新聞クイント2019年2月(お試し版)
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2019年2月10日(日) 第278号2日本臨床歯周病学会の次期理事長武田朋子東京都開業たけだ・ともこ1981年、東京歯科大学卒業。1987年、ともこデンタルクリニック(狛江市)開業。1998年、現在地(世田谷区)にて移転開業。現在、(特非)日本臨床歯周病学会専務理事を務め、きたる4月1日より次期理事長に就任することが決定している。今月のニュース資料度の「むし歯(う歯)」の割合は、幼稚園35.10%、小学校45.30%、中学校35.41%、高等学校45.36%となっている。すべての学校段階で前年度より減少し、中学校および高等学校においては過去最低を更新した。 また、中学校1年(12歳)のみを調査対象としている永久歯の1人当たりの平均むし歯等数(喪失歯および処置歯数を含む)は、前年度より0.08本減少して0.74本となり、昭和59 年度の調査開始以降ほぼ毎年減少し、こちらも過去最低となっている。 2018年12月21日(金)、文部科学省は「平成30年度学校保健統計速報」を公表した。本調査は、学校における幼児、児童・生徒の発育および健康の状態を明らかにすることを目的に、昭和23年度より毎年実施されている。 本調査の中の健康状態で平成30年12歳児DMF歯数0.74本、過去最低を更新平成30年度学校保健統計速報今月のニュース政治来賓祝辞を述べる東京都知事の小池百合子氏。百合子氏(東京都知事)が登壇。小池氏はまず東京都歯の保健医療福祉行政への協力に敬意を示すとともに、本年9月に開幕するラグビーワールドカップ2019と、開催まであと563日の2020年東京オリンピック・パラリンピックに触れながら、スポーツ選手の歯の重要性について指摘。また、超高齢社会への対応が急務である「2025年問題」についても言及。「健康寿命と平均寿命の差の縮小には、生涯にわたって自分の歯でしっかり噛んで食べる口の健康が重要」と述べ、東京都歯と協力しながらライフステージに応じた歯科医療の必要性と、その普及啓発に努めていく姿勢を示した。 また、堀 憲郎氏(日本歯科医師会会長)は、本年の目標として「現在の取り組みをさらに加速させ、日歯としてリーダーシップを発揮したい。また、予防歯科医療を保険制度の中で評価をしていくかなどの諸問題に取り組んでいきたい」と述べた。 その他には来賓紹介などが行われ、乾杯後の懇談は新春にふさわしく和やかな雰囲気に包まれていた。2019年新春懇談会に業界関係者が多数参集し盛会東京都歯科医師会 1月8日(火)、ホテルグランドパレス(東京都)において、東京都歯科医師会(以下、東京都歯、山崎一男会長)による2019年新春懇談会が「噛むことは健康の源~新たな機能連携を求めて~」をテーマに開催され、各団体・大学・歯科関係者が多数参集した。 開会後、山崎会長は挨拶の中で、昨年全国各地で頻発した自然災害について言及し、「今年一年が災害の少ない幸の多い年となるように祈念したい」と述べた。 来賓祝辞では昨年に引き続き、小池12歳における永久歯のむし歯等数中学校におけるむし歯のある者の割合(本)(%)6.05.04.03.02.01.00.00.010.020.030.040.050.060.070.080.090.0100.091.544.753.101.5481.8956.003020平成10昭和59(注)「12歳における永久歯のむし歯等数」は、昭和59年度から調査を実施している。(年度)12歳における永久歯のむし歯等数中学校におけるむし歯のある者の割合92.2492.240.744.356335.41中学校におけるむし歯(う蝕)の被患率などの推移。文部科学省の資料をもとに編集部作成。学会をとおして学ぶことの重要性を発信したい 日本を代表する著名な歯周治療の臨床医をはじめ、開業医、大学病院の歯科医師など、4,600名以上の会員を擁する日本臨床歯周病学会。浦野執行部に続く新しい「顔」として、学会初となる女性の次期理事長に武田朋子氏(東京都開業)が就任する。武田氏はどのような会務運営を目指すのか、その思いをうかがった。武田:歯周病と全身疾患の関係性が注目されるなか、国民の皆様へわかりやすく歯周病とその関係についてさらに理解を深めていただくために、学術大会や各支部で医科の先生を講師にお招きして市民公開講座を開催してまいりました。このような取り組みは今後も継続し、わかりやすい情報発信に努めてまいります。また会員に対しても有益な情報提供を継続していく姿勢に変わりはありません。さらに近年は医療連携の必要性が高まっていますので医科の関連学会と情報共有を図り、地域の医療従事者とより具体的に医療連携を進めるためのアイデアを理事の先生方と出し合いたいと考えています。 現在、日本は8020運動の成果によって高齢者でも歯が残る時代となっていますが、それにともない歯周病は増加傾向にあります。歯周治療はなくてはならない治療であり、現在ではさまざまな方面からの研究が進み、だいぶ確立されてきていることはたいへん喜ばしいことです。しかし、これからは歯周病を治療して治す時代ではなく予防していくことが求められます。 昨年、米国歯周病学会(AAP)と欧州歯周病学会(EFP)が中心となって約20年ぶりに改定された歯周疾患の新分類については、会員の関心は非常に高いと思います。これに関しては、今後日本歯周病学会とも連携し、学会誌や出版物などを活用しながら会員へ正しい情報を提供していく予定です。また、会員以外の歯科医師にも情報発信していくことで、難易度の高い歯周疾患や歯周治療といった判断の基準として、専門医や認定医の資格を有する歯科医師に紹介するという連携も可能になると期待しています。 そして、国際的な歯科医療人の育成に寄与したいと考えています。海外の学会で発表された内容や論文などの最新情報をいち早く臨床に活かすためには、英語の習得は必要です。 そこで本年6月に札幌で開催される第37回年次大会では、初の取り組みとして座長や演者が通訳なしで、すべて英語で行うインターナショナルセッションを予定しています。多くの会員の先生方に英語に触れていただき、英語論文を読むだけでなく海外とのコミュニケーションを含め、将来的には海外での学会発表を視野に入れたステップアップの機会になればと考えています。 最後に、女性歯科医師の活躍に期待が寄せられるなか、本会の女性の歯科医師会員は約2割となっています。私のような女性会員が今後増えていくことで学会活動の幅が広がっていくでしょうし、学会をとおして学ぶことの重要性を発信したいと思っています。

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