新聞クイント2012年1月(お試し版)
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2012年1月10日(火) 第193号2報告がなされた。日歯は見解のなかで「本番号制度の利用範囲は税務分野と社会保障分野の現物給付(B-1案)までは容認するものの、医療・介護などの現物給付(B-2案)を番号制度に組み入れることについては、反対の意を表明する」としている。番号制度導入にあたっては、個人情報が漏えいしないためのセキュリティ対策の強化や、ITに関する国民全体の十分な理解が必要としている。 また、同月14日付けで第18回中医協・医療経済実態調査結果(個人歯科診療所)に対する見解も報告された。 その他には、佐藤 保常務理事より「第8回医療計画の見直しに関する検討会」(武藤正樹座長、国際医療福祉大大学院教授)の進捗状況が報告された。そのなかで、4疾病5事業の中の5事業の1つに挙げられている災害医療等に関する検討会(災害医療等のあり方に関する検討会)の報告書が出され、災害医療や中長期の医療提供体制のなかに日本歯科医師会の役割が記載されていることを報告した。 東日本大震災を機に歯科の果たす役割がより認識されつつあるといえるのではないだろうか。 今月のニュースキンググループを2回開催し、先般、小宮山厚生労働大臣に日本歯科医師会、全国歯科技工士教育協議会、日技との連名で“歯科技工士国家試験の全国統一化に関する要望書”を提出したことも報告された。古橋会長は、国家試験の全国統一化に関しては法律改正をともなうため、「税と社会保障の一体改革の中で議論していくことになるだろう」との認識を示した。 その他には、衛藤勝也常務理事より、さる11月4日から7日の4日間、フィリピンにおいて「第16回アジア・太平洋地域歯科技工士連盟協議会」が開 11月18日(金)、日本歯科技工士会館において、日本歯科技工士会(以下、日技、古橋博美会長)による記者会見が開催された。 会見では古橋会長より、時局報告として歯科技工士を取り巻く環境整備に関して、6月に厚生労働省より「歯科医療における補てつ物等のトレーサビリティに関する指針について」の通知が発出されたことが報告された。また、歯科技工士国家試験について、これまでに歯科関係8団体を含めたワー催され、各国地域(中国、韓国、中華台北、マレーシア、フィリピン、日本)の歯科補綴物等のトレーサビリティについてなど、歯科技工をとりまく問題点や課題について議論されたことが報告された。衛藤常務理事は、トレーサビリティについて各国とも非常に高い関心を示し、日本の取り組みが評価されていると述べた。 さらに、東日本大震災に対する日技の取り組みを掲載した冊子『すべての歯科技工士の皆さまへ』も紹介された。 今月のニュース社会保障・税に関する番号制度に対する見解を発表日歯定例会見日本歯科商工協会の「顔」山中通三株式会社吉田製作所 代表取締役社長臨・学・産の連携が歯科医療界の発展のカギ 「歯科医療は機器や材料なしでは成立しない」。道具や材料に依存する割合が高い歯科医療界を支えてきたのは、歯科産業界といっても過言ではない。2011年6月、日本歯科商工協会会長に就任した山中通三氏(株式会社吉田製作所代表取締役社長)は、日本の歯科医療界をどのように捉えているのか。歯科産業界のトップにうかがう。山中:2007年に歯科業界を挙げて策定した「歯科医療機器産業ビジョン」では、歯科医療技術の国際的発信力の強化が示されています。しかし、歯科の新潮流といえるインプラントおよびCAD/CAMの輸入が増加している状況を見ると、その発信力が強化されているとはいえません。また、先般開催された世界最大のデンタルショー、IDS2011の出展数でも中国や韓国の企業の伸びは目を見張るものがありますが、日本はほぼ横ばいです。その点においては、国を挙げたサポートが必要ではないかと考えています。 歯科医療機器は保険収載によって普及の度合いが異なるため、保険制度の問題が研究開発のボトルネックになっていることは否めません。 そのような背景のもと「歯科医療機器産業ビジョン」の5年間の変化について状況の検証と各データを更新し、現在新たに「新歯科医療機器・歯科医療技術産業ビジョン」を取りまとめています。その中でも歯科医療界として、とくに3つのテーマの対応が挙げられます。 1つ目は、超高齢社会への対応です。日本の高齢化率は世界でも類を見ないほど突出しており、いずれ世界各国も追随してくるでしょう。日本は先進モデルとしてその関連分野の医療機器開発に限らず、医療連携などのノウハウを世界に発信できる絶好の機会です。「歯科医療技術革新推進協議会」のワーキンググループの1つである「歯科医療機器•器材開発小委員会」においても、在宅歯科医療に対応する医療機器の開発に取り組んでいますので、歯科医療界を挙げて対応していきたいと考えています。 2つ目は、国際競争力の強化です。とくに歯科医療機器におけるデバイスやまなか・みちぞう1975年、成蹊大学工学部電気工学科卒業。1978年8月、株式会社吉田製作所入社。1987年、城西歯科大学歯学博士。1992年6月より、同社代表取締役社長。2006年1月より、吉田精工株式会社代表取締役社長。日本歯科器械工業協同組合理事長を歴任し、2011年6月、一般社団法人日本歯科商工協会会長に就任。現在、日本歯科産業学会会長も務める。ラグ(認証・承認)問題は喫緊の課題です。現在話題のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加については注視しなければなりませんが、産業界として国際競争力を強化すれば海外はもとより国内の研究・開発環境も活性化すると考えています。 3つ目は、国民の「安心•安全」確保体制の確立です。トレーサビリティを強化し、歯科医院で使用される材料などを明確化できる体制を構築していきたいと考えています。 現在、歯科と全身の関係性が注目されるなか、臨・学・産の連携が今後の歯科医療界の発展のカギを握っていると思います。本会としても現場のニーズを製品開発に反映できるよう尽力してまいる所存です。 会見では医療経済実態調査(個人歯科診療所)に対する見解も示された。日技、記者会見を開催政 治政 治2012年の歯科医療界、飛翔の年となるか…… 絵 山香和信 11月24日(木)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、大久保満男会長)による定例記者会見が開催された。 冒頭の挨拶のなかで大久保会長は、平成24年度診療報酬・介護報酬改定について「あくまでも慢性疾患を抱えた高齢者の健康を、医療と介護を通して守っていくかが最大の課題」とし、歯科の重要性をアピールしながら各方面へ折衝していきたいとした。 引き続き、近藤勝洪副会長より、同日付で発表された「社会保障・税に関する番号制度に対する見解」について

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