新聞クイント2018年9月(お試し版)
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2018年9月10日(月) 第273号3大会長を務めた福島直樹氏。 今月のニュース学 会第18回学術大会、学術的根拠に基づく長期臨床データによる知見が披露(一社)日本外傷歯学会 7月14日(土)、15日(日)の両日、福岡県歯科医師会館(福岡県)において、第18回日本外傷歯学会総会・学術大会(福島直樹大会長、木村光孝理事長)が、「外傷歯科学から最新を診る」をメインテーマに開催され、2日間にわたり以下の充実したプログラムが多数展開された。 口腔医学の立場から認知症に関して、武田克彦氏(認知神経科学会理事長)による基調講演「認知症と咬合・咀嚼・嚥下」、丹羽 均氏(大阪大学大学院歯学研究科教授)による特別講演2「超高齢化社会における歯科医療―認知症患者への対応―」では、咀嚼嚥下機能の障害による病型の進行と口腔ケアシステム構築の重要性について解説された。また、森本泰宏氏(九州歯科大学歯科放射線学分野教授)による教育講演では、日常臨床で応用するCTやMRI画像による三次元的情報や病変による質的情報について解説された。山下善弘氏(宮崎大学医学部顎顔面口腔外科学分野教授)による特別講演1では、受傷原因から合併症をともなう検討のほか、2題のシンポジウム「口腔外傷による破折の最新治療―成長期~老年期を対象―」、「口腔外傷から診る長期臨床データの重要性―歯・歯槽骨・顎顔面の検討―」では、各6名のシンポジストらによる活発な討論となり、学術的根拠に基づく臨床評価に有益な知識が数多く披露された。ランチョンセミナーでは、高い吸収性をもつ「カルシウム」の開発が進み、「ナノユニカル」の臨床試験結果が話題となった。その後の一般口演では、基礎と臨床の立場から活発な質疑応答が行われ、本大会は成功裡に終了した。 今月のニュース学 会 今月のニュース社 会 7月26日(木)、東京ビッグサイト(東京都)において、「RE-CAREアワード2018~超高齢社会における産業のあり方を考える~」の表彰式が開催され、資生堂ジャパン株式会社の「資生堂ライフクオリティービューティーセミナー」が介護予防・リハビリサービス部門で金賞を受賞した。 本アワードは、リハビリ・介護予防サービスの展示会「RE-CARE JAPAN」が公的介護保険外で「介護予防、フレイル予防、高齢者リハビリ、自立生活支援」を実現しているサービス・製品の周知と保険外サービスの発展を目的とし、「RE-CAREアワード2018~超高齢社会における産業のあり方を考える~」を開設。①ヘルステック、②介護予防・リハビリサービス、③コラボレーション・連携――の3部門を対象として、リハビリ・介護予防サービスを提供している団体や企業を表彰するもの。 資生堂ジャパンの「資生堂ライフクオリティービューティーセミナー」では、「いきいき美容教室(科学的エビデンスに基づく化粧療法プログラムをグループで楽しみながら実施。参加者の心身機能の維持向上や社会性・社交性を促す)」、「化粧療法講座(高齢者に接する方々のスキルアップとして化粧療法の基礎から実践までを学ぶ場であり、化粧を用いた高齢者とのコミュニケーションスキルや介護・医療スキルへの応用方法などを学ぶことができる)」のプログラムが行われている。本プロジェクト担当者の池山和幸氏は「化粧療法がフレイルの入り口である社会性・心のフレイルの予防サービスとして評価をいただきました。これからも『粧う』を通じて、高齢者の笑顔をサポートしていきます」と弊紙にコメントを寄せた。 なお、銀賞は「くちビルディング選手権」(一般社団法人グッドネイバーズカンパニー)、銅賞は「『成果報酬型』健康増進プログラム」(RIZAP株式会社)が受賞した。資生堂ジャパン㈱、介護予防・リハビリサービス部門で金賞受賞RE-CAREアワード2018会長講演を行う中原 貴氏。副学長・生命歯学部教授)が登壇。「歯科がになう再生医療の未来~歯の細胞バンクによる医療インフラをめざして~」の演題で講演した。 中原氏の研究チームは、歯科発の再生医療として、歯髄などに由来する歯性幹細胞の研究を行っている。歯性幹細胞は、骨髄由来の幹細胞よりも高い増殖能と、それと同等の多分化能を有しながら、がん化・腫瘍化のリスクが低い。こうした利点から、日本歯科大学では、2015年から「歯の細胞バンク」事業を開始。将来の再生医療に歯性幹細胞を提供することを目的に、認定歯科医院を通じ、患者の抜去歯を集め細胞を抽出、培養して凍結保存している。 このほか、歯周組織再生剤「リグロス®」の開発者である村上伸也氏(大阪大学大学院教授)による特別講演や、歯髄由来幹細胞を肝臓の再生に用いる研究をしている八重垣 健氏(日本歯科大学教授)の講演など、再生医療において歯科のプレゼンスを示す発表が多数行われた。これからの歯科の可能性は、歯と口腔だけにとどまらないことを感じさせる学術集会であった。歯の細胞のもつ再生医療への可能性が注目を集める第36回日本ヒト細胞学会学術集会 8月4日(土)、5日(日)の両日、日本歯科大学生命歯学部富士見ホール(東京都)において、第36回日本ヒト細胞学会学術集会(四ノ宮成祥理事長、中原 貴学術集会会長)が、医師や歯科医師をはじめ約250名を集めて盛大に開催された。本学術集会は「生命科学をになう医科と歯科の融合」をメインテーマに、40年近い同学会史上で初めて「歯科」が主催することとなった。 初日午後の会長講演では、本学術集会会長の中原 貴氏(日本歯科大学 今月のニュース学 会これまでの既知のデータを供覧しながら、今後の歯科医療提供体制の変化や人材確保について提言がなされた。 また、堀 憲郎氏(日本歯科医師会会長)と住友雅人氏(日本歯科医学会会長)によるシンポジウム「20年後の歯科界を考える」では両会長が登壇することもあり、大きな注目を集めた。まず、堀氏は日本歯科医師会が10年間にわたりオールデンタルで取り組んできた内容やその成果について紹介しながら、今後の歯科界の方向性について提言した。つぎに、住友氏は医療・介護の「2040年問題」に向けた歯科の「イノベーションロードマップ」について概説。また、逆転の発想による目標設定の重要性や多くの意見や英知を結集して社会に発信していく大切さなど、示唆に富んだ内容を披露した。 2日目は、浅井 厚氏(獣医師、アニマルメディカルプラザ関屋・あさい動物病院院長)による教育講演、北田裕一氏(株式会社JALエンジニアリング代表取締役社長)による特別講演など、歯科にとらわれない他業種の講演という工夫も見られ、盛会となっていた。 7月21日(土)、22日(日)の両日、日本歯科大学新潟生命歯学部(新潟県)において、第59回日本歯科医療管理学会総会・学術大会(藤井一維大会長、白圡清司理事長)が「既成との対峙、そして創造へ~Dental Singularityを目指して~」をテーマに開催された。2日間にわたり各種講演のほか、口演発表18題、ポスター発表14題など多数のプログラムが展開された。 1日目の安藤雄一氏(国立保健医療科学院統括研究官)による基調講演「歯科医師需給問題 既知と未知」では、シンポジウムに登壇した堀 憲郎氏と住友雅人氏(写真中央)。歯科界の代表者によるシンポジウムに注目集まる第59回日本歯科医療管理学会総会・学術大会

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