新聞クイント2010年12月(お試し版)
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2010年12月10日(金) 第180号2今月のニュース今月のニュース 10月21日(木)、歯科医師会館にて、日本歯科医師会(大久保満男会長)による定例記者会見が開催された。 冒頭、学術担当の江里口 彰常務理事より、さる8月30日から9月5日にかけてサルバトール・ダ・バイア(ブラジル)にて開催された第98回FDI世界歯科連盟年次世界大会の報告が行われた。そのなかで、2008年より開催している8カ国歯科医師会会議(オーストラリア、アメリカ、イギリス、カナダ、韓国、ニュージーランド、日本、ノルウェー〈欠席〉)では、各国の医療事情の違いや各国が抱えている諸問題など、15議題について意見交換したと述べ、実りある会議であったことを強調した。また、FDI役員の任期満了にともなうFDI選挙では、井上 孝氏(東京歯科大学教授)のFDI教育委員会委員の再選が報告された。同じく学術担当として本大会に出席した峰正博理事は、「今後の日本の歯科医療政策を考えるうえで、たいへん大事な会である」と述べた。 その後、江里口常務理事より、7回にわたって開催されたスポーツ歯科検討委員会(箱崎守男委員長)がさる9月にまとめた「スポーツと歯科における我が国の現状と課題について」の答申書の内容が報告された。答申書では、「歯科の専門的立場から地域住民の運動・スポーツを通じた健康づくりを支援し、健康寿命の延伸、安心・安全な国民生活の確保、QOLの維持向上に貢献・寄与する『健康スポーツ歯科医』を養成する目的として、それに関わる講習会を開催することが望ましい」「スポーツ関係諸団体、学会、日本学校歯科医会などと連携し、『健康スポーツ歯科医』の養成・認定制度にかかわる具体的方策を審議検討する場を設置することが望ましい」とした方針が示された。その後、担当理事より各種報告が行われた。健康寿命の延伸に寄与する歯科界の未来は?……健康寿命の延伸に寄与する歯科界の未来は?…… 絵 山香和信 絵 山香和信「西村まさみ議員を囲む会」が開催される多数の歯科関係者、西村議員に期待の声政 治日歯、定例会見を開催健康スポーツ歯科医の養成へ――検討委員会が答申示す政 治 10月14日(木)、ホテルグランドパレス(東京都)において、「西村まさみ議員を囲む会」(発起人代表:光安一夫氏、西村 誠氏)が開催され、多数の関係者が参集した。本会は、先般の第22回参議院議員選挙において、初当選を果たした西村まさみ氏(民主党参議院議員、東京都開業)を支援する歯科関係者によって催されたもの。 冒頭、光安一夫氏(日本歯科大学校友会会長)が発起人代表として挨拶後、会場には小沢一郎元幹事長(衆議院議員)が急遽挨拶に駆けつけ、「皆さんの期待に応えるように国会議員として活躍していただけるものと心から信じている」と西村氏を激励する場面もみられた。引き続き、来賓として、中原 泉氏(日本歯科大学学長)、大久保満男氏(日本歯科医師会会長)、堤 直文氏(日本歯科医師連盟会長)が挨拶し、国政での活躍を期待する西村氏にエールを送った。 最後に西村氏が登壇し、「歯科にかかわるすべての皆様の代弁者として、これからしっかりと働くことを約束したい」と、今後の意気込みを力強く語った。 職域代表である石井みどり氏(自民党参議院議員)との連携が注目されるなか、西村氏の開業医としての視点が国政の場でどのように生かされるのか、今後の活躍に期待が高まる。登壇し挨拶する西村まさみ議員。活躍する女性歯科医師倉治ななえ日本歯科医師会「女性歯科医師の活動に関する検討委員会」委員長「女性の力が必要とされている今こそ、私たち女性歯科医師の積極的な参画が重要」 さる10月、日本歯科医師会(以下、日歯)は「都道府県歯科医師会男女共同参画推進検討会議」を開催した。女性歯科医師の活動を取り巻く諸問題に取り組む日歯の意識改革が1つの形となったといえよう。今後の展開に期待が高まるなか、本欄では同会議の開催にあたり、アンケート調査や答申書を取りまとめた「女性歯科医師の活動に関する検討委員会」の委員長を務めた倉治ななえ氏(東京都開業)に、日歯の組織力の重要性と男女共同参画社会の実現についてうかがった。倉治:まず、日歯初の「男女共同参画推進」をテーマとする全国会議の開催にあたり、私たち委員会の活動を支援してくださった大久保満男会長をはじめとする担当役員の方々に感謝申し上げます。今回発表した「歯科医師会における男女共同参画等に関するモデル意識調査」および「女性歯科医師の活動に関する検討委員会答申書」で注目しなければならない点を大きく2つ挙げさせていただきます。 1つ目は、日歯組織率の低下です。過去20年間で組織率は約11%低下しています。調査報告書には日歯が弱体化した場合の問題として、「診療報酬改定にあたって正当な技術料等の評価がなされない」「国民への安心安全で良質な歯科医療提供に支障が出る」と示されています。歯科医師会の活動に関心の低い若い先生方は、歯科医師会に入会するメリットがないと考えておられる方が多いかと思いますが、組織力の低下によって自分自身の行う歯科医療が国から評価されなくなるという問題について、真剣に考えていただきたいと思います。 2つ目は、女性歯科医師の増加です。これまでの30年間で女性歯科医師の割合が増え、男性歯科医師の割合が減少しています。とくに2009年の歯科医師国家試験の合格者では女性の割合が4割を超えています。日歯の女性会員数が約8%にとどまっている現状を鑑みても、女性歯科医師の積極的な参画が組織率を向上・維持するためには必要ですし、女性歯科医師が活躍することによって、女性ならではの視【プロフィール】1979年、日本歯科大学卒業後、補綴学教室第2講座入局。1983年、クラジ歯科医院開設。1989年、テクノポートデンタルクリニック開設。2003年、Dr.NANA予防歯科研究所設立。日本歯科大学附属病院臨床准教授、日本歯科医師会「女性歯科医師の活動に関する検討委員会」委員長ならびに同総会では女性初の議長を務めるなど、幅広く活躍する。点からの政策提言が期待できます。 ただ、現状では女性は歯科医師としての立場以外に妻、母、嫁などの立場もあり、時間的な余裕がありません。ですから、歯科界が活性化するためには女性が働きやすい環境や歯科医師会活動に参加しやすい環境を整備し、男性にもその活動を支援していただくことが、男女共同参画社会の実現には求められていると思います。女性の力が必要とされている今こそ、私たち女性歯科医師の積極的な参画が重要なのです。 今回の結果を生かして、各都道府県歯科医師会においてもぜひとも男女共同参画推進について継続した検討をお願いしたいと思います。左より、江里口常務理事と峰理事。

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