新聞クイント2012年10月(お試し版)
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2012年10月10日(水) 第202号3保険の窓 今月のニュース 8月18日(土)、長崎県歯科医師会館(長崎県)において、NPO法人ウォーターフロリデーションファンド設立総会・記念講演会(浪越建男理事長、長崎大学歯学部同窓会後援)が開催された。同ファンドは、世界各国で行われているフッ化物と水道水を利用したう蝕予防法である水道水フロリデーションの普及を日本で推進していくためのボランティア団体である。 水道水フロリデーションは、1945年に米国で始められ、現在では米国、オーストラリア、香港、シンガポールの水道がフロリデーション化されており、約50%のう蝕予防効果があることが報告されている。しかし、現在の日本では、米軍基地を除き水道水フロリデーションは実施されていない。 そこで、同ファンドは水道水フロリデーションを日本国民に広く周知させ、それを地方行政に取り入れようとしている市町村や歯科医師会を、人的および経済的に支援することを目的として設立された。 開会の挨拶で、同ファンド設立準備会会長である浪越建男氏(香川県開業)は「われわれ歯科医師は、その分野のプロとして正しい知識を広めるということを積極的に行い、フロリデーションを受け入れてもらえる日本にしなければならない」と述べた。 その後、「我が国における水道水フロリデーションの実施を阻む要因とその対策」と題するテーマで設立記念講演会が開催され、小林清吾氏(日本大学客員教授)、戸張英男氏(埼玉県吉川歯科医師会会長)、加藤尊巳氏(神奈川県川崎市歯科医師会)がそれぞれ登壇した。 今月のニュース 今月のニュース日付情報について(その2) 前回は主に日付情報により審査される算定時期誤りについて記載したが、今回はそれら以外に審査される主な項目を以下に示す。・ スケーリングまたはSRPなどを実施した同日に確認の歯周病検査の算定・ P急発などで切開を行った同日の歯周病検査の算定・ P急発などで切開を行った部位に対する同日のP処およびペリオクリンなどの特定薬剤の算定・ 義管と同日の義調の算定・ 義管の算定なく義調の算定および同月内でその後の義管の算定・ 義歯装着後同月でT.コンデの算定などがある。 もっとも、これらの誤りがつぎからつぎとたくさん見られるわけではない。全体から見ればほんのわずかである。しかしながら日付情報でチェックされるもののほとんどは、紙レセプトであればわからない内容である。これにより、審査上不公平であるとして紙レセプトであったならばチェック不能の内容については、電子レセプトの審査においてもいっさい触らないようにすべきとの意見もあるようだが、それは違うのではないかと筆者は考える。 日付情報による審査もレセプト電子化の目的のひとつであったし、明らかな誤りを見過ごせとは言えない。 あくまでも、知識の向上やレセコンのエラーチェック機能の充実などにより誤算定の減少に心がけることが筋であり、エラーチェック機能を解除した場合の算定であればもはや不当請求ではなく不正請求であろう。ただし、算定時期誤りについては温情を示していただきたいと繰り返し切願する。 (お茶の水保険診療研究会:Y・S)開会挨拶を行う浪越氏。 8月5日(日)、福島テルサ(福島県)において、東北More Smiles 応援講演会(株式会社モリタ主催)が「パワーアップ 歯科衛生士力~患者さんの笑顔のために~」をテーマに開催された。本講演会は、昨年の東日本大震災で被災した東北地区の歯科衛生士向けに臨床に役立つ情報を提供することで、地域住民の健康支援につなげようという考えのもと企画され、3名の歯科衛生士による講演が行われた。 まず、柏井伸子氏(ヒューフレディ・ジャパン株式会社)による「歯科医院における感染管理 これまでとこれから~環境整備・感染管理~」では、患者と作業者の安全を確保するためには、すべての患者との治療において感染の可能性があるとみなす、標準予防策の遵守の大切さを強調した。続く石原美樹氏(フリーランス)による「診る!考える! 診るが変われば臨床が変わる~歯科衛生士の視点から~」では、歯肉・歯・X線写真の見方について症例を共覧し、異常がどこにみられるかを参加者への問いかけを交えて説明した。最後に登壇した水木さとみ氏(株式会社エム・エイチ・アイ)は、「患者さんを支える衛生士力!~セルフコントロールとコミュニケーションの力!~」と題して講演した。水木氏は、患者さんとうまく接するためには、自分や相手の感情に巻き込まれずに落ちついて対応するセルフコントロールと、患者さんの話を傾聴し、共感的理解をする姿勢が必要であるとした。 最後に3名によるディスカッションが行われ、事前に参加者から寄せられた臨床での疑問点に対する質疑応答も活発になされた。東北More Smiles 応援講演会を開催株式会社モリタ左より石原氏、水木氏、柏井氏。 8月17日(金)、歯科医師会館において、平成24年度(第18回)日本歯科医師会/デンツプライスチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム日本代表選抜大会(以下、SCRP大会)が開催された。本大会は、歯科学生みずから研究テーマを設定し、その内容や調査結果を競うもの。歯科界の発展を担う研究者・教育者・開業医の国際的な輩出を目的とし、各国歯科医師会主催および、デンツプライ社後援のもと世界36か国で開催されている。本年度は全国の歯科大学・歯学部から22校が参加し、当日午前より審査会場にて各大学を代表する学生が英語によるポスター発表を行った後、審査が行われ、その結果が表彰式にて発表された。 「線維芽細胞は腫瘍微小環境でPTHrPによりCAFへ誘導される」のテーマで優勝(基礎部門1位)し、日本代表となった大畑八重さん(北海道大学歯学部6年生)は「SCRP大会を通じて同じ志をもった同世代と出会えたことがたいへん嬉しい。今後、この経験を生かしたい」と受賞の喜びを語った。ファカルティアドバイザーの進藤正信氏(北海道大学歯学部教授)は、「10年ほど前にSCRP大会に参加した際は基礎的なものは低い評価という印象だったが、今回は非常に高い評価をいただくことができた。これが彼女のファーストステップとなり、今後も活躍していって欲しい」と述べた。 大畑さんは、本年10月18日(木)より米国サンフランシスコで開催される米国歯科医師会(ADA)年次大会に参加し、世界各国の代表とともに発表を行う予定である。北海道大学の大畑八重さんが優勝平成24年度SCRP日本代表選抜大会優勝した大畑さん(左)と大久保日歯会長。ウォーターフロリデーションファンドが設立水道水フロリデーションの普及・推進を目指す企 業社 会社 会

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