新聞クイント2019年4月(お試し版)
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2019年4月10日(水) 第280号2 今月のニュース社 会指すものである。また、歯科による機能的口腔ケアと化粧療法をあわせて、「口腔外ケア」とし、さまざまな機能やQOLの維持・向上に有効であるとした。化粧療法の特徴としては、高齢者みずからが化粧を行うことで健康維持につながるということがある。 池山氏は、オーラルフレイル対策の3つのアプローチとして、①口腔リテラシーの低下、②口の機能に及ぼす影響、③歯科領域からの社会性・心のフレイル予防を挙げた。高齢者のオーラルフレイルは、まず口腔リテラシーの低下から始まるが、さまざまなエビデンスとともに化粧療法の効果を解説し、歯科における化粧療法の歯科領域への有効性について語った。 また、「化粧療法とは健康を実現する手段であり、だれも化粧療法の専門家ではないからこそ連携しやすくなるのではないか。化粧療法が口の機能に及ぼす良い影響を歯科医療従事者の皆さんに知っていただき、オーラルフレイルのきっかけである社会性・心のフレイル対策としても歯科領域から実施していただきたい」と締めくくった。 2月21日(木)、埼玉会館(埼玉県)において、埼玉県女性歯科医師会中央ブロック講演会(埼玉県歯科医師会男女共同参画推進委員会 女性小委員会中央ブロック主催)が「粧うから口腔ケアを考える~オーラルフレイル対策3つのアプローチ」をテーマに、池山和幸氏(株式会社資生堂ジャパン、医学博士、介護福祉士)を招聘し開催された。 粧うための化粧療法とは、資生堂による整容メソッドであり、整容(スキンケアやメイク)を手段として高齢者の健康の維持・向上を楽しみながら目「粧うから口腔ケアを考える」をテーマに埼玉県女性歯科医師会中央ブロック講演会講演する池山和幸氏。人財育成で歯科界への貢献を目指す企業家濱田真理子㈲エイチ・エムズコレクション代表はまだ・まりこ1991年、日本大学歯学部附属歯科衛生学校卒業後、財団法人日本歯科研修研究協会に入職。1994年、エムズコレクションデンタルネットワークを起業。1997年、有限会社エイチ・エムズコレクションに改名。人財育成分野への注力と、歯科を医科につなげる活動を強化したい 歯科医院に対して25年にわたる人財コンサルティングを行うパイオニアである㈲エイチ・エムズコレクションが、2019年4月で25周年を迎えた。代表を務める濱田真理子氏は歯科衛生士であり、その経験と視点で直接対応する歯科医院のチーム力を高めるための院内研修コースは、利用者から高い信頼や評価を得ている。本欄では、25年を振り返っていただきながら濱田氏が重要視する人財育成と今後の展開についてうかがった。濱田:私が起業した1994年は、現在のように女性の起業家に対する理解が得られにくい時期でした。しかし、私は国家資格を有する歯科衛生士として、歯科業界の中で歯科疾患をもたない患者さんが歯科医院に来院し続ける仕組みをつくりたいと思い続けていました。いつの時代も新しい価値観・大きく変化し続ける社会環境の中で、国家資格を保有する女性が医療を通じて社会に貢献し続けることを創造する機会を実現したいと思い、企業活動をスタートしました。 実際に起業してみると、意識のとても高い多くの歯科衛生士が私と同じ思いや考え方であることがわかり、数年で約70名の女性が集まりました。しかし、モチベーションだけでは仕事は与えられず、本人も結果を出せないという壁に直面し、個人ではなくチームとしての組織の中に教育の仕組みをつくる必要性を実感したのです。そこで経営者として本人のセンスや能力を早い段階で見極めて、本人に適した仕事を与えながら育てる・育て上げるという取り組みを行ってきました。まさに、弊社が掲げる事業の主軸となる「人財育成」の仕組みづくりであり、現在の企業活動の基盤となっています。 その後、弊社は患者さんの健康増進をサポートするパイオニアとして、500名以上をこれまで雇用し、さまざまな活動を拡大してきました。現在は独立して同業を起業した個人事業主や、歯科企業・省庁・保健所の正社員など、同じ思いをもった仲間が全国各地で活躍しています。 歯科院長の多くは、歯学部・歯科大学で経営や人材マネジメントなどを学ぶことなく、開業と同時に経営者となります。そのため一般的にはマネジメントやマーケティングについて、外部コンサルタントがアドバイスやサポートをさせていただきます。しかし、弊社は単純に外部の立場で仕事を請け負う「アウトソーシング」ではなく、歯科医療従事者としての倫理観や薬事コンプライアンスの徹底を図りながら、クライアントの真のパートナーとしてさらに一歩踏み込んだ提案を行い、それを基盤とした新規事業の運用や情報の構築・管理などを実施しています。 臨床現場における歯科衛生士の活躍が期待されているなか、弊社は企業理念の中の「上質または一流の仕事をします」にこだわり「誰かの夢やアイディアを具体化して叶える」というお手伝いを続けていきます。 今後は人財育成分野へのさらなる注力とともに、歯科を医科につなげる活動を強化したいと思います。挨拶を行う武井典子氏。 今月のニュース社 会歯科衛生士法制定70周年・日本歯科衛生士会創立65周年記念の会、盛会となる(公社)日本歯科衛生士会 2月17日(日)、東京国際フォーラム(東京都)において、歯科衛生士法制定70周年・日本歯科衛生士会創立65周年記念の会(公益社団法人日本歯科衛生士会主催、武井典子会長)が盛大に開催された。本会は、記念講演、記念式典、記念祝賀会の三部構成にて挙行され、このたび発刊された冊子『歯科衛生士のあゆみ(2012~2017)』も配布された。 記念講演では、「笑わらいりょく医力~笑いと健康」と題して、高柳和江氏(医学博士・笑医塾塾長)が登壇。「幸せになるには、楽しいこと、のめり込むこと、役に立つことをすべき」と述べ、笑いの大切さを楽しく解説。聴衆参加型の講演に参加者は皆、笑顔に包まれた。 記念式典では、はじめに武井会長が、国民の皆様の健康をとおして、QOL向上や健康寿命の延伸に貢献できるよう努力していきたいとしたうえで、歯科衛生士のあゆみを支えた先人・指導者・関係者の方々への感謝の意を述べた。つづいて、根本 匠氏(厚生労働大臣、代読:吉田 学厚生労働省医政局長)、堀 憲郎氏(日本歯科医師会会長)、住友雅人氏(日本歯科医学会会長)より祝辞が述べられた。その後、厚生労働大臣表彰(46名)、日本歯科衛生士会会長表彰(永年精励賞:55名、功労賞:21名)の表彰式が執り行われた。 その後の記念祝賀会では、これまでの歯科衛生士会のあゆみが和やかに語られ、盛会のうちに幕を閉じた。 超高齢社会の中で高齢者が生涯にわたって口から食べられるために、口腔機能管理を担う歯科衛生士の役割は今後ますます高まる。日本歯科衛生士会の会務運営に注目したい。

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