新聞クイント2010年6月(お試し版)
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2010年6月10日(木) 第174号2今月のニュース今月のニュース神奈川歯科大学の学長に就任した佐藤貞雄神奈川歯科大学学長「本学の信頼回復とブランド力の向上に全力で取り組む」 さる2009年9月、神奈川歯科大学の投資をめぐる巨額損失事件で大学理事2人が逮捕された。一連の不祥事による前学長の辞任にともない、4月1日付けで佐藤貞雄氏(同大学教授)が新学長に就任した。先般の不祥事によって2009年度私学助成金も75%減額となり、また今春入学者の定員割れなど、多難な船出となるなか、佐藤新学長は大学改革にどのように臨むのか。学長就任への思いをうかがった。佐藤:本学がまず取り組まなければならない最大の課題は経営再建です。不祥事の影響によって大学経営は非常に危機的状況にあるため、さる1月に資産回収委員会を設置し、資産回収に取り組んでいます。また、高い人件費率や病院収入の低下も含め、経費削減も重要な課題と考えています。この問題に関しては、現在「神奈川歯科大学健全化プロジェクト」を立ち上げ、年齢を問わず意欲のある職員や先生方で大学再建に向けた意識改革を図っています。全教職員とも今回の不祥事によって危機的意識が非常に高くなっていますので、機構改革に期待したいと思っています。 つぎに、もう1つの課題は優秀な学生の獲得と歯科医師の育成です。少子化により「大学全入時代」といわれる状況のなか、最近では私立歯科大学・歯学部の入学者定員割れなどの報道も頻出しており、歯科医師の質の低下が叫ばれていますが、一流の歯科医師を育成するためには、従来の教育システムからの根本的な脱却が必要だと考えています。これは歯科医療技術を重視する教育という意味ではなく、本来のリベラルアーツ教育を向上させるような教養課程に変えなければならないと考えています。具体的には、一般教養課程の2年間を「職業準備教育」と位置づけ、歯科医師が「高度専門職業人」になるための臨床科目を一般教養課程に盛り込み、長年臨床を行ってきた指導者が考える哲学も含めた教育を計画しています。 教育改革に関しては、短期的にすぐ結果が出てくるものではないと考えています。しかし、今変えておかなけれ【プロフィール】歯学博士。1971年、神奈川歯科大学歯学部卒業。同大学助手(歯科矯正学)、講師、助教授を経て1996年、神奈川歯科大学教授。2010年4月、学長に就任。現在に至る。ドナウ大学(オーストリア)客員教授およびタフツ大学(アメリカ)客員教授のほか、国際先進学際歯科学会アジア部会会長も務める。ば10年後に本学は生き残ることはできないと考えています。また指導者の教育改革に関しても、従来の講義スタイルでは通用しない部分もあると思いますので、他の大学の教育方法も参考にしながら教員の再教育を図っていきたいと思います。 私は学長就任以降、鹿島 勇理事長と連日話し合うなかで、本学が生き残っていくためには新しい大学を構築しなければならないと考えており、専門家のアドバイスをいただきながら対応している段階です。問題は山積していますが、今後は経営サイドと教授サイドが連携を図り、すぐれた歯科医師を輩出する大学として、本学の信頼回復とブランド力の向上に全力で取り組む所存です。大賞を受賞した魔裟斗さんと安田さん。 4月18日(日)、歯科医師会館において、第10回平成22年度都民向け講演会「健康長寿のための歯周病予防」(東京都歯科医師会主催、浅野紀元会長、以下、東京都歯)が約500名を集め開催された。 浅野会長の挨拶の後、鴨井久一氏(日本歯科大学名誉教授)による「歯周病長寿社会への対応」、下野正基氏(東京歯科大学病理学講座教授)による「歯周病菌は血管を通り各臓器に進入する!」、花田信弘氏(鶴見大学歯学部探索歯学講座教授)による「歯周病が全身に与える影響!」がそれぞれ講演され、講演後には3名によるディスカッションが行われた。来場者のほとんどが高齢者であり、健康長寿のための歯周病ケアの重要性について、熱心に耳を傾ける様子が印象的であった。 引き続き、第4回「よい歯と食育大賞」授賞式(特定非営利活動法人日本歯科食育推進機構、東京都歯主催)が開催され、魔裟斗さん(元K-1WORLD MAX世界チャンピオン)、安田美沙子さん(タレント)がそれぞれ受賞した。 本大賞は、2006年8月に発足した「よい歯と食育推進委員会」の活動を広く国民に啓蒙することを目的とし、2007年より授賞式を開催している。 会場では、江藤一洋氏(特定非営利活動法人日本歯科食育推進機構理事長)、浅野紀元氏(東京都歯会長)、岸 朝子氏(日本歯科食育推進機構食生活特別アドバイザー)がそれぞれ挨拶し、賞状、記念の盾、花束を受賞者らに進呈した。授賞式後のトークショーで魔裟斗さんは、「打たれ弱くなるから親知らず1本を抜くのにも慎重になるほど、歯は格闘家にとって大切なもの。これからも歯を大切にしていきたい」と述べ、安田さんは「小さいころに両親に勧められ歯科矯正をしたから笑顔に自信を持てる。両親に感謝したい」と終始笑顔で語った。平成22年度都民向け講演会・ 第4回「よい歯と食育大賞」授賞式開催/魔裟斗さん、安田美沙子さん受賞―「よい歯と食育大賞」授賞式社 会日本の歯科界の活路はどこに……日本の歯科界の活路はどこに…… 絵 山香和信 絵 山香和信 5月15日(土)、日本歯科技工士会館において、日本歯科技工士会(中西茂昭会長)による第92回代議員会(臨時)・臨時総会が開催された。本代議員会は前回の第91回代議員会において否決された新公益法人にかかわる議案について再協議するもの。 議案については、「第1号議案 新公益法人(予定)日本歯科技工士会『定款』承認の件」「第2号議案 新公益法人(予定)日本歯科技工士会『役員報酬及び諸費用弁償規程』承認の件」など、上程された5議案いずれも賛成多数で可決された。 代議員からは定款案に示された法人会員構成など、会費にかかわる質問が出された。それに対して執行部は、若手歯科技工士の退会理由の1つに会費を払うことができないことを挙げ、「会員構成を幅広く求めるもので、すぐに会費が発生するものではない」と回答した。会費については、検討委員会で今後検討されるとのこと。 今回上程された議案については、前回の新定款の見直しや代議員への周知が図られたせいもあったのか、内容に関する質問は出されたものの、混乱が見られるような事態にはならなかった。日技、第92回代議員会(臨時)・臨時総会を開催新公益法人にかかわる5議案すべて可決される政 治上程された議案に賛成する代議員ら。

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