会は5月中旬を予定しているとのこと。上程された議案に賛成する評議員ら。 2月19日(金)、歯科医師会館において、日本歯科医師連盟(以下、日歯連盟、堤 直文会長)による第109回臨時評議員会が開催された。 会場では、議事「第1号議案 第22回参議院比例代表選挙について」が上程され、第22回参議院比例代表選挙において民主党から公認を受けた日歯連盟会員候補者を支援するかが協議された。なお、日歯連盟は、第108回の臨時評議員会で組織内候補者を擁立しないことが機関決定しているため、支援という形態をとる。 執行部からは、前日18日(木)に民主党選挙対策委員長の石井 一氏(参議院議員)より、次期参院選に民主党が公認する日歯連盟会員を擁立して選挙に臨むため、日歯連盟に支援を要請する旨の依頼書が提出されたことが報告された。 評議員からは、中央と地方のねじれから本議案に賛成できないとの意見や、民主党側の調整遅れからか、本来発表されるはずであった候補者名が明らかにされなかったため、「顔も見えない候補者を支援することはできない」など、さまざまな意見が出された。 しかし、レセプトオンライン請求義務化の事実上の手挙げ方式の実現、平成22年度診療報酬改定の歯科2.09%のプラス改定などの結果から、「政権与党としての取り組みを評価すべき」という声が多く、本議案は賛成多数で可決された。 評議員会終了後の記者会見の席上、堤会長は「われわれが主張する歯科医療政策を具現化できるのは、政権与党であると考えている」と、会員の医院経営を守るために政権与党を支援していく姿勢を示した。なお、日歯連盟の選挙における民主党支援は初となる。今回、民主党の公認候補者の支援を機関決定したことは、次期参院選全体への大きなインパクトとなるだろう。日歯、定例会見を開催生きがいを支える国民歯科会議、最終的にはシンポジウム開催と書籍化を目指す日歯連盟、第109回臨時評議員会を開催次期参院選、民主党公認候補者の支援を正式決定政 治会見に臨む大久保執行部。政 治歯科医療界を牽引し続ける歯科技工士桑田正博愛歯技工専門学校校長、クワタカレッジ校長「自身の専門分野を高め、期待される歯科医療人になってほしい」 1962年に渡米し、金属焼付ポーセレン(PFM)の研究開発に携わった歯科技工士・桑田正博氏。小紙のインタビューに際し「生まれ変わっても歯科技工士でありたい」と笑顔を見せた氏にとって、歯科技工士はまさに天職といえる。また指導者としての人望も厚く、1972年にスタートした現在のクワタカレッジの受講生がこのたび2,500人を超えた。本欄では氏の軌跡を振り返るとともに、指導者・教育者としての思いを語っていただく。桑田:1962年11月、愛歯技工士養成所(現愛歯技工専門学校)から「日本の歯科界レベルアップのため」と留学のチャンスをいただきました。渡米後すぐにMount Vernon Dental Laboratoryに勤務し、紆余曲折を経てDr.Sigmund Katzと女性歯科技工士のGerry Katz氏と出会い、金属焼付ポーセレン(PFM)の開発チームへの参加を誘われました。Gerry Katz氏のラボに移籍後、Dr.C.H. Schuylerと出会うわけですが、彼らとの運命的な出会いは私の世界観や私の人生をも変え、さらに世界の歯科技工士レベルを向上させる契機にもなったのではないかと思っています。 PFMの開発に成功した私は、欧米各地で講演する日々を送ることになります。Schuyler氏から、「米国で得た知識と技術を日本の歯科界に伝達しなさい」と使命ともいうべき助言を与えていただいた私は、1972年に帰国後、桑田正博研修会(現クワタカレッジ)をスタートさせました。 当時の日本は、私が米国で構築していた歯科医師とのパートナーのように、より良い補綴物を患者さんに提供するために歯科技工士が歯科医師に対してアドバイスすることは、残念ながら難しい時代でした。しかし、私の考えに賛同し活動を支えていただいた歯科医師・歯科技工士のおかげで、現在ではクワタカレッジの受講生が2,500人を超えるまでになりました。 技術はあくまでも手段であり目的ではありません。クワタカレッジは、技術だけを教えるのでなく歯科のあるべき姿、すなわち医療理念・哲学を学ぶ場所であると思っています。歯科医師【プロフィール】1936年生まれ。歯科技工士。愛歯技工士養成所(現愛歯技工専門学校)卒業。現在、愛歯技工専門学校学校長。クワタカレッジ校長。2005年、Kenneth D. Rudd Award受賞。2008年、Academy of Prosthodontics(米国補綴歯科学会)名誉会員。2009年、米国歯科審美学会(AAED)Life fellow。要職・著書多数。は患者さんに喜びを与える歯科医療人を目指してほしいと思いますし、歯科技工士には歯科医師と同じように医療の本質が語れる存在になってほしいと思います。一人前の歯科技工士になるためには長い時間が必要ですが、歯科技工は歯科技工士に委ねられているわけです。若い歯科技工士は、目標を見失わずに自分がどんな歯科技工士になりたいかを考えて努力してほしいと思います。 時代も大きく変わり、最近では歯科医師の講演でも歯科技工士の仕事が評価されるようになりました。患者さんのためにお互いの専門領域を評価し合うことが大切です。自身の専門分野を高め、期待される歯科医療人になってほしいと思います。各28,000円(税抜)1セット3本入り18,000円(税抜)歯科保健条例、全国各地で開花の兆し……歯科保健条例、全国各地で開花の兆し…… 絵 山香和信 絵 山香和信

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