新聞クイント2010年8月(お試し版)
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2010年8月10日(火) 第176号3を翻訳し初めて日本に紹介した森 亨氏(結核予防会結核研究所名誉所長)による「コクランとの出会い」の講演や、南郷栄秀氏(東京北社会保険病院総合診療科)によるコクランのweb上で展開されている各種サービスについての紹介がなされた。さらに福岡敏雄氏(倉敷中央病院総合診療科主任部長)による「コクランを使ってみよう」の講演では、福岡氏が実際に学生を対象に行っている講義内容が披露され、コクランアブストラクトの構造を理解することで、システマティックレビューがリスク比の予測に役立つことが解説された。また、近年価値が高いような体裁を取り繕った研究が多数見られることから、「論文を参照する際には十分注意すべき」との提言もなされた。 最後に内藤 徹事務局長(福岡歯科大学総合歯科学講座)から、「今後も翻訳・啓発活動を行っていくと同時に、国内外のコクラン共同計画関連グループとの連携を積極的に行っていきたい」と説明がなされた。今月のニュース今月のニュース2010九州デンタルショー開催2日間で10,955名が参集し盛況口蹄疫被害に対する義援金も募集される社 会 6月12日(土)、13日(日)の両日、マリンメッセ福岡(福岡県)において、「2010九州デンタルショー」(㈳福岡県歯科医師会、福岡県歯科用品商組合主催、㈳福岡県歯科技工士会、㈳福岡県歯科衛生士会、㈳九州歯科用品商協組合協賛、㈳日本歯科商工協会後援)が「白い歯・しあわせ育む第一歩」をテーマに盛大に開催された(出展企業数149社)。会場には、10,955名(内訳:歯科医師2,958名、歯科技工士1,177名、歯科衛生士2,449名、歯科助手1,006名、学生660名、商工業者2,705名)の歯科医療関係者が来場し、また参加企業による24題の研修・デモも行われるなど、終始盛況となった。 本デンタルショーは本年4月より、日本歯科商工協会のプロモーションコード委員会による「デンタルショー遵守事項チェックリストの提出の義務化」が適用される初めてのデンタルショーとなった。本通知では、コンプライアンスの観点から①未承認品の取扱い②パンフレット・カタログの注意書③商品包装表示、などの遵守事項が記載されているが、主催者ならびに出第1回JCOHR総会 コクランたばこレビュー翻訳敢行記念ミーティング開催今後の国内外関連グループとの連携に期待高まる社 会 7月4日(日)、国立がん研究センター(東京都)にて、第1回JCOHR総会 コクランたばこレビュー翻訳敢行記念ミーティング(JCOHR主催/望月友美子氏、国立がんセンター研究所たばこ政策研究プロジェクトリーダー)が開催された。JCOHR(Japanese Collaboration for Oral Health Review/花田信弘代表、内藤 徹事務局長)とは、「コクランレビューアブストラクトの翻訳」、「コクランレビューの日本における普及」、「EBMの理解と普及の推進・支援」を目的とした活動を行うため、さまざまな保健医療職種が集って2007年に発足したボランティア団体である。本団体はこれまで口腔保健領域のレビューアブストラクト翻訳を行い、日本医療機能評価機構Minds(http://minds.jcqhc.or.jp/)にて公開を行っている。今回は、たばこ問題アブストラクトの翻訳公開を記念して開催された。 会場では、コクラン共同計画のもととなったArchie Cochraneの著書『Effectiveness and Efficiency』第28回日本顎咬合学会学術大会開催4,116名が参加し、成功裏に閉幕社 会 6月12日(土)、13日(日)の両日、東京国際フォーラムにおいて、日本顎咬合学会第28回学術大会(山地良子大会長・理事長、林 揚春プログラムチェアマン)が、「Predictable Clinical Dentistry―予知性のある歯科臨床を求めて―」をメインテーマに開催され、4,116名(歯科医師:2,743名、歯科衛生士:777名、歯科技工士:353名、研修医:63名、学生:122名、賛助会員:48社、その他:10名)が参集した。 会場では2日間にわたり、特別講演1題、一般講演93題(うちランチョンセミナー5題)、ハンズオン6題、テーブルクリニック64題、認定医教育セミナー1題、一般口演168題、ポスター発表53題、公開フォーラム1題が行われた。 なかでも、12日(土)には、Dennis P. Tarnow氏(コロンビア大学歯学部教授・ディレクター)が「前歯の審美性とインプラント」と題し特別講演を行った。氏は、「インプラント治療においては生物学的および解剖学的な知識を身に付けることがきわめて重要である」と述べた。また、前歯部審美領域を硬・軟組織の形態に応じて分類し、各タイプに応じた術式を解説。とくに、唇側骨が喪失した状態で抜歯窩にインプラントを埋入することは禁忌であることを強調した。会場は3階席まで埋まるほど、多くの参加者で埋めつくされた。 13日(日)には、公開フォーラム「かむことは食育の入り口」が行われ、佐藤 弘氏(西日本新聞社編集局編集企画委員会編集委員)、増田純一氏(佐賀県開業)、武井典子氏(日本歯科衛生士会副会長)、石井克枝氏(千葉大学教育学部教授)、鈴木 豊氏(キューピー株式会社代表取締役社長)、塚本末廣氏(福岡歯科大学成長発達歯学障害者歯科学分野准教授)らが登壇し盛況となった。Dennis P. Tarnow氏の講演の様子。 保険の窓SPTについて(その2) SPTは、今回の改正で点数が一挙に300点にアップされ、経年的漸減も3年以内の年限も撤廃された。歯周病の長期管理を定着させたい、との強い意思が伝わってくる。新規項目は、国民に対して実施して欲しいと願って導入されるのであり、「(新規項目に)飛びついて算定すると指導にあうぞ」といった話はまったく根拠がない。前回のSPTの算定があまりに少なかったため、増点されたのであろう。 下表で明らかなように今回の改正でSPTは、かつてのP総診より高点数となった。 また、①P以外の治療が終了していなくても入ることができる②SPT中にP以外の治療を行うことになっても何らわずらわしいことはない③残存歯数による点数の差はない④切開・投薬・TFixも行えば算定できるし、ペリオクリンなどの注入を行えば薬剤料の算定もできる⑤3か月毎が原則とはいえ、歯周外科手術を行った患者は連月でも可である――などから中等度以上の歯周疾患患者であれば躊躇は無用だ。 (お茶の水保険診療研究会:Y・S)平成16年P総診(基本治療あり)SPT+再診料+歯管+P検査平成20年平成22年1年目2年目3年目1~9歯315350(400)325(375)300(350)502(552)10~19歯455410(520)385(495)360(470)562(672)20歯以上625450(650)425(625)400(600)652(852)かっこ内は精密検査実施の場合。メインテナンス・SPT時の算定点数 単位:点テープカットの様子(写真上)。149社が出展したデンタルショー会場(写真下)。展企業の徹底により、混乱もなく成功裏に幕を閉じた。また研修・デモで講師を務めた土屋和子氏(歯科衛生士)の提案により、4月に確認された口蹄疫(こうていえき)の被害に遭われた宮崎県の方々を支援すべく募金活動が実施され、多くの義援金が集められた。 なお、来年の同デンタルショーは、きたる2011年6月11日(土)、12日(日)の両日マリンメッセ福岡にて開催される予定である。

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