新聞クイント2012年2月(お試し版)
2/3

2012年2月10日(金) 第194号2いても述べ、今後の基本計画の動向に注視していきたいとした。以下に骨子(案)に記載された歯科に関する箇所の抜粋を示す(原文ママ)。放射線療法、化学療法及び手術療法のさらなる充実(目指すべき方向)○がん医療全体に関すること・各種がん治療における副作用の予防や軽減など、さらなる患者のQOLの向上を目指し、医科歯科連携による口腔ケアの推進をはじめ、食事療法などによる栄養管理やリハビリテーションの推進など、職種間連携を推進する。○手術療法の推進・手術療法における肺炎や手術部位感染などの合併症予防や術後の早期回復のため、麻酔科医の充足を図ると共に、ロ腔ケアに携わる歯科医や感染管理を専門とする医師などとの連携を図り、質の高い周術期管理体制を整備する。がん医療に携わる専門的な医療従事者の育成(課題)・放射線療法、化学療法、緩和ケア、口腔ケア等のがん医療に専門的に携わる医師や歯科医師をはじめ、薬剤師や看護師等の医療従事者は不足しており、専門的研修などの育成を促進する必要がある。 今月のニュース 12月23日(金)、はまぎんホールヴィアマーレ(神奈川県)において、デンタルファミリーオーケストラ(以下、DFO)第1回チャリティーコンサート(長 正英実行委員長)が開催された。会場には、日本歯科医師会をはじめ多くの歯科医師会、大学の後援、企業協賛のもと、歯科関係者や一般の参加者、約450名が集まり盛会となった。 DFOは、現役の歯科医療従事者かつ音楽演奏愛好家で構成され、演奏を広報手段の1つとして、歯科医療の重要性を世にアピールすることを目的として2010年に結成された。 当日は、コンサートに先立ち、会場フロアには市民向けの歯科相談コーナーが設けられ、一般歯科相談、口腔がん検診、矯正相談、ホワイトニング相談、アンチエイジング相談などが行われた。その後、プレトークとして「ご存知ですか? おくちの病気とからだの病気との深い関わり」と題して、宮田 隆氏(歯科医学教育国際支援機構理事長)が登壇。歯周病と全身とのかかわりについて、市民向けにわかりやすく解説した。 今月のニュース次期がん対策推進基本計画の骨子(案)に歯科に関する文言が記載日歯定例会見福岡歯科大学口腔医療センター長松浦正朗福岡歯科大学特任教授患者さんはもとより九州各地の先生方に同センターを利用していただきたい 2011年12月14日、博多駅前(福岡市博多区)に福岡歯科大学口腔医療センターが開設された。一般的に、大学附属病院は規模が大きく、紹介状がなければ受診しにくいが、同センターは気軽に行ける環境にある。歯科大学の附属施設が最新の歯科医療を提供することもあってか、患者さんからの期待も大きいようだ。本欄では、同センター長に就任した松浦正朗氏(同大学特任教授)に開設の経緯ならび今後の展開についてお話をうかがう。松浦:福岡歯科大学(以下、本学)は福岡市西部郊外(福岡市早良区)にあり、本学の医科歯科総合病院を受診する患者さんは、交通アクセスの関係で福岡市西部の市民にほぼ限定されていました。そのため、本学での治療が必要な難症例への対応、あるいは福岡市東部、南部、さらには福岡市以外の福岡県内をはじめとして、他県で診療している歯科医師の先生方との病診連携が円滑に実施できないのなどの問題がありました。 そこで、本学は福岡市の玄関口である博多駅前に口腔医療センターを開設することにより、これらの諸問題が解決できると考えました。2011年3月には九州新幹線が全面開通し、さらに高速バスによる交通網を利用することで、博多駅前は交通至便になりました。これによって、九州全域の人々に広く本学の歯科医療技術を提供し、さらには各地の歯科医療機関との連携を図り診療を行うことが可能となりました。 口腔医療センターは、本学から助教以上の歯科医師10名、歯科衛生士8名、その他には歯科技工士、放射線技師のスタッフを配置し、また歯科治療台17台、手術台2台、歯科用コーンビーム CT、口臭測定用ガスクロマトグラフィーなど、最新の技術と設備を備えています。診療科目は口腔外科、総合歯科、口臭科、口腔インプラント科、スポーツ歯科、審美歯科、小児歯科、矯正歯科といった全科を網羅し、一般開業歯科医では診療できない分野を中心に補綴、保存を含む歯科全般をカバーしています。まつうら・まさろう1971年3月、東京歯科大学卒業。同年11月、東京医科歯科大学歯学部附属病院医員(第一口腔外科教室)。1979年7月、鶴見大学歯学部口腔外科学助教授(口腔外科学第一講座)。1998年11月、福岡歯科大学口腔インプラント科(現・同学咬合修復学講座口腔インプラント学分野)教授。2011年11月、同学特任教授、同学口腔医療センターセンター長。 近年、歯科の診療形態は大きく変化しています。インプラント手術や補綴治療にはCAD/CAM技術が広く導入され、使用する材料もチタンやアルミナ、ジルコニアなど生体親和性の高い材料が、従来の金属鋳造物と入れ替わりつつあります。審美歯科の領域では色彩分析が進歩し、測色も細かく数値化されています。今後の展開としては、患者さん中心の歯科医療の提供とともに、このような最新機器を活用した治療技術の研修ができる卒後研修施設として、さらに情報発信基地としての機能をもたせたいと考えています。 最後に、患者さんはもとより九州各地の先生方に同センターを利用していただければ幸いです。大久保会長に代わって挨拶する近藤副会長。資 料政 治低空飛行を続ける歯科医療費、上昇なるか…… 絵 山香和信 12月15日(木)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、大久保満男会長)による定例記者会見が開催された。 会見のなかで佐藤 保常務理事は、日歯が同月5日付けで厚生労働省「がん対策推進協議会」(門田守人会長)宛に「がん対策における医科・歯科連携の充実等について」の要望書を提出したことを報告した。そのうえで、同月12日に開催された第29回がん対策推進協議会で提出された「次期がん対策推進基本計画の骨子(案)」に歯科に関する文言が記載されたことにつデンタルファミリーオーケストラ第1回チャリティーコンサート開催指揮者として活躍する直井大輔氏を迎え、モーツァルトやベートーベンなど代表曲が演奏された(ピアノ:久世香澄氏、ハーバード大学)。

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る