新聞クイント2018年8月(お試し版)
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2018年8月10日(金) 第272号3挨拶を行うStephen Chen氏。 今月のニュース学 会「Tradition & Innovation ―伝統と革新―」をテーマにITI Congress Japan 2018 6月16日(土)、17日(日)の両日、東京国際フォーラム(東京都)において、ITI Congress Japan 2018(International Team for Implantology主催)が開催され、会場には1,570名が参集した。 開会式では、船越栄次氏(福岡県開業)とStephen Chen氏(ITI President・オーストラリア開業)がこれまでの活動報告と今後の展開について述べ、二日にわたる大会の幕を開けた。 「伝統と革新」と銘打たれたセッションでは、塩田 真氏(東京医科歯科大学)をはじめとした4名の演者によって、インプラント臨床のこれまでの発展について検証がなされ、次世代の治療に対する展望などが語られた。 他にも、高齢者におけるインプラント治療や即時荷重、骨造成、軟組織マネジメントなどの多くのトピックスについての講演が行われた。本会で特に目立ったのは、口腔内スキャナの臨床応用に関する講演であった。相原英信氏(東京都開業)は上顎無歯顎に適用した症例などを供覧し、デジタルワークフローを紹介した。新村昌弘氏(東京都開業)は、矯正とインプラント治療を必要としたInterdisciplinaryな症例への治療プロトコルを述べた。審美治療のセッションにおいても、千葉豊和氏(北海道開業)が前歯部審美領域での補綴的アプローチについて述べ、注目を集めた。 閉会式では、勝山英明氏(神奈川県開業)をセクションチェアマンとするITI Section Japanのリーダーシップシームが発表された。新体制のこれからの活動が期待される。 今月のニュース学 会 今月のニュース社 会熱のこもった講演を行う渡邉充春氏。 6月23日(土)、東京医科歯科大学(東京都)において、講演会「どんな方でも幸せに暮らせる街を求めて~渡邉充春を突き動かすものとは~」(新宿連絡会医療班、女川歯科保健チーム主催、歯科保健研究会共催)が開催され、会場がほぼ満席となる64名を集めて盛況となった。 講師を務めた渡邉充春氏(大阪府開業)は、戦後の日本において当時は珍しかった女性の開業歯科医師として活躍する母の影響を受けて歯科医師を目指したことや、歯科医師国家試験を受験拒否された原因となった学生運動、2010年には定年退職金を注ぎ込んだうえに借金をしてまで歯科医院を開設し、今なお精力的に取り組んでいる野宿生活者への歯科支援活動など、幼少期から現在に至るまでの自身がこれまで歩んできた波瀾万丈の人生について回顧。また、歯科医療をとおして社会的弱者が安心して暮らせる町づくりの実現を目指し、2011年には東日本大震災時の支援活動も積極的に動いたほか、現在も継続的に活動している生活保護受給者が3人に1人を占めるという大阪・釜ヶ崎(あいりん地区)での歯科支援活動がテレビで取り上げられた映像も供覧し、参加者の耳目を集めた。 73歳の渡邉氏は、今回の講演を「生前葬」と例えていたが、講演の最後には要介護者になるまで現役を続ける「生涯現役」をアピールするなど、力強いメッセージで会場を沸かせた。歯科医療人としてはもとより、困った人に寄り添い続ける渡邉氏のまっすぐな生き方は、きっと参加者それぞれの胸に響いたに違いない。 渡邉充春氏を講師に迎え、会場満席で盛会となる新宿連絡会医療班、女川歯科保健チーム主催講演会前日からの悪天候の影響が懸念されるなか開催された。 なかでもシンポジウムの2題のように、メインテーマに則った催しとランチョンセミナーやポスター討論では、新しいバイオセラミックス材料が話題となっていた。 特にシンポジウム1「マイクロエンドの足跡と展望」(座長:五十嵐 勝氏・日本歯科大学教授/シンポジスト:古澤成博氏・東京歯科大学教授、三橋 晃氏・神奈川県開業)では、シンポジストの古澤氏、三橋氏が大学教育者と開業医の立場からそれぞれ講演。古澤氏は「いかに正確な根管治療を行うか」を教育者として考えた場合、教育の現場にもマイクロスコープは必須であることを力説。また、三橋氏は臨床家の立場から、診査・診断、明視野下での治療はもちろんのこと、患者へのプレゼンテーションにもマイクロスコープは必須のアイテムであることを述べ、自身の臨床ではそれにともなうアシスタントワークの教育も必要になっている現状を紹介。マイクロスコープを用いる治療に精通した歯科衛生士や歯科助手の存在も必須であることを述べた。第39回学術大会、最新の知見が披露される日本歯内療法学会 7月7日(土)、8日(日)の両日、福岡国際会議場(福岡県)において、第39回日本歯内療法学会学術大会(阿南壽大会長、宇井和彦理事長)が「現在そしてこれからの歯内療法の潮流―『マイクロエンド』と『再生療法』―」をメインテーマに開催された。2日間にわたって一般口演、特別講演、シンポジウム1、教育講演、ポスター討論、ランチョンセミナー、テーブルクリニック、デンツプライシロナ賞受賞講演、シンポジウム2、企業展示などが行われた。 今月のニュース同窓会 つぎに、マイクロスコープを用いた強拡大視野下で露髄した歯髄を診断するポイントとその方法を解説。そのうえで、出血の有無、炎症の強さ、露髄の大きさなどだけでは歯髄の保存可否の指標にはならないと述べ、マイクロスコープを用いて、歯髄の状態を視診で診断する大切さについて強調した。 続いては、CBCT(コーンビームCT)を用いた、おもに根尖性歯周炎の診断について、歯内療法において求められるCBCTの性能としては歯根膜腔が見えることが絶対条件だとする一方、それでも発見できない病変も少数ながら存在し、その診断力は100%万能ではないことも付言した。 最後は狭窄・石灰化根管など、歯内療法における難症例へのアクセスに言及し、解剖学的傾向を参考にしたり、CBCTを注意深く診たりすることで、根管を発見する方法を紹介した。 講演全体を通じて、マイクロスコープ、CBCTを使わなければできない治療、その出発点となる精緻な診査・診断に至るまで丁寧に解説され、終始充実した臨床談話会となった。 6月17日(日)、大阪大学歯学部記念会館(大阪府)において、第504回大阪大学歯学部同窓会・臨床談話会(同窓会会長:谷口 学氏)が、泉 英之氏(滋賀県開業)を講師に迎え開催された。 最初はCR修復をテーマとし、マイクロスコープを用いて精度の高い治療を行った症例を供覧。各種のバーを適材適所で使い分けるとともに、肉眼では難しい切削や、ボンディング材の使用について、動画とともにその重要点を詳説した。講師を務めた泉 英之氏。CBCTとマイクロスコープを用いた最新の臨床を紹介大阪大学歯学部同窓会臨床談話会

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