新聞クイント2010年10月(お試し版)
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2010年10月10日(日) 第178号3今月のニュース今月のニュース 保険の窓平成22年度SCRP日本代表選抜大会開催優勝者は大阪歯科大学の岸田瑠加さん社 会 8月20日(金)、歯科医師会館において、平成22年度(第16回)日本歯科医師会/デンツプライ スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム日本代表選抜大会が開催された。本大会は、歯科学生みずから研究テーマを設定し、その内容や調査結果を競うもの。歯科界の発展を担う研究者・教育者・開業医の国際的な輩出を目的とし、各国歯科医師会主催、デンツプライ社後援のもと世界36か国で開催されている。 本年度は全国から22校が参加し、当日午前より審査会場にて各大学を代表する学生が英語によるテーブルクリニックを行った。その後、審査が行われ、その結果が表彰式にて発表された。本大会より基礎部門と臨床部門が設けられた。以下に審査結果を示す。優勝(臨床部門1位):「う蝕予防を目的としたまんじゅうの製作と研究」(岸田瑠加さん、大阪歯科大学5年生/共同研究者:塩谷洋子さん)第2位(基礎部門1位):「歯根膜に対するペリオスチンの作用における組織化学的所見」(本郷裕美さん、北海道大学歯学部6年生) 優勝した岸田さんは「共同研究者や先生方に感謝します。アメリカでは自分の実力以上のものが出せるようがんばります」と受賞の喜びを語った。岸田さんのファカルティアドバイザーの1人である山中武志氏(大阪歯科大学歯学部准教授)は、「当初は他の候補者と比べ(まんじゅうという)タイトルで負けてしまっているのでは?と思ったが、学生らしい発想ですばらしい研究ができたと思う」と述べた。 日本代表となった岸田さんは、本年10月7日より米国オーランドで開催されるアメリカ歯科医師会(ADA)年次大会に参加し、世界各国の代表とともに発表を行う予定である。 8月21日(土)、22日(日)の両日、グランドプリンスホテル新高輪・国際館パミール(東京都)において、「Nobel Biocare Asia-Pacific 2010」(ノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社主催、嶋田 敦代表取締役社長)が「Focus on People」をテーマに、世界各国より約2,500名の参加者を集め盛大に開催された。 本フォーラムには、国内外より約80名の演者を招聘。なかでもメイン会場で行われた10題のメインプログラムでは、春日井昇平氏(東京医科歯科大学教授)、古谷野 潔氏(九州大学教授)、細川隆司氏(九州歯科大学教授)、申 基喆氏(明海大学教授)、山﨑長郎氏(東京都開業)、菅井敏郎氏(東京都開業)がモデレーターを務めた。また、Roland Glauser氏(スイス・チューリッヒ開業)、小宮山彌太郎氏(東京都開業)、波多野尚樹氏(埼玉県開業)、Eric Rompen氏(ベルギー・リエージュ大学教授)、Wong Keng Mun氏(シンガポール大学歯学部客員専門医)、Perer Schüpbach氏(アメリカ・ペンシルバニア州立大学非常勤教授)、Stefan Lundgren氏(スウェーデン・ウメオ大学教授)、Stefan Holst氏(ドイツ・フリードリッヒアレクサンダー大学臨床准教授)、中村社綱氏(熊本県開業)、Paulo Maló氏(ポルトガル・リスボン開業)の発表に対してエキスパートパネルが見解を述べるなど、充実したディスカッションが展開した。 2日間にわたって、最新のマテリアルや術式に関するトピック、診査・診断の重要性、患者への治療説明とインフォームドコンセントの確立、術後の患者指導およびメインテナンスの内容など、聴講者の高い関心を集めた。 また、ハンズオン、ワークショップ、歯科衛生士向け、歯科技工士向けセッションもそれぞれ盛況を博した。 傷病名記載について(その2) 義歯を調整した際の病名の多くは「MTDul」とされているが、Dulは褥瘡性潰瘍の略称である。義歯の不適合で潰瘍を形成している場合はもちろんあるが、粘膜の赤変・白変や擦過傷程度の場合も多くある。また、床縁形態や人工歯排列、咬合関係の不調により調整を行うことも多い。このような場合でも義管のみ算定する場合は、安易にMTDulとして請求している場合が多いのではないだろうか。いわゆるレセプト病名である。厚労省はQ&Aなどで実態通りの傷病名を記載し、レセプト病名は避けるよう促している。