新聞クイント2012年5月(お試し版)
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2012年5月10日(木) 第197号3保険の窓 今月のニュース 3月28日(水)、東京ドームホテル(東京都)において、東京歯科大学大学院歯学研究科(井上 孝研究科長)による「口腔がん専門医養成コースフォーラム」特別講演会・成果報告会が開催された。同研究科は、平成19年度からスタートしている文部科学省大学改革支援事業「がんプロフェッショナル養成プラン」に歯科大学で唯一参加しており、口腔がん専門歯科医師の養成のための「口腔がん専門医養成コース」を平成20年度より新設している。平成23年度が同事業の最終 3月22日(木)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、大久保満男会長)による定例記者会見が開催された。 理事会後の会見のなかで大久保会長は、「歯科医療は大きな広がりをもちはじめているが、いまだイメージは限定的である」と述べ、残りの任期1年の最重要課題として、国民に理解される歯科医療のアピールを挙げた。 引き続き、さる3月13日(火)に開催された「TPP(環太平洋経済連携協定)を考える専門分野会議」に出席 3月18日(日)、東京ステーションコンファレンス(東京都)において、平成23年度災害支援歯科衛生士フォーラム(日本歯科衛生士会主催、金澤紀子会長)が開催され、各都道府県の歯科衛生士会会長および災害支援担当者が参集した。 会場では、金澤会長による挨拶後、東日本大震災被災地区支援活動の状況について、坂本まゆみ理事(口腔ケア担当)より県外派遣チームの活動状況などが報告された。 引き続き、甚大な被害を受けた被災年度となることから、今回のフォーラムでは同コースの成果報告や特別講演などが行われた。 会場では、北川雄光氏(慶応義塾大学医学部外科学教室教授)と芝 清隆氏(公益財団法人がん研究会がん研究所蛋白創製研究部部長)による特別講演が行われた。 その後の成果報告会では、益田典幸氏(北里大学大学院医療系研究科呼吸器内科学教授)による人材育成に関する講演や、片倉 朗氏(東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学教授)によし、日歯の見解を述べたことについて報告した。大久保会長は「公的な保険制度と民間保険を同等に扱うということ自体ナンセンスだ」とし、引き続きTPPの議論の中に医療を入れることについて反対していく姿勢を示した。 また、東日本大震災における身元確認作業への貢献が評価され、さる3月12日(月)に警察庁長官より感謝状の贈呈を受けたことが報告された。日歯は震災発生後、警察庁からの要請を受けて歯科所見による身元確認作業のために、被災地に延べ2,600名の3県の活動報告が行われた。岩手県の活動状況については、晴山婦美子氏(岩手県歯科衛生士会副会長)より全会員のメールアドレスを登録し、情報共有や連携を図っていることが説明された。また、宮城県の活動状況について奥谷房子氏(宮城県歯科衛生士会会長)、福島県の活動状況について菅野洋子氏(福島県歯科衛生士会会長)より報告がなされ、各県の会員も被災しながら避難所などで口腔ケアに取り組んだ歯科保健支援活動が報告された。 その後、中久木康一氏(東京医科歯る「がんプロフェッショナル養成プラン」のコースプログラムの概要説明や報告がなされた。 また、石崎 憲氏によるUCLA歯学部顎顔面補綴科への留学体験報告、大久保真衣氏(ともに東京歯科大学講師)によるフロリダ大学での研修報告が行われた。さらに、同がんプロフェッショナル養成プラン修了生として、河地 誉氏(亀田総合病院歯科センター)による研修体験報告が行われた。 最後に井上 孝研究科長は、今後も人材育成に注力したいと総括した。歯科医師を動員した。 その他には、柳川忠廣常務理事より、東日本大震災において生前の歯科データの流失などによって身元確認作業が長期化したことから、今日の経験を踏まえ平時からの歯科所見のデータベース化に向けたモデル事業に関する予算措置のための陳情書を、3月15日付で民主党幹事長宛に提出したことが報告された。 歯科のデータベース化については今もなお日本各地で地震が多発していることから、早急な対応が望まれる。科大学大学院医歯学総合研究科助教)による講演「災害時の口腔保健活動について―歯科衛生士への期待―」が行われた。中久木氏は、自身の宮城県女川町および気仙沼市での支援活動について触れながら、ボランティアによる外部支援のあり方やその必要性、日々変化する現場のニーズへの対応について概説した。また、被災地支援に対する心構えとして、「みずからがその地域に引越しして生活するような気持ちが必要」とアドバイスした。 今月のニュース 今月のニュース点数改正後の影響について 今回の点数改正にあたり、日本医師会は早々に医療費のアップは要求しないとした。それに対し、日本歯科医師会(以下、日歯)は経営基盤の安定のための点数アップを要求した。国を挙げて復興に取り組んでいるなかで“KY”(空気が読めない)といった嘲笑とも取れる批判も受けた。 一方、厚労省は「社会保障・税の一体改革」で示した2025年のイメージを見据え、今回の改定を「あるべき医療の実現に向けた第一歩」と位置づけ、当初から重点課題として歯科においては「チーム医療の推進」と「在宅歯科医療の推進」の2項目を掲げた。この2項目については、たとえゼロ改定やマイナス改定であっても断固導入する決意であったと考えられる。財務省の抵抗はあったものの民主党の決断により歯科は1.7%のアップとなり、そのうち15%は重点項目へ振り分けられた。 1.7%×0.15=0.255%であり、もしゼロ改定であったならこの分は既存の項目のどれかを減額し財源を捻出する必要があったが、1.7%のアップ以外に約1.4%の財源が生まれた。日歯は数年前にタイムスタディによる適正点数を算出し、現行点数の原価主義との乖離を訴え、また長年点数が据え置かれている項目を列挙して新設項目への傾斜配分だけでなく既存項目の点数アップを訴えてきた。この長年にわたる地道な交渉努力が実を結んだということであろう。 ところが、巷間「うまくすると3%の増収があるかも」という無責任な話も聞くが、そのようなことはないと断言する。既存項目の点数変更は頻度や影響率を小数点以下6ケタまで計算した数字であるから。 (お茶の水保険診療研究会:Y・S)警察庁長官より贈呈された感謝状(写真右)について報告する大久保会長。中久木康一氏による講演の様子。特別講演2を聴講する参加者。「口腔がん専門医養成コース」フォーラム開催東京歯科大学大学院歯学研究科平成24年度事業計画の柱は「国民へのアピール」日歯定例会見被災地区支援活動の状況について報告される災害支援歯科衛生士フォーラム災害支援政 治大 学

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