新聞クイント2019年7月(お試し版)
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2019年7月10日(水) 第283号2 今月のニュース社 会たちに述べた。 その後、青山知代氏(元三島市行政歯科衛生士)と野村佳子氏(同校歯科衛生学科専任教員)が登壇。行政の歯科や歯科衛生士教育におけるフッ化物応用の現状を語った。また、荒川浩久氏(神奈川歯科大学特任教授)が「フロリデーション入門」の演題で講演。う蝕予防におけるフッ化物のエビデンスレベルや局所応用と全身応用の違いにはじまり、「歯科口腔保健の推進に関する法律」でのフッ化物の位置づけ、世界における水道水フロリデーションの実施状況、現実に自治体で導入する際の推定コストなどについて詳説した。 さらに、「むし歯予防の国策」と題して熊野正士氏(参議院議員、医師)が登壇。費用対効果にすぐれた水道水フロリデーションを推進することを、新たに設けられたワーキンググループで検討中であると述べた。 最後には、児童虐待問題に取り組んでいる川越元久氏(神奈川県開業)は、ネグレクトを受けている子どもたちへの水道水フロリデーションの有用性について解説した。 5月18日(土)、学校法人鈴木学園・専門学校中央医療健康大学校(静岡県)において、認定NPO法人ウォーターフロリデーションファンド総会記念講演会(浪越建男理事長)が「効果的むし歯予防の基礎の基礎“水道水フロリデーション”」をテーマに開催され、同校生徒を中心に約80名が参集した。 開会の挨拶で浪越理事長(香川県開業)は「水道水フロリデーションについて学生のころから正しい知識を得ることで、一生活かせる知識をもってもらいたい」と、会場の歯科衛生士の卵総会記念講演会を開催ウォーターフロリデーションファンド講演を行う荒川浩久氏。日本歯科医学会の「顔」住友雅人日本歯科医学会会長すみとも・まさひと日本歯科医学会会長。日本歯科大学名誉教授。2016年4月、(一社)日本歯科医学会連合理事長。2018年4月、(一社)日本歯科専門医機構理事長。国民に信頼される団体として存在感を示したい 日本歯科医学会の第100回臨時評議員会の会長選挙で4選を果たした住友雅人氏。6年間にわたり、学会のトップとしてつねに先を見据えた学会のあるべき姿を描きながらバックキャストして成果を出す会務運営が支持された結果だろう。氏が考える4期目のビジョンについてうかがった。住友:今日、わが国の政府、日本医師会、日本歯科医師会、日本歯科医学会は健康寿命の延伸をスローガンに掲げています。人口急減・超高齢化の時代に突入し、高齢者を支える世代の減少が社会問題として叫ばれています。その対策として元気な高齢者を増やし、医療費や介護費支出を少なくしようという目標があります。それだけでなく労働力不足の解消や、社会における戦力として活用する目的もあります。現在、私は74歳ですが、70年の歴史ある日本歯科医学会において、現在の健康寿命の平均72歳を延伸している高齢者を、会長として学会運営に従事させることは、まさに社会が目指すスローガンの実践に他なりません。 私はこれまで日本歯科医学会の舞台で、口腔健康管理のもと、ライフステージに応じた口腔機能管理の事業を粛々と推進してまいりました。その成果は、平成30年度診療報酬改定において、ライフステージのもとに連携した形での口腔機能管理として、2つの新病名が導入され、公的保険のもとで国民は医療として利用できるようになりました。これは6年間の大きな事業目的でした。これらの概念が国民の中でますます醸成されるように、引き続き貢献してまいります。 また、平成25年7月に初めて学会会長に就任し、立候補時の公約であった法人格を有する学術団体として、平成28年4月に「日本歯科医学会連合」(以下、学会連合)を立ち上げました。この学会連合設立の大きな目的の1つは(一社)日本医療安全調査機構の法人社員となることと、平成30年4月に設立した(一社)日本歯科医療専門医機構(以下、機構)の法人社員になることでした。 学会連合では法人格が必要とされるこれらの活動の継続のほか、行政などからの委託事業の受託推進、その他の関連事業を大きく展開していくことが求められます。また、機構は登録された歯科専門医および各学会の専門医制度を継続的に監督するとともに、継続的に質の向上を求めるためにそれらを支援することが、その役割と考えています。専門医制度については規程などの承認をいただける段階であり、まもなく機構認証を開始し、学会認定歯科専門医を社会に知らせることができそうです。 本年7月からも学会会長として務めさせていただきます。次期の大きな仕事の1つは、さまざまな立場の方々とかかわりながら関係者と十分に検討し、分科会間の横糸づくりをますます加速させていくことであり、学会の大きな使命であると考えています。国民に信頼される団体として存在感を示せるように、多職種、他職種と連携を取りながら日本歯科医学会の役割が明確になる体制づくりを目指してまいります。João Caramês氏の講演の様子。 今月のニュース企 業「新しい可能性への招待―患者のために―」をテーマにStraumann FORUM 2019 5月18日(土)、19日(日)の両日、東京国際フォーラム(東京都)において、Straumann FORUM 2019(ストローマン・ジャパン株式会社主催、嶋田敦代表取締役社長)が「新しい可能性への招待―患者のために―」をテーマに開催された。会場には約2,000名の参加者が集まり盛況となった。 開会の挨拶では、嶋田氏とMarco Gadola氏(Straumann Group CEO)が登壇し、インプラント業界の現状および今後のストローマングループの方針について語った。 その後、Straumann Pro Archと題したセッションが行われ、João Caramês氏(リスボン大学教授、ポルトガル開業)が無歯顎患者に対するインプラント治療について講演した。無歯顎患者の顎骨を前歯部と臼歯部の骨吸収の度合いに応じて5つのクラスに分類する考えを紹介し、クラスに応じた治療術式を解説した。解説の中で、傾斜埋入の予知性やモノリシックなジルコニアのフルアーチの補綴装置の偶発症などについて文献的検証も行った。最後に「インプラント治療は患者のQOL、安寧、幸福を得ることが重要であり、診断・計画・実行を正しく行うことが成功の道である。そのためにも術者は間違いから学ばなければならない」と日本の歯科医師に向けてメッセージを送った。 その他にも審美治療、無歯顎治療、ガイデッドサージェリーなどのインプラントにかかわる講演をはじめとして、クリニックマネジメントや矯正治療の講演も行われた。また、ITI Section Japan 認定教育講座も行われ終日活況を呈した。

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