もっとも、請求者側にとってみれば便利であるから、ついつい使用してしまうのもうなずける。 ところで、MTDul病名でケナログ®やアフタゾン®などを処方すると返戻または査定される場合がある。これら薬剤の適応症は「びらん又は潰瘍を伴う難治性口内炎および舌炎」とあるが、義歯によるDulは調整すれば治癒するから難治性ではないとの判断であろうか。はたまた「難治性」については「びらん又は潰瘍を伴う」口内炎が難治性口内炎と読まず、「びらん又は潰瘍を伴いかつ難治性」と読んだ結果の判断であろうか。いや、それ以前の「MTDul」はレセプト病名でDulはないだろう、との勝手な憶測であっては問題外である。 そんな矢先、タイミングよく日本歯科医師会雑誌8月号(Vol.63 No.5 2010-8)で歯科用医薬品Q&A「義歯性潰瘍への口腔用軟膏(ケナログ®など)」について取り上げられている。参照されたい。(お茶の水保険診療研究会:Y・S)日本歯科用レーザー学会第10回総会・学術大会を開催PDT(光線力学療法)に参加者の関心集まる 9月4日(土)、5日(日)の両日、日本歯科大学生命歯学部富士見ホール(東京都)において、第10回日本歯科用レーザー学会総会・学術大会(新谷明喜大会長、加藤喜郎会長)が、「レーザー治療のイノベーション」をメインテーマに、盛大に開催された。 本大会では、メインテーマにもあるイノベーション(技術改革)を根底に、5日に行われたDr. Veronique Benhamou(カナダ・McGill大学)による特別講演/認定医講習会(海外招待講演)「新しい歯周治療の潮流―光による無痛歯周治療―」が注目を集めた。Dr. Benhamouによって紹介されたPDT(photodynamic therapy:光線力学療法)とは、非熱光を使って特定の光活性剤を活性化させて、周囲の宿主組織に対して、事前に決められた光化学変化を起こさせる治療法。スケーリング・ルートプレーニングと併用することで、補助的な創面清掃法として歯周病やインプラント周囲炎などに応用するというもの。講演後、販売ブースに人だかりができていた光景が印象的であった。 そのほか「レーザーによる診査・診断、計測」および「レーザー治療による審美修復」のシンポジウム2題、会長講演/認定医講習会「海外におけるレーザー歯科治療」(加藤喜郎氏、日本歯科大学新潟生命歯学部教授)、トピックス「レーザー治療による歯周および歯石の管理」(渡辺 久氏、東京医科歯科大学准教授)、市民フォーラム「レーザーはどんな治療、何ができるの?」、臨床講演7題、一般講演14題、ポスター発表9題などが催された。 今回、初めて講演がなされたPDTおよび演題でも多くの発表があった。まだ認可は受けていないものの、臨床応用が進むEr;Cr:YSGGレーザーの動向もあり、学会として今後の適正な普及・啓蒙活動が期待される。社 会 Nobel Biocare Asia-Pacific 2010「Focus on People」をテーマに盛大に開催答え:シシュウポケットシークワーズパズル 当選者発表●月刊誌:毎月10日発刊 ●サイズ:A4判変型●1部定価:2,520円(本体2,400円) ●年間購読料:定価30,240円(本体28,800円)歯科臨床家のための総合学術誌10月号お問い合わせ・ご購入は03-5842-2272または歯学書ドットコムまで!優勝した岸田さん(写真中央)。社 会 2日目のメイン会場の様子。■ 特別企画・1「ペリオからの逆襲! Part3:インプラント&デンタルCTを有効活用した新時代の歯周治療への提言―変化する重度歯周病の総合的治療戦略」 水上哲也■ 特別企画・2「総合治療医の真髄:時間軸でみるホームデンティストの患者とのかかわり方」 須貝昭弘●「専門治療」をめざす・極める◆成功するための診断の山場「歯根破折と脱落を併発した上顎中切歯の治療」月星光博 ◆検証の時代はじまる「上顎歯列弓拡大を考える」関崎和夫●「総合治療」をめざす・極める◆総合治療医への提言「インプラント時代に“歯の移植”を考える」塚原宏泰●「若手歯科医師」向け―「ベーシック」を極める◆新・明日から変われる毎日使える臨床ヒント「安全で手際のよい再根管治療歯への対処のポイント」吉岡隆知/井澤常泰 ◆「New Essence:the Debut」成島琴世 ◆「My First Stage」佐々木秀典2010年8月号Volume176矢口 皓 様(江戸川区)、本田彩佳 様(吹田市)勝山美甫 様(茨木市)、松﨑省三 様(三潴郡大木町)

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