新聞クイント2012年9月(お試し版)
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2012年9月10日(月) 第201号3保険の窓 今月のニュース 「東京デンタルショー2012」(大東京歯科用品商協同組合、北関東歯科用品商協同組合主催/一般社団法人日本歯科商工協会共催)が、きたる9月16日(日)と17日(月)の両日、東京ビッグサイト(東京都)において、「口腔から全身の健康を科学する」をテーマに開催される。 初の2年連続開催(通常は隔年開催)となる今回は、歯科関連企業183社が出展を予定しており、会場では歯科用X線CT装置やCAD/CAMシステム、訪問歯科関連機器など最新の歯科医療関連機器をはじめ、材料、薬剤、予防関連製品が展示されるほか、診療のデモンストレーション、また各出展業者による生涯研修セミナー19題も多岐にわたるテーマでの実施が予定されている。 来場者数は2日間で20,000名を予定しているとのこと。以下に開催概要を示す。【開催概要】開催日時:2012年9月16日(日)10:00~19:00/9月17日(月)9:00~17:00会場: 東京ビッグサイト(東京国際展示場)東1ホール主催: 大東京歯科用品商協同組合北関東歯科用品商協同組合共催:一般社団法人日本歯科商工協会出展社数:183社来場予定者数:20,000名事務局: 東京デンタルショー2012 運営事務局TEL:03-5546-0480URL:www.tokyo-dentalshow.com/ 今月のニュース 今月のニュース日付情報について 電子媒体による請求を行っている医療機関のレセプトについては、縦覧点検および突合点検に続いて本年4月診療分より日付情報による審査が開始されている。 たとえば、初診日において歯科衛生士に実地指と歯面清掃を指示し、2日目に歯周病検査を実施して歯管とスケーリングを算定した場合、日付情報により歯管前の歯面清掃は算定不可として返戻または査定の対象となる。また、初診日の歯面清掃時にP基処の算定を行えば、歯周基本治療前の算定として同様に返戻または査定となる。歯清やP基処は同月に複数回行っても1回のみの算定であり、2日目以降にも行っている可能性は否定できないことから、査定は酷として返戻される場合が多いのであろう。 加圧根充については、X線により確認した場合の算定とされていることから、後日にX線の算定があっても要件を満たしていないと判断され、返戻または査定されることがある。返戻されたレセプトについては「根充時のX線の算定もれを次回来院時に算定」などのコメント付きで再請求される場合が多いようである。 また前歯部コア製作時にTeCの算定があると、次回に失PZの算定があってもTeCが返戻または査定されることがある。返戻されれば「失PZ時に算定すべきでした。訂正します」などのコメントが必要であろう。 紙レセプトでは前後関係がわからなかったとはいえ、前述のような審査をするために日付情報を活用することには義憤を感じる。“算定時期誤り”といわゆる“不正請求”とは一線を画すべきと考える。 (お茶の水保険診療研究会:Y・S) 7月15日(日)、東京国際フォーラムにおいて、深井保健科学研究所(深井穫博所長)による第11回コロキウムが「“開かれた社会”における口腔保健・健康増進の展開」をテーマに開催され、80名が参集し盛会となった。 当日は多くの演者により最新トピックスの提供やシンポジウムが催され、活発な議論が交わされた。最後に、深井氏よりコロキウム2012提言「歯の喪失防止と健康増進」が発表された。右記に提言を示す(原文ママ)。深井保健科学研究所が「コロキウム2012提言」を発表第11回コロキウム提言を発表した深井氏。「東京デンタルショー2012」が初となる2年連続開催へ来場者数20,000名を予定昨年開催された会場の様子。 7月28日(土)、さがみ農協茅ヶ崎ビル(神奈川県)において、第30回地域歯科保健研究会(通称:夏ゼミ、北原 稔実行委員長)が、150名以上の参加者のもと、盛大に開催された。本会は、地域歯科保健にかかわる多職種が参加し、講演や自由発表、グループワーク・情報交換を中心に年1回行われる研究会である。30周年の節目となる本年は、「夏ゼミ30年の歩みとこれからの地域歯科保健」をテーマに、4部構成で行われた。 午前の部は、北原 稔氏(神奈川県厚木保健福祉事務所保健福祉部長)による挨拶の後、尾﨑哲則氏(日本大学歯学部医療人間科学教室教授)より、国民の健康づくりの指針となる「健康日本21(第2次)」の概説がなされたほか、石井拓男氏(本会顧問、東京歯科大学教授)よりインターネット中継による30周年記念講演、井下英二氏(滋賀県甲賀保健所所長)より歯科口腔保健の推進に関する法律(歯科口腔保健法)の基本的事項についてなど、地域歯科保健に関する幅広い内容が披露された。また、北原氏は夏ゼミ30年の活動を振り返りながら、日本における歯科保健対策の歴史を紐解き、矢澤正人氏(東京都新宿区副参事)は、8020運動が始まった歴史的背景について解説した。 午後の部では、小椋正之氏(厚生労働省医政局歯科保健課課長補佐・歯科口腔保健推進室長)より「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」について解説がなされ、参加者からは活発な意見や質問が出された。また、参加者による自由発表も行われるなど、非常に盛りだくさんの内容となった。第30回地域歯科保健研究会(夏ゼミ30湘南2012)多職種が参集し30周年を祝う会場には歴代の実行委員長をはじめ、地域歯科保健関係者が多数参集した。社 会社 会展 示 口腔の健康は、全身の健康増進およびQOLの向上に不可欠な要素であり、その取り組みは、歯科医療関係者ばかりでなく、医療、健康、教育など関連する他職種との連携によってその効果および効率性は高まる。 その際、口腔の健康度のoutcomeとして、口腔機能にとどまらず、全身の健康への影響度で評価するための指標設定に関する研究を推進する必要がある。 このような観点から、以下の提言を行う。1. 口腔の健康は、NCDs(non-communicable diseases)のリスク低減に寄与するという科学的根拠の蓄積、および口腔保健とNCDsの共通リスクへのアプローチの具体的取り組みを促進する。2. 歯の喪失は、口腔機能の低下の直接的な原因にとどまらず、全身の健康増進を阻害する要因である。歯を保存する医療技術の進歩と共に、「歯の喪失(tooth loss)または現在歯数(tooth number)」を他分野の専門職および国民レベルで共有できる健康指標のひとつとなるための研究の促進を図る。3. 歯の喪失の要因(リスクファクター)を特定するための研究を推進する。すなわち、口腔保健関連要因(口腔疾患、咬合状態、全身の健康、加齢的変化等)およびの社会的決定要因(social capital、保健医療制度等)に関する科学的根拠の蓄積を図る。4. 歯の喪失防止に関して、地域保健と歯科医療を一体的に提供する社会システムの追究を図る。そして、医療を含むより効果的な口腔保健提供体制を構築していくための働きかけを行う。

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