新聞クイント2010年5月(お試し版)
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2010年5月10日(月) 第173号3今月のニュース今月のニュース 保険の窓第103回歯科医師国家試験合格率69.5%、2,408名が歯科医師の道へ社 会 3月29日(月)、厚生労働省は第103回歯科医師国家試験の合格者を発表した(かっこ内は前回のデータ)。受験者数3,465名(3,531名)のうち合格者は、2,408名(2,383名)となり、合格率は 69.5%(67.5%)となった。前回より合格率は2%アップしたが、出願者3,905名(3,878名)に対して受験者は減少しているため、依然として厳しい合格率といえる。 新卒者では、受験者数2,355名(2,516名)のうち合格者1,921名(1,915名)、合格率 81.6%(76.1%)、既卒者では受験者数1,110名(1,015名)のうち合格者487名(468名)、合格率43.9%(46.1%)となった。日本歯科医用画像診断支援協会、設立記者会見を開催歯科画像診断支援サービスの構築を目指す社 会 3月22日(月)、アルカディア市ヶ谷(東京都)において、日本歯科医用画像診断支援協会(小林 馨代表理事)による設立記者会見が開催された。本会は、歯科用X線CT装置やデジタルX線システムを導入する歯科医院が増加するなか、歯科医師の画像情報に基づく適切な画像診断の教育体制の整備や、画像診断支援サービスを提供するために2月1日(月)に設立された。 冒頭、小林代表理事(鶴見大学歯学部歯科放射線学講座教授)が挨拶し、「本会は、一般の歯科医療機関の画像診断を支援することを最大の目的としている。画像診断に苦慮されている症例についてはわれわれ歯科放射線専門医の力を発揮し、安全な医療の実現を目指したい」と述べた。 引き続き、勝又明敏氏(朝日大学歯学部口腔病態医療学講座歯科放射線学分野准教授)が歯科の画像診断の状況と歯科疾患の症例を供覧し、本会が目指すネットワークを利用した歯科画像診断支援サービスについて説明した。本サービスは、事務局を通じて依頼のあった画像を医用画像と通信の標準規格であるDICOMに統一し、ネットワーク環境が整備されている歯科放射線専門医などの読影専門医にオンラインで依頼される。依頼後、読影専門医が作成したレポートおよびアドバイスは原則48時間(緊急時は24時間)以内で依頼歯科医院への返送を目指す。ネットワーク環境が整備されていない歯科医療機関はフィルムや記録媒体にて依頼し、FAXなどで返送される。本サービスの開始は、今夏を予定しているとのこと。 デジタル画像は経年劣化もなく、画像の保存や共有が簡単なこともメリットとして挙げられる。歯科画像診断支援サービスの構築を目指す本会の今後の動向に注目したい。挨拶する小林代表理事(写真左)。 3月28日(日)、都市センターホテル(東京都)において「日本歯科CAD/CAM学会 設立総会・記念学術講演会」(日本歯科CAD/CAM学会、宮崎 隆会長)が開催された。本学会は、近年発展著しい歯科用CAD/CAMおよび歯科のデジタル化にかかわる調査・研究を産学連携のもとで行い、患者の利益に貢献することを目的に設立されたもの。会場には約250名が参集したほか、メーカーも21社出展するなど盛会となった。 会場ではまず総会が催され、発起人代表のひとりであった宮崎氏(昭和大学歯学部長)が会長に、同じく発起人代表の末瀬一彦氏(大阪歯科大学歯科技工士専門学校校長)が事務局長に承認された。このほか、理事や評議員、および会則なども承認された。 その後、会場ではまず宮崎氏が「Digital Dentistryの現状と将来展望」と題して講演を行い、その後鳥山佳則氏(厚生労働省医政局歯科保健課)、伴 清治氏(鹿児島大学大学院歯科生体材料学分野教授)、春日井昇平氏(東京医科歯科大学大学院インプラント・口腔再生医学分野教授)、山下恒彦氏(DenTech International)、荘村泰治氏(大阪大学大学院歯科理工学分野教授)、山田和伸氏(カスプデンタルサプライ)、南 昌宏氏(大阪府開業)、山﨑長郎氏(東京都開業)がつぎつぎに登壇した。いずれも、現在および将来のCAD/CAM、そしてより幅広い歯科のデジタル化「Digital Dentistry」を見据えた内容となっており、新時代を感じさせるものとなっていた。なお、当日は協賛6メーカーのプレゼンテーションも行われ、現行の製品はもちろん将来提供予定の技術についても惜しみなく披露された。 同学会では今後も年1回の学術大会を予定しているとのことで、今後の展開が期待される。日本歯科CAD/CAM学会設立総会・記念学術講演会を開催社 会 第103回歯科医師国家試験学校別合格者状況一覧。