新聞クイント2019年8月(お試し版)
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2019年8月10日(土) 第284号2 今月のニュース学 会 歯科のさまざまな分野における基礎ならびに臨床研究の最新知見が発表される本会では、4日間にわたりシンポジウムや口演発表、ポスター発表などが約4,000演題行われ、参加者同士で活発な情報交換が行われた。 初日の最後には、Opening Ceremonies & Awards Programsが開催され、IADR、AADR、CADRの関係者らによる挨拶などが行われるとともに、関連する各賞の授賞式が行われた。なかでも、“IADR Distinguished Scientists Awards”では、水口俊介氏(東京医科歯科大学教授)が“Award in Geriatric Oral Research”を受賞。また、永田 瑞氏(米国・ミシガン大学)が“AADR Hatton Award”を受賞した。 2日目の夜には、株式会社ジーシー主催による“Japan Night Reception”が、3日目の午後には、株式会社松風主催による“Industry Sponsored Symposium”が開催され盛会となった。 次回大会は、きたる2020年3月18日(水)から21日(土)の4日間、米国・ワシントンにおいて開催予定。 6月19日(水)から22日(土)の4日間、Vancouver Convention Centre West(カナダ)において、97th General Session & Exhibition of the IADR(International Association for Dental Research)、48th Annual Meeting of the AADR(American Association for Dental Research)、43rd Annual Meeting of the CADR(Canadian Association for Dental Research)が開催され、世界70か国以上から約5,000名が参加し盛会となった。世界70か国以上から約5,000名の研究者らが参集2019 IADR/AADR/CADR4日間にわたって約4,000演題が発表された。IADR補綴学研究グループDirectorに就任した金澤 学東京医科歯科大学大学院助教かなざわ・まなぶ2002年4月、東京医科歯科大学歯学部卒業。2006年3月 、同大学大学院医歯学総合研究科全部床義歯補綴学分野修了。2008年4月より東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野助教。世界の歯科補綴学分野の発展に貢献したい International Association for Dental Research 2019(以下、IADR)には、世界70か国以上から約5,000名が参集した(下段にニュース記事を掲載)。本大会には大学の研究者を中心に数多く参加し、日本人の若手研究者も各分野で賞を獲得するなど活躍も多く見られたようだ。本欄では、その1人としてこのたびIADR補綴学研究グループのディレクターに就任した金澤 学氏(東京医科歯科大学大学院助教)にお話をうかがった。金澤:今回、IADRのProsthodontics Research GroupのDirectorを2年間務めることになりました。IADRの日本人の会員数ならびに学会参加者数は年々増えていますので、日本の歯科補綴学領域の若手研究者が少しでも世界の舞台で活躍できる橋渡しができればと考えています。 IADR補綴学研究グループには、①Arthur R. Frechette Awards、②Neal Garrett Clinical Research Prize、③The Pre-Prosthetic Re-generative Science Award for Young Investigators――という3つの賞があります。①と②はいずれも若手研究者を顕彰する目的で設けられています。③は補綴学研究グループと日本補綴歯科学会の後援によって制定されており、このたび私が佐々木啓一先生(東北大学教授)の後任として選考を担当します。またディレクターとして、若手研究者にできる限りIADRに参加していただけるように、ポスターや研究発表だけでなく臨床に即したシンポジウムやプログラムなども考えていきたいと思っています。 日本の歯科補綴領域ではすでに世界をリードする研究を行っています。特に私の研究分野である高齢者歯科領域は、超高齢社会を迎えた日本が世界に発信できる最先端の分野であり、臨床現場においても有床義歯補綴のニーズは非常に高まっています。また、アジア諸国では高齢者分野に関心が高いので、この分野で日本がリーダーシップをとれるチャンスと考えています。 私は歯科医師となり17年目に入りましたが、いまだに総義歯症例は難しく、その一方で新しい発見もあります。特に有床義歯補綴診療をはじめとする歯科補綴領域は、ややもすれば職人の技というイメージがあり、臨床現場においても名人とよばれる臨床家の先生方がいます。歯科の果たす役割に注目が集まるなか、その名人の技とよばれる技術やテクニックを系統立てて論理的に学べる学問として広めていくことが、私たち大学の研究者としての役割だと思っています。たとえば私の研究対象でもあるデジタルにおける全部床義歯製作のCAD/CAM化については、義歯製作の均質化に期待が寄せられているように、基礎研究だけでなく臨床に即した研究、そしてエビデンスの蓄積が必要です。 今回の就任によって、若い先生方が少しでも興味をもっていただけるような領域にしたいと考えていますし、日本の研究者が世界で注目されるように微力ながら貢献したいと思っています。Distinguished Clinician Awardに選出された小野善弘氏(写真左)。 今月のニュース企 業第13回PRD国際シンポジウム、約2,300名で盛会Quintessence International Publishing Group 6月6日(木)から9日(日)の4日間、Boston Marriott Copley Place(米国)において、第13回PRD(Periodontics &Restorative Dentistry)国際シンポジウム(Quintessence International PublishingGroup主催、米国歯周病学会共催、Dr. Myron Nevins、Dr. Marc L. Nevins大会長)が「Periodontal, Restorative Dentistry,and Implant Therapeutics」をテーマに開催され、約2,300名が参集した。 1983年から3年に一度開催される本会は、歯周、補綴、インプラント治療の最新動向に関するプログラムで構成されている。今回も世界各国から招聘された研究者・臨床歯科医師87名により、13題のセッションと6題のワークショップが行われた。 各セッションでは、デジタル技術の進化にともない、さらに綿密さを実現できるようになった顎口腔領域の審美的治療や、生体材料工学的・生物学的知見に基づくインプラント治療あるいはインプラント周囲炎のマネジメントと改善、ジルコニアなどの補綴材料の最新動向と臨床について講演された。そのほか、アプライアンスと歯科矯正用アンカースクリューを用いた治療を含む成人矯正歯科治療のセッションも設けられ、聴衆は国際的に著名な演者らの講演に耳を傾けていた。 また、石川知弘氏(静岡県開業)、中家麻里氏(大阪府開業)、岩田光弘氏(岡山県開業)、船越栄次氏(福岡県開業)の日本人演者の講演も好評を博していたほか、すぐれた臨床歯科医師へ授与されるDistinguished Clinician Awardに小野善弘氏(The Japan Institute for Advanced Dental Studies:JIADS顧問)らが選出され、授与式が行われた。

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