新聞クイント2019年5月(お試し版)
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2019年5月10日(金) 第281号2 今月のニュース社 会業)、南氏(大阪府開業)の5名によるファウンダー講演のほか、スペシャルゲストスピーカーとして、海外で活躍するDr. Francesco Amato、Dr. Domenico Riccuci、Dr. Pierpaolo Cortellini(3名ともイタリア開業)、Dr. Ueli Grunder、Dr. Francesca Vailati(ともにスイス開業)らが登壇し、10周年記念大会を盛り上げた。 Dr. Amatoは抜歯即時インプラント埋入のオリジナルの手法を紹介。Dr. Riccuciは福西氏がファウンダー講演で挙げた歯髄診断の質問に対しての回答を示した。Dr. Cortelliniはマイクロスコープを用いた低侵襲手術の利点を列挙し、骨縁下欠損に対して歯周組織再生療法を行った症例を供覧した。Dr. GrunderはGBRにおける硬軟組織の重要性について主に解説。Dr. Vailatiは「3ステップテクニック」を紹介し、独自の咬合診査について解説するなど、会場を沸かせた。 本会ではディスカッションも活発に行われ、設立から10年経った現在もなお勢いを増す5-D Japanの熱気を感じた2日間であり、盛会となった。 3月16日(土)、17日(日)の両日、東京ミッドタウンホール&カンファレンス(東京都)において、5-D Japan10周年記念大会(ファウンダー:石川知弘氏、北島 一氏、福西一浩氏、船登彰芳氏、南 昌宏氏)が「世界の潮流と5-D Japanコンセンサス」をテーマに開催され、歯科医師、歯科衛生士ら1,000名以上が参集した。 2日間にわたり、第1ならびに第2それぞれの会場では、船登氏(石川県開業)、福西氏(大阪府開業)、北島氏(静岡県開業)、石川氏(静岡県開海外著名演者5名を招聘、1,000名以上が参集5-D Japan10周年記念大会スペシャルゲストスピーカーらを囲んだ集合写真。口腔がんの早期発見・治療を目指す歯科医師柴原孝彦(一社)口腔がん撲滅委員会代表理事しばはら・たかひこ1979年、東京歯科大学卒業。1984年、同大学院修了。2004年、東京歯科大学口腔外科第一講座主任教授、2015年より同大学口腔顎顔面外科学講座主任教授。現在、(一社)口腔がん撲滅委員会代表理事も務める。口腔がんの認知度を上げ、国民のセルフチェック体制を構築したい タレントの堀ちえみさんが「舌がん ステージ4」と診断され、主要メディアが一斉に報じたことは記憶に新しい。舌がん(口腔がん)の情報提供や、ゲートキーパーである歯科医院の対応は万全だったのだろうか。本欄では、口腔がん治療・研究の第一人者であり、(一社)口腔がん撲滅委員会の代表理事を務める柴原孝彦氏(東京歯科大学教授)にお話をうかがった。柴原:(一社)口腔がん撲滅委員会(以下、本会)は、2017年2月に設立しました。本会の活動の目的は、①日本の口腔がん死亡率(46.1%:2013年)を米国並み(19.1%:2013年)にすること、②日本の口腔がん検診および口腔検診の受診率(2%)を欧米並み(80%)に向上させること、③日本全国の各地域における歯科医療の病院連携の実現を果たすこと、④日本全国の歯科医院にて口腔がん早期発見の仕組みを普及させること、⑤その結果、歯科医療の価値を欧米並に向上させること――の5つです。 堀 ちえみさんの口腔がんの報道は、歯科界だけでなく社会にも激震を与えました。「口腔がん」はめったに遭遇しない稀な疾患ではありません。日本では毎年3,000人を超えるかたが口腔がんによって命を落としていて、罹患者数は40年前と比較すると3倍以上に増加しています。口腔がんは、がんでない病変の粘膜疾患を経てがん化する特性を考慮し、潜在的な悪性疾患も含めれば、この種の病変に遭遇する機会はさらに増加します。 これらの粘膜疾患の早期発見の役割はだれが担うのでしょうか。口腔がんの第一発見者は、開業歯科医院の歯科医師と歯科衛生士であり、歯科医院で救える命があるのです。 全国に約7万軒ある歯科医院、約10万人の歯科医師と、歯科医院に就業している約11万人の歯科衛生士という一口腔単位を管理する方々の役割は非常に大きいわけです。口腔がんを疑う目をもち、何らかの異常を発見した場合に速やかに地域基幹病院の専門医と連携するような仕組みの構築と合わせ、口腔がん検診活動の実施や参加していただくことが、口腔がんの予防や早期発見に対する大事な対策と考えています。口腔がん検診の必要性を訴えている歯科医師会もありますが、全国747郡市区歯科医師会の中で約2割とけっして多くありません。歯科医療力を示すためにも、一口腔単位を守るためにも一般開業歯科医院は口腔がん対策を考えていただきたいと思います。 口腔がんは、早期発見によって速やかに治療が施されれば95%以上の治癒率を得ることができます。医療法に基づく診療領域に職責をもち、口内炎や粘膜疾患の病態を理解し、「口腔がん難民」を発生させないような適切な患者さんへの対応が望まれます。 本会は、口腔がんの認知度を上げ、国民のセルフチェック体制を構築すること、そして第一発見が一般開業歯科医院であるという現状から医療従事者の責務と意識改革を喚起すること目指し、活動してまいります。ドイツ・クインテッセンス社のブースの様子。 今月のニュース海 外16万名以上が世界の歯科の最新潮流を体感IDS2019(国際デンタルショー) 3月12日(火)から16日(土)の5日間、ケルンメッセ会場(ドイツ・ケルン)において、38th International Dental Show(IDS2019、ケルンメッセ/GFDI〈歯科産業振興協会〉主催)が開催された。 2年に一度開催される本デンタルショーは、世界の歯科のトレンドを占うとされるということもあり、前回を上回る166ヵ国から16万名以上の歯科関係者が参集。また、出展企業は64ヵ国から2,327社、展示面積は170,000m²に及び、世界最大規模といわれる本デンタルショーは世界中から注目を集めた。 前回より規模が拡大された会場内の各社ブースにおいては、各社が今回初めて発表する最新の機器や材料などの展示や実演に注力しており、日本でも注目されているデジタルデンティストリー分野に高い関心が集まっていることが感じられた。特に口腔内スキャナーでは、アップデートによる光学印象処理の高い精度・再現性はもとより、データから隣接面のう蝕診断が可能な製品も発表されるなど、大きな注目を集めた。また、AIを活用した治療シミュレーションソフトや、MR技術を活用したインプラント治療をナビゲートする機器まで多岐にわたり、歯科医療のデジタル化はますます加速することがうかがえた。その他、予防歯科関連のブースでは、前回同様歯科衛生士を中心に長蛇の列ができ、最新のメインテナンス製品に多数が詰めかけ、こちらも盛況となっていた。 次回はきたる2021年3月9日(火)から13日(土)の5日間、同会場において開催される予定。

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