新聞クイント2010年11月(お試し版)
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2010年11月10日(水) 第179号3(筆記および小論文)が行われた。また、午後には、伊藤秀寿氏(宮城県開業)より、ゲノム検診の成功へのトライアル事例が紹介されたほか、各種案内・質疑応答などが行われた。 とくに新谷氏の講演では、遺伝子異常の検出による疾病予防の時代が到来したと述べ、病気は遺伝要因と環境要因のバランスで発生する点など、メカニズムを解説。そして、医師・歯科医師が協力して国民を病気にしない予防医療を確立することが重要とし、遺伝子診断の重要性を訴えた。 今後の同会の取り組みに期待するとともに、遺伝子診断をめぐる動向については、ザ・クインテッセンス誌で随時掲載していく予定である。が、広島大学歯学部につぐ4年制として来春、東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科・口腔保健工学専攻として新設されることから、歯科技工士教育の高度化に期待を寄せた。さらに、「55年という節目を歯科技工士の意義を再認識する機会ととらえ、引き続き研鑽していく決意である」と述べた。その後、大谷泰夫氏(厚生労働省医政局長)が細川律夫氏(厚生労働大臣)の祝辞を代読した。 その後の顕彰式では、厚生労働大臣表彰53名、日技会長表彰56名、紫紺賞2名には齋木好太郎氏(東京都歯科技工所開業)と小竹俊夫氏(静岡県歯科技工所開業)が受賞の栄に浴した。今月のニュース今月のニュース臨床ゲノム医療研究会第2回「ゲノムドクター&キャスター」セミナーを開催社 会 9月20日(月)、昭和大学歯科病院(東京都)において、臨床ゲノム医療研究会(渥美和彦理事長)による第2回「ゲノムドクター&キャスター」セミナーが、ドクター(歯科医師39名、医師6名)、キャスター(歯科衛生士・看護師、計5名)、弁護士3名ほか、約60名の参加者を集めて開催された。 ゲノムドクターとは、「唾液や頬粘膜で体質を判断し、病気に対する啓発を行うとともに、画像診断では発見されない微細な疾患・がん等の細胞を遺伝子解析で発現を確認し、キャスターとともに超早期診断でがん等の予防医療をサポートする専門家」を指す。歯科界からは同会理事および倫理委員会委員長として、新谷 悟氏(昭和大学歯学部教授)らが参画している。 当日は渥美理事長の開催の挨拶および講演の後、新谷氏による「遺伝子診断の基本と実践」、武井佳子氏(医師、クリニックMIRAI院長)による「ゲノム検診(SNP&血中解析の相違)と遺伝子診断の倫理観」の講演、そして「ゲノム ドクター&キャスター」試験 9月18日(土)、ホテルグランドパレス(東京都)にて、日本歯科技工士会(以下、日技、中西茂昭会長)による第93回代議員会と「歯科技工士法制定ならびに日技創立55周年記念大会」があいついで開催された。 午前中の代議員会では、「第2号議案 平成21年度事業経過報告承認の件」などの議案のほか、「第3号議案新公益法人(予定)日本歯科技工士会会員管理及び会費規定別表承認の件」など、おもに新公益社団法人移行に関する諸規則を中心とした全8議案が上程され、いずれも議案も賛成多数で可決された。代議員からは、新公益社団移行にともなう会費の問題や、日技と都道府県技の対応の違いについて質問する場面が見られた。 午後の記念式典では、まず中西会長が挨拶のなかで歯科技工界の55年間を振り返り、「歯科技工士には課せられている責務と与えられている対価にあまりにも差がある」と現在の歯科技工環境の改善を求めた。また、東京医科歯科大学附属歯科技工士専門学校第40回日本口腔インプラント学会・学術大会「信頼性ある口腔インプラント専門医」をテーマに盛大に開催社 会 9月17日(金)から19日(日)の3日間、札幌コンベンションセンター・札幌市産業振興センター(北海道)において、第40回日本口腔インプラント学会・学術大会(松沢耕介大会長、川添堯彬理事長)が、国内外より3,000名以上の参加者を集め盛大に開催された。会場では3日間にわたり、各種講演やシンポジウムなど、幅広く充実した内容が展開された。 17日のワールドサテライトセミナー1では、Dr. Inãki Gamborena(スペイン開業)による「New Trends to Optimize Aesthetic Results on Anterior Single Tooth Implants」、専門医教育講座では、高森 等氏(日本歯科大学教授)による「インプラント手術を安全・安心に行うための留意点」と題した講演が行われた。 18日午前の特別講演1では、大久保満男氏(日本歯科医師会会長)による「食を支える歯科医療~その意味と意義~」と題する講演に続き、川添理事長による「口腔インプラント専門医への信頼性はどこから得られるか」と題する基調講演が行われた。また、特別講演2では、大野弘機氏(北海道医療大学副学長)による「これで大丈夫?歯科生体材料のEBM̶歯科生体材料が抱える課題̶」と題する講演が行われた。午後のシンポジウム1「信頼できるインプラント専門医の条件 長期経過の予測と対応を知る」では、大塚 隆氏(神奈川県開業)、古谷野 潔氏(九州大学教授)、武田孝之氏(東京都開業)、松井孝道氏(宮崎県開業)、池邉一典氏(大阪大学講師)による示唆に富んだ講演が行われた。 19日は、歯科衛生士セッション、専門歯科衛生士教育講座、専門歯科衛生士セミナーが開催された。 なお、第41回学術大会はきたる2011年9月16日(金)から18日(日)、名古屋国際会議場(愛知県)にて開催される予定である。 保険の窓メインホールのシンポジウムに登壇した演者ら。55周年記念式典会場には多数の関係者が参集した。セミナー会場となった昭和大学歯科病院。日技、第93回代議員会・歯科技工士法制定ならびに日技創立55周年記念大会を開催政 治 認知症患者の義歯修理について 老人ホームから訪問診療の依頼があった。行くと下顎総義歯が真っ二つに割れていた。床に放り投げて割れたとのことである。認知症患者は暴力的になることも多く、治療にもまったく非協力的である。 この認知症患者も口をあけてくれず、むりやりすると指は咬まれ、手の甲は爪でつねられ血が滲む。結局、口腔内で義歯を接合することは諦め、およその見当で瞬間接着剤で接合した後、レジンを盛って修理することとした。ところが、レジンを混和し口腔内に入れようとしてもたやすく口はあけてくれないし、硬化時間との競争もあるため、むりやり義歯を入れたら半分ほど入ったところで強く咬まれ再び破折。硬化途中のレジンを取り除き再挑戦となった。口をあけるのにひと苦労、義歯を口に入れるのにひと苦労、咬合位で咬ませて硬化するまで顎を固定維持するのにふた苦労。ようやくトリミングまでこぎつけ、あとひと息というところで、ちょっと目を離したすきに義歯をつかまれ、ぽ~ん……。またまた始めからのやり直しである。 同日2度の床修理は保険で認められるのだろうか。厚労省のQ&Aでは、回数に制限はないとしているが、小心者の私は、泣く泣く1回のみの請求で諦めた。厚労省の「審査支払機関の在り方に関する検討委員会」で「多くの保険者は審査委員会を信頼していない。新製義歯装着と同日の床修理を認めている」との苦言があった。その症例の詳細は不明であるが、思わず「あるある」とつぶやいてしまった。稀なケースであることは間違いないが。 (お茶の水保険診療研究会:Y・S)

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