新聞クイント2012年8月(お試し版)
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2012年8月10日(金) 第200号2 会長を斎藤一郎氏(鶴見大学教授)が務めた本総会。「均質な老化」をめざす抗加齢医学では、医科と歯科の垣根を越え、体全体を視野に入れた横断的な対応が不可欠であるという観点から、2日目には会長特別企画として「全身医療における医科歯科連携」と題したシンポジウムを開催。吉川理事長、斎藤会長の座長のもと、大久保満男氏(日本歯科医師会会長)、石井みどり氏(参議院議員)、清野 裕氏(日本糖尿病協会理事長)、吉田統彦氏(衆議院議員)の4氏により、それぞれの立場から講演がなされた。 なかでも、大久保氏は「生きる力を支える生活の医療~あらゆる世代と状況の人々をどう支えるか~」と題する講演のなかで、ターミナルデンティストリー(終末期患者の歯科医療)について触れ、患者が最期まで口から食べることで尊厳を守り、「昨日の食事がおいしかった」と言って最期を迎えられるように歯科として支援することが大切であるとした。 なお、次期総会は、きたる2013年6月28日(金)から30日(日)の3日間、会場は同じくパシフィコ横浜にて開催予定。 6月22日(金)、ホテルニューオータニ(東京都)において、日本歯科インプラント器材協議会発足10周年祝賀会(黒田和彦会長)が開催された。本協議会は、歯科インプラント医療の発展と向上に貢献することを目的とする、日本国内の歯科インプラントおよび関連器材販売企業で構成されている。2002年の設立当時は10社でスタートしたが、日本におけるインプラント治療の普及にともない、現在では20 社で構成されている。 黒田会長は挨拶のなかで、日本経済の低迷や昨年の東日本大震災の影響、また昨今のインプラントトラブルに関する報道について触れ、「加盟各社が協力し、つぎの20周年に向けてさらなる成長が遂げられるように皆さんと一緒に努力してまいりたい」と述べた。 その後の祝宴では、祝賀会の開催に先立ち講演を行った高江慎一氏(厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審「アンチエイジング医学の文明開化」をテーマに第12回日本抗加齢医学会総会「口腔ケア」に光をあてた臨床家米山武義静岡県開業、歯科医師歯科衛生士の存在なしに医科歯科連携は成立しない 近年、口腔ケアの重要性が医療・介護の現場で注目を集めているが、そのきっかけは1999年に米山武義氏(静岡県開業)らが『Lancet』に発表した、口腔ケアによって要介護高齢者の肺炎の発症率が減少するという論文といってよい。いまや多方面から引く手あまたの講演会やセミナーなどで、口腔ケアを通して人間のもっとも重要な「食べる・話す・笑う」といった口腔機能の大切さを発信する米山氏は、今後の医科歯科連携のカギは、歯科衛生士にあると主張する。その真意に迫る。米山:少子超高齢社会を迎えた日本の医療は、疾患の予防はもとより疾患を完治させるのでなく、いかにうまく付き合うかというように医療のあり方が変化してきています。歯科医療従事者としては、患者さんのさまざまなニーズに対応できるようにインプラント治療や再生療法など、最新の歯科医療技術に携わることはとても大事ですが、われわれにもっとも求められている歯科医療は、口腔ケアや摂食・嚥下リハビリテーションなどによって口腔機能を維持・向上させ、生活を支える歯科医療を提供することです。 平成24年度診療報酬改定において、周術期における口腔機能の管理、チーム医療の推進や在宅歯科医療の推進が重点課題として明記されました。また、介護報酬改定においても口腔機能維持管理加算が新設され、口腔ケアの取り組みを充実させるような評価もなされました。国民医療費が年々増加するなか、このような動きや考え方に歯科としていかに対応するかが求められています。 従来は、どちらかといえば歯科医療者側の視点で歯科医療が提供されてきました。しかし、全身疾患を有する高齢患者さんの増加にともなう歯科疾病構造の変化や社会的ニーズの多様化によって、これからは生活者である患者さんの視点から歯科医療を見直さなければ国民から評価されません。そのために歯科医師のみならず歯科衛生士は、歯や口腔という局所でなく全身をトータルで学ぶ必要があり、そのうえで多職種連携のなかで口腔のすばらしさについて積極的に情報発信していくことが求められます。 在宅歯科医療は、単に口腔ケアだけ実施すればよいわけではありません。患者さんの自宅や施設など生活の場に入り、患者さんやその家族の心に寄り添いながらお口のケアと同時に心のケアも行っていくわけです。歯科医師は診断や義歯の調整などは行いますが、実際の口腔ケアは歯科衛生士の人間性や倫理観に頼らざるを得ませんので、歯科衛生士の存在なしに医科歯科連携は成立しないと断言してもよいでしょう。 時代に即した歯科衛生士が多職種連携のなかで活躍することによって、歯科医療は評価されると思います。それにはわれわれ歯科医師の技術的・精神的なサポートが必要です。会長特別企画の会場には多くの聴講者が詰めかけた。日本歯科インプラント器材協議会、発足10周年祝賀会を開催 今月のニュース社 会 今月のニュース学 会歯科衛生士法の一部改正なるか…… 絵 山香和信 6月22日(金)から24日(日)の3日間、パシフィコ横浜(神奈川県)において、第12回日本抗加齢医学会総会(斎藤一郎会長、吉川敏一理事長)が「アンチエイジング医学の文明開化」をテーマに開催され、医師、歯科医師をはじめ医療関係者約4,400名が参集し盛会となった。3日間にわたり、特別講演、招待講演、会長特別企画、教育講演、シンポジウムのほか、ベーシックサイエンス、モーニングセミナー、ランチョンセミナー、イブニングセミナー、一般口演など、多岐にわたるプログラムで構成された。よねやま・たけよし1979年、日本歯科大学歯学部卒業。同年、同大学歯周病学教室助手。1981年~1983年、スウェーデン・イエテボリ大学歯学部留学。1990年、米山歯科クリニック開業。1997年、歯学博士。2004年、医学博士。2012年、POIC(Professional Oral Infection Control)研究会会長。現在に至る。査管理室室長補佐)のほか、山中通三氏(社団法人日本歯科商工協会会長)、高橋勝美氏(日本歯科材料工業協同組合理事長)による挨拶も行われた。 歯科インプラントおよび関連器材販売企業の担当者が一堂に会したこともあり、インプラント治療に関する話題について情報交換をする様子が見られ、にぎわいを見せていた。 なお、同協議会のHP(www.j-implant.jp/)では、国民向け情報も発信している。500ⓒQPC2012Facebook始めました。歯科業界の情報盛りだくさん!http://www.facebook.com/quint.japan「いいね!」ボタンを押してね!ⓒQPC2012

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