新聞クイント2018年10月(お試し版)
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2018年10月10日(水) 第274号2 今月のニュース社 会生涯教育の啓発と普及を支援する歯科医師Teresa A. DolanDentsply Sirona Inc.副社長フレイル対策」が重点施策に位置付けられ、神奈川県歯科医師会(以下、神奈川県歯、鈴木駿介会長)は、平成28年度より神奈川県行政から委託され、柏プロジェクトの中心的なメンバーである飯島勝矢氏(東京大学高齢社会総合機構教授)をはじめとする医科・歯科・研究者と協同し、積極的にオーラルフレイル対策に取り組んでいる。 平成30年度は、2018年8月1日から2019年1月末まで、改善プログラムのさらなる効果検証と普及・啓発、地域歯科医師会と地方自治体が主体的にオーラルフレイル対策に取り 神奈川県では、県民の健康寿命の延伸に向けて、「食・運動・社会参加」を中心とする取り組みを県民運動として進めるとともに、ライフステージに応じた未病対策を展開するため、「かながわ未病改善宣言」を公表している。 その対策の1つとして、「オーラル組むためのモデル構築を目的に、海老名市をモデル地域として、海老名市歯科医師会(鈴木仙一会長)ならびに海老名市行政の協力のもと、調査を実施する。 調査対象者は、海老名市在住の65歳以上の約64,000名として、選出された協力歯科医療機関のもと、オーラルフレイルに該当しているかどうかのスクリーニング検査(問診・歯科健診・口腔機能検査)を行い、オーラルフレイルに該当した方には4週間の改善プログラムを実施、その後、プログラムの効果を検証するためのデータ集計および分析を行う。結果については、平成31年度中に有識者会議にて報告書をとりまとめる予定。 神奈川県歯では、本調査をはじめとするオーラルフレイル対策が、国民の健康寿命の延伸につながるとともに、全国のオーラルフレイル対策の指針となる重要な取り組みと位置付けている。 また、鈴木仙一氏(海老名市歯科医師会会長)は、「本調査を柏プロジェクトと同様に海老名スタディと呼ばれるよう、結果を出していきたい」と期待を寄せた。オーラルフレイル改善プログラムの調査・検証へ神奈川県歯科医師会、海老名市歯科医師会ユーザーの皆様に最適な生涯学習プログラムを提供し続けたい 世界30か所以上に生涯学習やショールームの拠点を構え、世界最大規模の歯科企業であるデンツプライシロナ社。このたび来日した副社長兼臨床担当最高責任者であるTeresa Dolan氏は、歯科医師として生涯学習の大切さを訴える。本欄ではその世界規模で展開する臨床教育・生涯学習のコンセプトや今後のプロジェクトの目標などについてうかがった。Dolan:当社は2016年にデンツプライ社とシロナ社が合併し、歯科のトータルソリューションにおける世界最大規模のメーカーとなりました。製品の研究・開発・販売だけでなく、「教育」は当社の使命の中核であり、歯科医療従事者の皆様に、より安心安全ですぐれた知識や技術を提供し続けることを目指しています。 デンツプライシロナアカデミーは現在、世界30か所以上に拠点を構え、多様な生涯学習に対応し、ほぼすべての歯科専門分野において当社特有のテクノロジーを用いたエビデンスベースの教育やコンテンツなど、多彩なプログラムを毎年4万人以上の歯科医療従事者の皆様に提供しています。 具体的には、当社が提供するさまざまなソリューションやワークフロー、また最新技術をデンツプライシロナアカデミーで学んでいただき、先生方の日常臨床へ活用していただいています。またこれらの拠点では、ユーザーの皆様からのフィードバックより着想を得た製品開発やソリューションの実現を目指しています。今後は日本を含めアジアの国々にもこのような拠点をつくる計画のほかに、自社のデジタルコンテンツを発展させ、オンラインで学習可能なeラーニングにも力をいれてく予定ですので、ますます生涯学習の利便性が上がると考えています。 当社は、歯科大学との連携や将来の歯科界を担う若い歯科学生たちの支援にも力を入れており、歯科教育プログラムのニーズを把握し、当社の最新デジタル歯科技術を歯科大学が採用できるよう積極的な支援を行っています。このような次世代の臨床歯科医や学生リーダーに対する当社の取り組みの好例が、Global Restorative テレサ A. ドランテキサス大学(米国)卒業、歯科医師免許取得。2003年~2013年6月、フロリダ大学歯学部長。2013年7月、Dentsply Sirona Inc.副社長兼臨床担当最高責任者。現在に至る。主な研究分野は老年歯科分野。Clinical Case CompetitionとSCADA(Student Competition for Advancing Dental Research and its Application)プログラムです。 当社は、新製品の開発から教育、研修、支援にいたるまで、つねにユーザーのお客様を第一に考えております。今後のプロジェクトの目標としては、歯科医療従事者の皆様に、可能な限り最高の治療を患者様に提供していただくために、ユーザーの皆様の声を聴き、より良いワークフローやトータルソリューションのご提案を行い、イノベーションや新製品の開発に今後も継続的に投資していきます。また、それらのソリューションを最大限に活用していただくため、ユーザーの皆様に最適な生涯学習プログラムを提供し続けたいと考えています。 摂食嚥下障害をもつ高齢者などには、食品の物性や形状を調整する調理が病院や施設内で行われたり、またその方々のために開発された加工食品が使用されたりしています。介護用加工食品には、物性に応じた基準がいくつか設けられているものの、院内調理の基準とは同一ではありません。また、摂食嚥下障害は一様ではなく、大きく分けて①誤嚥や窒息という事故を未然に防ぐ、②嚥下リハビリテーションはじめとリレー連載⑨「食べる」を支える―私の視点―介護食づくりの開発する機能回復――の2つの方向性があり、介護食品を利用する目的も異なります。 摂食嚥下障害への取り組みは、急性期病院、高齢者施設、在宅などでの臨床分野、大学などの研究分野、さらには介護食や介護用食器にかかわる産業分野、行政など、それぞれの分野で摂食嚥下障害者への支援の工夫がなされてきました。今後は個々の取り組みに加えて、連携し相互に個々の取り組みを共有することが必要です。 私が所属する「にいがた摂食嚥下障害サポート研究会」は、臨産学官の連携プラットフォームとして10年にわたる活動を通して、地域で摂食嚥下障害に取り組む関係者が一堂に会して、全国の最新情報、地域の取り組みの紹介を続け、また介護食や介護食器を実際に試食、使用できる施設により在宅における課題を調査してきました。このような取り組みは、全国で活発になりつつありますが、さらなる加速が必要となっています。 介護用加工食品の開発では、おいしさや簡便性といった一般の食品の条件に加えて、摂食嚥下障害そのものの研究、病院・施設の調理方法、リハビリテーションの使用目的など、研究の情報を活かし、そのうえで物性・形状の調整を行うことが必要となっています。これらの課題を解決し、摂食嚥下障害者の希望に沿う介護食づくりのゴールを目指すには、臨産学官の連携が不可欠です。(別府 茂新潟大学大学院客員教授・にいがた摂食嚥下障害サポート研究会)臨・産・学・官連携で食を支える

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