新聞クイント2012年2月(お試し版)
3/3

2012年2月10日(金) 第194号3保険の窓 今月のニュース大賞を受賞した「デンタルプラザ福岡」のインテリアデザイン(撮影:後藤晃人)。 株式会社モリタ(大阪府、森田晴夫代表取締役社長)の福岡支店ショールーム「デンタルプラザ福岡」が、「2012年JID賞ビエンナーレ」(社団法人日本インテリアデザイナー協会主催、以下、JID)の大賞を受賞した。 同賞はインテリアデザイナーや関連する企業・組織の優れた活動成果を表彰することにより、日本のインテリアデザインの質的向上とインテリアデザイナーの職能の向上とを促進するとともに、豊かな社会と文化の発展に寄与しようとするもの(JIDより)。以下に審査講評を示す(原文ママ)。審査講評 歯科医療器材の輸入商社としてスタートし、95年の歴史を持つメーカーショールームである。地方都市の郊外に設けられた事からも使用形態は歯科医療に携わる関係者を対象としており、一般に開放されたスペースではなく、外部から認識できない。 高さ6mのメタルで構成されたVMDスペースを抜けると、全ての物が漂白された白の世界に引き込まれる。エキスパンドメタルのスクリーンにより、ゆるやかに区切られた診療台展示スペースやミーティングスペースは「ものだけ見えるショールーム」をはるかに超え、さらにシームレスな空間構成ディティール、照明デザインが浮遊感や無重力な世界を見事に演出している。 1964年に初めてデザインされた診療台のデザインが時代を超越しているように、企業との絶妙なコラボレーションが極めて良質な空間を提供している。 1月7日(土)、歯科医師会館において、第28回「歯科医学を中心とした総合的な研究を推進する集い」(日本歯科医学会主催、江藤一洋会長)が開催された。本集いは、臨・学・産協同を含めた学際的交流を通じ、新しい研究分野の開拓と研究の活性化を図ることを目的として毎年開催されている。会場では11題の演題発表、ポスターディスカッションが行われた。 今回の発表では、「バイオマーカーを用いた糖尿病関連歯周炎の診断研究」(木戸淳一氏、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部歯周歯内治療学分野)をはじめとする口腔と全身の健康に関する研究、「歯肉上皮細胞の機能制御に着目した歯周病予防法の開発」(藤田 剛氏、広島大学大学院医歯薬学総合研究科歯周病態学分野)といった歯周病予防や診断に関する研究、「歯肉をiPS細胞源とする歯科医療技術の創成」(江草 宏氏、大阪大学大学院歯学研究科歯科補綴学第一教室)のTissue Engineeringの研究など、臨床応用が期待される研究が数多く見受けられた。 また、今回は産業界より「新歯科医療機器・歯科医療技術産業ビジョンについて」(山中通三氏、日本歯科商工協会)など、日本の歯科医療を取り巻く問題点や今後の課題も示された。 各講演後には座長による進行のもと、研究発表者と聴講者による質疑応答が行われた。発表終了後に行われたポスターディスカッションでは、発表者と参加者による活発な意見交換も見られた。 今月のニュースデンタルプラザ福岡、「2012年JID賞ビエンナーレ大賞」を受賞 今月のニュース登壇する熊谷 崇氏。 12月18日(日)、ベルサール汐留(東京都)において、「熊谷 崇先生ファイナル講演会」(株式会社オーラルケア、シロナデンタルシステムズ株式会社、株式会社ナカニシ共同主催)が「40年の臨床から見えてきたもの、そしてそこから拓かれる明日への展望」をテーマに開催された。熊谷 崇氏(山形県開業)の対外的な講演活動が今回で最後となることもあってか、会場には定員を大幅に上回る約1,500名が参集し、大盛況となった。 第1部では、熊谷氏が「40年の臨床を振り返って」と題するテーマで、これまでの歯科医師人生を「選択と決断」というキーワードを用いながら振り返った。また、日吉歯科診療所30年間で蓄積された膨大な患者データを供覧しながら、メインテナンスを重視した診療システムや歯科医療のあり方など、持論を展開した。 第2部では「企業はどのように発展・成長し、今後どのように発展していくのか~企業発展の戦略と今後の展望」と題するテーマで、熊谷氏と縁の深い歯科企業の社長である中西英一氏(株式会社ナカニシ代表取締役社長)、大竹喜一氏(株式会社オーラルケア代表取締役社長)、栗城祐治氏(シロナデンタルシステムズ株式会社代表取締役社長)が順次登壇。3氏とも会社紹介を交えながら、国際的な視点に基づく企業戦略や今後の展望について述べた。 第3部では、「明日への展望を拓く次世代へのメッセージ」と題するテーマで、熊谷氏が再度登壇。今後の歯科医療界に対する提言もなされ、会場は真剣に聞き入る参加者で終始熱気に包まれていた。「熊谷 崇先生ファイナル講演会」に1,500名が参集し大盛況となる医療経済実態調査報告について(その3) 平成3年7月、中医協において診療報酬基本問題小委員会が設置され、2年後の平成5年9月に報告書が出された。本報告書は、昭和33年に導入された「新医療費体系」を見直すものであり、平成6年4月以降の診療報酬改定はこの報告に基づいて行われてきた。 本報告書の「B診療報酬改定ルール」に「診療報酬の改定は2年に1回実施する医療経済実態調査において医業経営の実態を把握したうえ物価及び賃金の動向、自然増による医療機関の収入増、医学・医療の進歩など医療を取り巻く諸状況を総合的に勘案し、中医協の審議を踏まえ実施している」とあり、また「医療経済実態調査は(中略)しかしながら内容も医業収支の動向など経営評価が中心となっており、医業費用の原価分析を行えるようなものとはなっていない」と指摘している。 ところが、その後医療費抑制策の下、現行の改定幅決定は財務省の手に委ねられたも同然であり、近年、歯科医療機関の収支は悪化の一路をたどっているが、「歯科医療機関の増加のゆえんでしょう」と一瞥もされない。さらに昨年の調査報告に関し、医科・歯科とも大幅に収支を悪化させているにもかかわらず、支払側は「医療機関の経営状況はおおむね安定的に推移している」との認識を示した。この認識は、明らかに医療経済実態調査の初期の目的を逸脱しており、もしそのような表明をするならば医療機関の適正収支額の明示が前提ではないか。「勤務医と比較して云々」は問題外である。 重要視されなくなった調査は、廃止を含め見直しが必要であろう。 (お茶の水保険診療研究会:Y・S)研究者同士の交流の場となることを期待して挨拶する江藤会長。第28回「歯科医学を中心とした総合的な研究を推進する集い」開催企 業ひ と社 会

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る