新聞クイント2018年10月(お試し版)
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2018年10月10日(水) 第274号3基調講演を務めた竹内孝仁氏は歯科の役割を強調した。 今月のニュース社 会医師・竹内孝仁氏が基調講演で歯科の重要性を発信自立支援歯科学講演会 8月19日(日)、福岡県歯科医師会館(福岡県)において、「多職種連携における自立支援歯科学講演会~多職種連携で自立支援を目指そう!~」(前歯でも噛める入れ歯研究会主催、南清和大会長)が開催され、歯科医療従事者を中心とする317名の参加者で盛会となった。 午前の部では、南 清和大会長(大阪府開業)による趣旨説明の後、自立支援介護領域の第一人者である竹内孝仁氏(日本自立支援介護・パワーリハ学会会長、国際医療福祉大学大学院教授)による基調講演1「自立支援歯科学の提案」が行われた。竹内氏は、自身が提唱する自立支援介護の基本ケアである「水分摂取、栄養、排便、運動」の重要性に着目し、とくに栄養に関してはしっかり咀嚼することで食塊が形成され、嚥下につながることから、もっとも安全な食事は「常食」と強調。竹内氏が歯科に注目するきっかけともなった河原英雄氏(大分県開業)の義歯調整システムによって、口から食べることで自立性が向上した事例など動画も交えながら解説し、会場を魅了した。その後、介護福祉士、歯科衛生士と歯科技工士による現場の報告が行われ、熱の入った発表が展開された。 午後の部では、リハビリテーション病院などにおける歯科の取り組みとして、歯科医師と歯科衛生士による医療・介護の現場で食べることを多職種で支える事例が多数報告された。また、会員発表の他、南大会長による講演も行われた。最後に、再び竹内氏による基調講演2「口から普通食を食べてもらうケアとその理論(経口常食化理論)」が行われ、成功裏に終幕した。 今月のニュース学 会 今月のニュース社 会 8月25日(土)、ホテル日航熊本(熊本県)において、第17回警察歯科医会全国大会(日本歯科医師会主催、熊本県歯科医師会主管)が「熊本地震から“繋ぐ”支援活動と警察歯科のあり方」を大会テーマに、全国から400名以上の警察歯科関係者が参集し、盛大に開催された。 開会式では、主管県を代表して浦田健二氏(熊本県歯科医師会会長)、主催者を代表して柳川忠廣氏(日本歯科医師会副会長)による挨拶のほか、小野泰輔氏(熊本県副知事)などの来賓祝辞が披露された。 その後、西谷陽子氏(熊本大学大学院生命科学研究部法医学分野教授)の座長のもと、出羽厚二氏(岩手医科大学法医学講座教授)による特別講演や、熊本地震報告として渡辺賢治氏(熊本県歯科医師会副会長)、田中淳一郎氏(熊本県警察本部科学捜査研究所所長)による活動報告が行われた。 また、シンポジウム「熊本地震から“繋ぐ”被災者支援と身元確認のあり方」が開催された。中村誠司氏(九州大学大学院教授)と佐藤 保氏(日本歯科医師会副会長)の座長のもと、柳川氏、工藤祐光氏(福島県歯科医師会常務理事)、中久木康一氏(東京医科歯科大学大学院助教)、牛島 隆氏(熊本県歯科医師会専務理事)が登壇。東日本大震災や熊本地震での取り組みや災害支援活動に関する今後の課題など、実際の現場にかかわった演者らの講演に参加者は熱心に耳を傾けていた。 閉会後に開催されたポスターセッションでは22題が出され、セッション終了後には多数の質問や活発な意見交換が行われるなど盛会となった。「熊本地震から“繋ぐ”支援活動と警察歯科のあり方」を大会テーマに第17回警察歯科医会全国大会基調講演を行う筒井照子氏。現在の医療は先人たちの積み上げてきた歴史や、その恩恵にあずかっていることを忘れてはならないと強調し、医療者・患者がともに納得する医療を行うべきとした。 また、今回のメインテーマである「包括歯科臨床の実践」のセッションでは、上田秀朗氏(福岡県開業)の座長のもと、中島稔博氏(福岡県開業)、小川晴也氏(広島県開業)、国賀氏(兵庫県開業)が「歯周」「矯正」「補綴」のそれぞれ立場から講演。各演者とも、患者の個体差や病態を考慮し、炎症と力のコントロールを行いながら、包括歯科臨床を実践するためのポイントについて症例とともに解説した。 最後に、外来講師の水上哲也氏(福岡県開業)による特別講演「総合歯科診療のなかでの歯周治療―長期経過観察からの考察を含めて」が行われた。水上氏は、実践する総合歯科治療について、長期症例も含めた多くの症例とともに解説。「歯周治療は総合歯科治療のなかで中心的な役割を果たし、歯周治療で重要なのは自院の総合力である」とまとめた。第7回学術大会・総会が成功裏に閉幕日本包括歯科臨床学会 9月1日(土)、2日(日)の両日、連合会館(東京都)において、第7回日本包括歯科臨床学会学術大会・総会(野村英孝大会長、国賀就一郎会長)が「包括歯科臨床の実践 歯周・矯正・補綴――咬合の安定を目指して」をテーマに開催され、約350名が参集した。 2日間にわたり、多数のプログラムが組まれるなか、2日目は本学会顧問である筒井照子氏(福岡県開業)による基調講演「いかに科学として捉えるか―歯科臨床・科学の上になりたつアートの時代」が行われた。筒井氏は、 今月のニュース社 会大学・歯学部から26校が参加した。以下、審査結果を示す。優勝(基礎部門第1位):「骨モデリングとモデリングの骨芽細胞活性化における細胞学的相互作用」(阿部未来さん、北海道大学歯学部6年生)準優勝(臨床部門第1位):「歯周病原細菌の膵がん発症への関与 ―関連遺伝子の同定と膵がん組織内での細菌叢解析―」(山下絵利子さん、北海道医療大学歯学部5年生) そのほか、臨床部門第2位に中田智是さん(松本歯科大学4年生)、基礎部門第2位に西田訓子さん(昭和大学歯学部5年生)が入賞した。優勝した阿部さんは、来年6月にカナダ・バンクーバーで開催される国際歯科研究学会米国部会(AADR)学術大会において発表を行う予定である。 また本大会に先立ち、Teresa A. Dolan氏(Dentsply Sirona Inc.社副社長)はクインテッセンス出版のインタビューに対して、「未来の歯科界におけるリーダー的存在になるであろう学生たちにたいへん期待をしている」と述べた。詳細は3面「顔」へ。 8月24日(金)、歯科医師会館において、平成30年度(第24回)日本歯科医師会/デンツプライシロナ スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム日本代表選抜大会(SCRP大会)が開催された。本大会は、歯科学生みずから研究テーマを設定し、その内容や調査結果を競うもの。歯科界の発展を担う研究者・教育者・開業医の国際的な輩出を目的とし、各国歯科医師会主催および、デンツプライシロナ社後援のもと世界39か国で開催されている。本年度は全国の歯科優勝した阿部未来さん(左)と村岡宜明専務理事。主管県を代表して挨拶する熊本県歯科医師会会長の浦田健二氏。北海道大学歯学部6年生の阿部未来さんが優勝平成30年度SCRP日本代表選抜大会開催

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