学 校 名総 数新 卒既 卒出願者数受験者数合格者数合格率出願者数受験者数合格者数合格率出願者数受験者数合格者数合格率北海道大学歯学部 676760 89.6 59595389.8 88787.5 北海道医療大学歯学部(東日本学園大学歯学部を含む)16012576 60.8 108745675.7 52512039.2 岩手医科大学歯学部 15612160 49.6 87543463.0 69672638.8 東北大学歯学部 666656 84.8 49494795.9 1717952.9 奥羽大学歯学部(東北歯科大学を含む)19815076 50.7 125824959.8 73682739.7 明海大学歯学部(城西歯科大学を含む)18716697 58.4 1281076964.5 59592847.5 日本大学松戸歯学部 172144100 69.4 127997878.8 45452248.9 東京医科歯科大学歯学部727159 83.1 62625385.5 109666.7 東京歯科大学 158140126 90.0 13912111393.4 19191368.4 日本歯科大学177138110 79.7 1441059388.6 33331751.5 日本大学歯学部175169130 76.9 13312910883.7 42402255.0 昭和大学歯学部 13012392 74.8 101947579.8 29291758.6 鶴見大学歯学部 218184105 57.1 1341007777.0 84842833.3 神奈川歯科大学 191163106 65.0 1381107971.8 53532750.9 新潟大学歯学部 545247 90.4 41414097.6 1311763.6 日本歯科大学新潟生命歯学部(日本歯科大学新潟歯学部を含む)12611380 70.8 85726286.1 41411843.9 松本歯科大学 24420973 34.9 100663959.1 1441433423.8 朝日大学歯学部(岐阜歯科大学を含む)234200113 56.5 1451128777.7 89882629.5 愛知学院大学歯学部173158114 72.2 1431309976.2 30281553.6 大阪大学歯学部676760 89.6 61615793.4 66350.0 大阪歯科大学205199131 65.8 13312710381.1 72722838.9 岡山大学歯学部656158 95.1 59555396.4 66583.3 広島大学歯学部656548 73.8 52524586.5 1313323.1 徳島大学歯学部 646051 85.0 49464495.7 1514750.0 九州大学歯学部 726454 84.4 57514486.3 15131076.9 九州歯科大学126124105 84.7 88888293.2 38362363.9 福岡歯科大学 143128103 80.5 1151008484.0 28281967.9 長崎大学歯学部 706960 87.0 57565191.1 1313969.2 鹿児島大学歯学部 676656 84.8 52524688.5 15141071.4 認定及び予備試験332 66.7 111100.0 22150.0 総合計39053,4652,408 69.5 2,772 2,3551,92181.6 1,133 1,11048743.9 総会後に講演する宮崎会長。点数改正について(その2) 今回の改定幅は歯科が医科を上回った。マスコミはこぞって歯科が民主党支持に鞍替えしたご褒美では?と報道したが、長妻厚労大臣は歯科の改定幅を医科と同じにすると、医科の引き上げ幅が大きくなる旨を説明した。だが、何のことやらと不可解であったのは筆者だけではなかったであろう。 診療報酬は「モノ」と「技術料」との合計で算定され、改定幅は総額に対する割合で示される。「モノ」の評価は市場価格調査によって決定されるため、結局は技術料の改定で総額の改定幅を埋めることになる。 たとえばプラス10%の改定を行う場合、(例1)すべてが「技術料」であればそのまま技術料を10%上げるだけであるが、(例2)「モノ」が25%、「技術料」が75%であれば「技術料」を13.3%上げ、(例3)「モノ」と「技術料」が50%ずつであれば「技術料」を20%上げることになる。 つまり、プラス改定幅が同じであれば技術料の割合の小さい方が大きなアップになる。そして、医科は歯科に比べて「技術料」の割合が小さいことから改定幅を小さくする必要があったのである。 これらのことは、筆者にとっては核兵器の持ち込みをめぐる「日米間の密約」どころではないほどショックだった。勉強不足であったとはいえ「目からうろこ」であり、さらに厚労省はもちろん日歯の歴代執行部も認識していたはずというから驚きである。「ではなぜ今まで……」と問いたいが、むしろ過去は過去として今後の改定のたびにこれを生かし続けていただきたい。(お茶の水保険診療研究会:Y・S)

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