新聞クイント2018年12月(お試し版)
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2018年12月10日(月) 第276号2 今月のニュース大 学 10月23日(火)、コンファレンススクエアエムプラス(東京都)において、「~急発展を遂げる、歯科医療が見据える国民健康の最前線~第9回歯科プレスセミナー」(一般社団法人 日本私立歯科大学協会主催、三浦廣行会長)が開催された。本セミナーは、一般メディアを対象に、今後の歯科が担う役割の大きさや魅力について講演を行い、情報を広く国民に伝えることを目的として開催されてきた。2010年10月に開始した本セミナーは第9回目の今回で最終回を迎える。 会場ではまず、小見山 道氏(日本大学松戸歯学部口腔健康科学講座顎口腔機能治療学分野教授)が「原因不明の歯痛への対応~非歯原性歯痛の臨床~」と題して登壇。2011年に日本口腔顔面痛学会が作成した「非歯原性歯痛診療ガイドライン」をふまえながら、非歯原性歯痛の症例を供覧した。小見山氏は、患者が歯の痛みを訴えていても歯が痛みの原因ではない場合があることを症例とともに説明。歯科医師と医師が連携することで、初めて原因不明の歯痛を診断し、治療することができると主張した。 続いて、髙橋一也氏(大阪歯科大学高齢者歯科学講座教授)が「歯科医学教育の今とこれから~超高齢化時代の歯科医師を育てる~」と題して登壇。口腔と全身疾患は強く関連していることに基づき、口の健康増進は長寿や医療費削減につながると主張。厚労省が在宅療養の促進と地域包括ケアの構築を推進する背景を概説した。髙橋氏は、高齢者歯科や訪問歯科などのニーズへの対応として、大阪歯科大学高齢者歯科学講座における高齢者歯科医学教育に関する取り組みを紹介し、変化する社会のニーズに応じた歯科医学教育の重要性を訴えた。第9回歯科プレスセミナーを開催(一社)日本私立歯科大学協会講演後の質疑に応じる小見山 道氏(左)と髙橋一也氏。創業88周年を迎えたナカニシの「顔」中西英一㈱ナカニシ代表取締役社長執行役員革新的「削るテクノロジー」による「美しい進歩」の創造を全社員で実現したい 歯科用ハンドピースの世界トップシェアを誇る株式会社ナカニシ(栃木県鹿沼市、中西英一代表取締役社長執行役員)が今年で創業88周年を迎えた。グローバル時代のなか、ものづくりで確固たる存在感を示している同社が、歯科医療関係者に伝えたいこととは。中西氏にその思いをうかがった。中西:1930年、創業者・中西敬一が東京で歯科用ハンドピースを作る会社として立ち上げてから88周年が経過しました。1945年、東京から現在地の栃木県鹿沼市に移転し、1951年に戦後中断していた歯科用ハンドピースの生産を社員7名で再開しました。 1976年、父・崇介(現名誉会長)が社長就任後は、数々の新製品を世に出し続けるとともに工場の近代化にも積極的に取り組んできました。つねに生産性と品質の向上を考え、マイクロモーターやボールベアリングの量産化などは、ものづくりにかける長年の執念の結果といえます。 その後、2000年に私が現職を引き継いだわけですが経験も浅く、当時は歯科用ハンドピースのシェアも競合他社に負けている状況でした。そこで、私は「NSK REBORN PLAN(NRP)」という戦略を掲げ、グローバルブランド力のアップに着手し、①開発力のアップ②デザインの革新③品質・生産性・生産能力のアップ④グローバル販売網の強化――の4つの柱に注力しました。多くの優秀な技術者や若手デザイナーを積極的に採用し、工場に関しては生産性向上ための設備投資を行ってきた結果、社長就任当時は第5位だった世界シェアは2014年には第1位となり(当社調べ)、現在では世界14か国に現地法人、135か国に販売代理店を有する企業に大きく成長を遂げることができました。 2030年には創業100周年を迎えるわけですが、2030年に向けてつぎなる飛躍が求められます。 そこで当社では「VISION 2030」を掲げ、競合他社よりもいち早く革新的な製品を世に送り出し、社会貢献できる「ダントツのExcellent Medical Device Company」と示しました。そのキーワードは超高齢化であり、最重要課題は健康寿命の延伸です。当社の「デンタル」「メディカル」「機工」3つの事業展開を通じて時代のニーズに大きく貢献できるよう、私たちのミッションである革新的「削るテクノロジー」による「美しい進歩」の創造を全社員で実現したいと考えています。 また、新本社R&Dセンター「RD1」と新工場「A1」によって、自社開発力のさらなる強化と、国内生産がほぼ可能な強い生産力を有することで世界一の生産性、品質・コスト競争力が実現できると確信しています。 最後に、当社を支えてくださるお客様やパートナー、すばらしいチームがいることは当社にとって大きな財産・強みです。これからも引き続き努力していく所存です。なかにし・えいいち1988年、早稲田大学理工学部卒業後、ミシガン大学大学院(米国)で航空工学の制御理論を学ぶ。1990年、同大学院を修了後帰国。同年、株式会社ナカニシに入社。2000年より現職。 摂食嚥下障害をもつ患者さんに対して、歯科が対応していくことの重要性については10年来周知されてきているものの、いざ困った患者さんがいた場合には、どの医療機関に相談すればよいのかがよくわからないという疑問が以前からありました。 そのような問題に対応するために、私たちは摂食嚥下関連医療資源マップ(http://www.swallowing.link/)を制作しました。図内のQRコードからもアクセスできるリレー連載⑪(最終回)「食べる」を支える―私の視点―外出・外食の楽しみをサポートようになっており、現在では約1,400の医療機関にご登録いただいています。実際にこのサイトを通じて、たとえば「○○県に住んでいて遠方への通院は困難だけれども、どなたか嚥下のことを見てくれる人を探してほしい」など患者さんからの問い合わせが時々あり、こちらで探してご紹介することもあります。やはり、困っている患者さんやご家族は情報を必要としているということがよくわかります。 また、このマップの中で嚥下食を提供することが可能なレストラン、飲食店の登録も行っていまして、現在では50件以上の登録があります。なぜこのようなことを始めたかといいますと、在宅で胃ろうの患者さんでもリハビリを行えばたいてい少しくらいは食べられるようになります。そういった方に対して、嚥下食を家で食べるだけではなく、なんとか“外出”の機会をもっていただくために“外食”を利用していただきたいと考えています。 その他、以前より数が増えている要介護者のインプラントへの対応を行うための医療機関登録も、同サイト内で始めたばかりです。なにとぞこのような情報をご活用いただき、ご協力できる先生方におかれましては積極的にご登録をお願いできましたら幸いです。(戸原 玄・東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科老化制御学系口腔老化制御学講座高齢者歯科学分野准教授)嚥下食対応の飲食店を見える化

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