新聞クイント2010年12月(お試し版)
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2010年12月10日(金) 第180号3見られた。 会終了後、本シンポジウムを企画した小林氏は企画趣旨について、「乳がん治療前に歯科診療を受けることは、乳がん診療ガイドライン2009においても推奨度Bと勧められている。しかし、ガイドラインでは個々の患者さんが治療を通してどのような障害を受け、症状が生じるかは具体的にわかりにくいため、乳がん治療における副作用などの問題点を具体的に抽出し、歯科医療が貢献できることや課題を明らかにしたいと考えた」と述べた。 がん患者に寄り添う「心のケア」と同じように、歯科医療従事者が行う「口腔ケア」の大切さについてあらためて考えさせられるたいへん有意義なシンポジウムとなった。 その後のトークセッションでは、司会者からの「いい笑顔を保つために日ごろ心がけていることは?」との質問に対して、松下さんは、「悩みをため込まないこと。そして、1日1回はベストスマイルを心がけ、たいへんなときも笑顔で乗り切るようにしています」、佐々木さんは、「苦しいときこそ笑顔でいると120%の力が出て乗り切れるような気がします。また、1か月に1度は歯のクリーニングに通っています」と、両者とも魅力あふれる大人の笑顔で質問に答えていた。 なお、昨年の“著名人部門”では、タレントのベッキーさん、俳優の佐藤隆太さんが受賞している。今月のニュース今月のニュース鶴見大学公開シンポジウムが開催される乳がん患者による治療体験談、明日の歯科医療を考える契機に社 会 10月31日(日)、鶴見大学会館(神奈川県)において、公開シンポジウム「歯ーとto Heart―患者さんの直接の声を聞こう!今、歯科診療に望むこと―」(鶴見大学、NPO法人デンタルハイジニスト&オーラルヘルスセラピー協会共催)が開催された。 本シンポジウムでは、小林 馨氏(鶴見大学歯学部長)の進行のもと、乳がん治療を受けた患者さん4名が治療体験談を報告。手術後の化学放射線治療やホルモン治療にともなう、口腔トラブルや味覚障害など、各自異なった副作用についても触れられ、歯科医療従事者のシンポジストや会場からの活発な意見が出された。とくに患者さんからは、主治医からのがん治療に対する歯科治療ならびに口腔ケアの情報や助言不足が挙げられた。また、歯科医療従事者のシンポジストからは、さる8月に調印された国立がん研究センターと日本歯科医師会の「がん治療患者の歯科医療連携事業」やがん治療における専門的口腔ケアの必要性についても概説され、医療従事者のみならず一般参加者の熱心に耳を傾ける様子も 11月8日(月)、帝国ホテル(東京都)において、ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー2010授賞式(日本歯科医師会主催、以下、日歯、大久保満男会長、株式会社ロッテ協賛)が開催された。本賞は、8020運動の一環として、毎年11月8日の“いい歯の日”に、もっとも笑顔が素敵な各界の文化人・著名人を対象に、全国約65,000名の日歯会員の投票によって表彰するもの。17回目となる今年の“著名人部門”では、松下奈緒さん(女優)、佐々木蔵之介さん(俳優)が表彰された。 また、“一般部門”のフォトコンテストでは、全国から2,507点の「とびきりの笑顔写真」が寄せられ、審査委員長の浅井愼平氏(写真家)らによって8点の作品が選出された。一般部門の8点の作品より、今年より新設されたグランプリ1作品に、宗形繁雄さん(福島県)が選出された。 主催者を代表し、大久保会長は「今は笑うことの少ない厳しい時代だが、本賞を通じこんなにも笑顔があったのかと感動した」と述べた。日歯、「都道府県歯科医師会男女共同参画推進検討会議」を開催 10月27日(水)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、大久保満男会長)による「都道府県歯科医師会男女共同参画推進検討会議」(女性歯科医師の活動に関する検討委員会、倉治ななえ委員長)が開催された。 会場では大久保会長、石井みどり氏(参議院議員)、西村まさみ氏(参議院議員)の挨拶後、さる6月に日歯「女性歯科医師の活動に関する検討委員会」がまとめた「歯科医師会における男女共同参画等に関するモデル意識調査報告書」ならびに同日提出した答申書をもとに、倉治ななえ氏(女性歯科医師の活動に関する検討委員会委員長)による報告が行われた。 引き続き、岡島敦子氏(内閣府男女共同参画局長)による「男女共同参画社会の構築に向けて」と題する講演が行われた。岡島氏は男女共同参画に関する日本と諸外国の国際比較など、多数の資料を供覧し、今後の課題や展望について解説した。 その後、岩手県、埼玉県、岐阜県、神奈川県、福岡県の各歯科医師会担当者より、女性会員などの活動支援と入会促進についてのケースプレゼンテーションが行われた。 最後に行われたパネルディスカッションでは、歯科医師会事業における男女共同参画推進について、今後の女性歯科医師のさらなる活動支援や、入会促進などについて積極的な意見交換が行われた。大久保会長は、「男性、女性それぞれの視点から国民のための歯科医療に協力していただける会ができれば日歯はたいへん強い組織となる」と総括した。 日歯が組織力向上のための女性会員入会に期待していることは明らかだが、答申書でまとめられているように、女性が働きやすい環境を整備することが入会金などの会費負担を減少させるよりも急務ではないかと思われる。 保険の窓進行を務めた小林 馨氏(写真中央)。ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー2010著名人部門に松下奈緒さん、佐々木蔵之介さん社 会 著名人部門で受賞した松下さん、佐々木さん。アンケート調査ならびに答申書の報告を行う倉治ななえ委員長(写真中央)。政 治「単月審査」「縦覧審査」「横覧審査」(その1) 「単月審査」「縦覧審査」「横覧審査」の3つの言葉がすぐさまわかるのは、よほど医療保険の制度・審査に精通している方であろう。筆者は「横覧審査」という言葉にはなじみがなく、知ったのはごく最近である。 医療機関などより支払い基金あるいは国保連合会に提出されたレセプトは同月末までに審査を終え、速やかに保険者に送付することとされている。提出された月に行う審査を原審査という。これまで紙レセプトに対する原審査においては、前月以前のレセプト情報がなく、その月のレセプトに記載されている内容についてのみ審査を行うため、単月審査と呼ぶ。 保険者に送付されたレセプトは患者毎に整理され、それぞれの患者の1医療機関における連月にわたる治療内容が把握できる審査を縦覧審査という。たとえば、P病名とされる部位があり、その歯数内のSRPの算定であれば単月審査で可とされるが、保険者で縦覧によりSRP の算定が歯数を上回ったことが判明すれば再審査が行われる。歯科においては、月・年などにおける算定制限が多数あることから、縦覧審査により多くの誤りが指摘されている。 さて、同一月に複数の医療機関を受診し、調剤の請求もある場合などは保険者においてそれらを突合することも可能である。歯科においては患者を紹介した場合や処方せん発行の場合などがあるが、医科においては同月の他科受診はよくあることと思われる。このような同一患者の同月複数レセプトの突合を横覧審査という。 (お茶の水保険診療研究会:Y・S)

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