新聞クイント2010年5月(お試し版)
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2010年5月10日(月) 第173号2今月のニュース今月のニュース 3月19日(金)、歯科医師会館において、日本歯科医師連盟(以下、日歯連盟、堤 直文会長)による第110回評議員会が開催された。 開会後、きたる参議院比例代表選挙において民主党公認となった西村正美氏(東京都開業)が挨拶し、「(選挙までに)1人でも多くの先生方にお目にかかり、自分の心情を訴えていきたい。歯科医療問題に関しては、与党・野党でなく歯科医療党であるという思いで戦っていきたい」と述べた。 会場では会務報告や時局報告などの各種報告が行われた後、議事「第3号議案 平成22年度事業計画」「第4号議案 平成22年度一般会計収支予算」など8議案が上程され、いずれの議案も賛成多数で可決された。 その後の協議では、第22回参議院議員選挙の対応について協議され、執行部からは西村氏の支援体制や都道府県歯連盟の会合計画などが示された。支援体制については、日歯連盟とは別組織である西村まさみ中央後援会の中に総合戦略本部(堤 直文本部長)を設置し(配下にイメージ、タスク、財務・会計の3チームを設置)支援活動が行われるとのこと。会場では依然として現場の窮状を訴える声があいついだ。 3月20日(土)、日本歯科技工士会館において、日本歯科技工士会(以下、日技、中西茂昭会長)による第91回代議員会が開催された。 会場では、平成23年初夏の認定取得による新法人の登記を目標とし、新公益社団法人を目指すべく「第4号議案 新公益社団法人(予定)日本歯科技工士会『定款』承認の件」が上程された。本議案に関しては、下澤正樹常務理事が多くの時間を使い、日技と県技との関係や県技の移行スケジュールなどを概説したが、出席代議員の4分の3以上の同意を得られず、否決された。なお、第4号議案の否決にともない、関連する第5号議案から第8号議案については、執行部より取り下げられた。 なお、全国統一試験の実現や教育年限の延長などが盛り込まれた「第1号議案 平成22年度事業計画承認の件」や「第2号議案 平成22年度予算承認の件」「第3号議案 平成22年度組織拡大運動推進のための入会金日技送金不要特例措置の件」「第9号議案 平成23年3月31日を当該日とする共済部規定等廃止の件」は賛成多数により可決された。 また、各地区ブロックより出された質問・要望事項については、先般テレビで報道された海外委託技工物の問題について日技の見解や対応を求める声が多く聞かれた。 代議員会終了後の記者会見上、中西会長は否決された議案について、「3か月以内に臨時代議員会を開催し、議案内容の修正も含めて再提案したい」との意向を示した。また、同月19日(金)の評議員会において参院選比例代表候補予定者である西村正美氏(東京都開業)の推薦を賛成多数で機関決定し、同日、西村氏と蒲生 洵氏(日本歯科医師連盟副会長)らが挨拶に訪れたことも報告された。日歯連盟、第110回評議員会を開催西村正美氏の支援体制について協議される日技、第91回代議員会を開催新公益社団法人に関する議案否決される政 治開会後、評議員らに挨拶する西村正美氏。「William J. Gies Award」を受賞した歯科医師小川隆広UCLA歯学部准教授(終身教授位)「歯科の未来のために医科・科学・学術との架け橋を目指したい」 さる2010年3月、ワシントン(米国)で行われた米国歯科研究学会(AADR)にて、歯科でもっとも権威のある学術科学賞の1つといわれているWilliam J. Gies Awardを小川隆広氏(UCLA歯学部准教授)が受賞した。本欄では、光エネルギー応用チタン機能化における世界的権威である氏の同賞受賞までの取り組みと将来展望についてうかがう。小川:Gies Awardとは、Journal of Dental Researchに掲載された論文からその年の最優秀論文が選出され、その栄誉を国際歯科研究学会(IADR)ならびに米国歯科研究学会(AADR)が讃えるものです。 今回は、われわれが2008年に発表したチタンをはじめとする金属のナノ微細構造形成技術のオッセオインテグレーションや、テッシュエンジニアリングへの応用に関する論文(J Dent Res 87:751-756, 2008)が対象となり、その栄誉に輝くことができました。本賞受賞に際し、共同研究者である猿渡れい氏、大野紀和氏(ともに愛知学院大学解剖学)、竹内一夫氏(同大学歯科補綴学)、會田英紀氏(北海道医療大学歯学部咬合再建補綴学)のご尽力と先生方の英知と情熱を結集できたことに心より感謝申し上げます。 われわれは研究チームを結成してから現在までの7年間、「Biology Driven Prosthodontics」という新しい研究パラダイムを掲げ、研究し続けてきました。今回、補綴分野にこのような名誉をもたらしたことは世界的にもたいへん意義があり、ぜひ次世代の若手研究者につなげたいと思っています。本研究は、補綴やインプラントの分野を超えて、歯科のみならず医学や工学の分野まで広く応用可能であることも受賞理由の1つになったのではないかと考えています。 また、インプラントに関する学問を「研究から科学(サイエンス)へ引き上げる」ということも示すことができたと思っています。チタン周囲にどの程度骨ができたかという結果論の話ばかりでなく、どの生物学的要素がどの材料学的要素によって制御されているのか、ということを追究してきた成果【プロフィール】1998年、文部省(当時)在外研究員として渡米。2005年、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)歯学部准教授就任(終身教授位)。現在に至る。インプラント生物学、骨分子生物学、バイオマテリアルサイエンスに関する論文多数。2008年、再生補綴医学研究会を創設し、現在会長を務める。また国際歯科研究学会(IADR)の補綴ディビジョンの会長も務める。だと思います。 将来展望については、現在、臨床応用が期待されているインプラントの光機能化技術をはじめとして、UCLAを拠点に行う研究、学術、教育活動は継続し続ける所存です。とくに、研究は未来を切り拓くものと考えていますので、その研究成果や情報は今後もグローバルに発信していきたいと考えています。 日本の歯科界において諸問題が山積するなか、歯科医師が優先的に取り組まなければならないことは、国民から尊敬される歯科医師像、ならびに医学から尊敬される歯学像の確立ではないでしょうか。私は歯科の未来のために医科・科学・学術との架け橋を目指したいと思います。政 治日歯、ホームページガイドライン作成へ……日歯、ホームページガイドライン作成へ…… 絵 山香和信 絵 山香和信

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