新聞クイント2019年9月(お試し版)
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2019年9月10日(火) 第285号2 今月のニュース学 会と難しいこと」では、近藤尚知氏(岩手医科大学教授)、丸尾勝一郎氏(東京都開業)、松浦賢治氏(ケン・デンタリックス)、「lateral Ridge Augmentation」と題し、Avi Schetritt氏(米国開業)によるインプラントにおける教育的な講演が行われた。 また、シンポジウムでは「近未来の歯科医療:歯科再生医療の可能性」をテーマに、庵原耕一郎氏(国立長寿医療研究センター)による歯髄幹細胞を用いた歯髄・象牙質再生治療と今後の展望、岩田隆紀氏(東京医科歯科大学教授)による歯根膜組織由来間葉系幹細胞シートを用いた臨床研究、辻 孝氏(国立研究開発法人理化学研究所)による次世代歯科治療としての歯の再生について、基礎的および臨床的な講演が行われた。 特別講演では「オーラルフレイル:健康寿命の延伸」をテーマに、鈴木仙一氏(神奈川県開業)が海老名市歯科医師会会長として推進してきた海老名スタディから56%もの患者がオーラルフレイルから脱却できたことを報告し、注目を集めた。 7月13日(土)、14日(日)の両日、東京医科歯科大学M&D タワー鈴木章夫記念講堂(東京都)において、2019年ICOI(International Congress of Oral Implantologists)日本支部総会・学術大会(春日井昇平大会長、嶋田 淳理事長)が「インプラント治療と歯科医療の未来」をテーマに開催された。 資格更新セミナー「インプラント治療と咬合」では、西川洋二氏(神奈川県開業)、波多野尚樹氏(埼玉県開業)、「デジタル技術の現状と未来:可能なこと「インプラント治療と歯科医療の未来」をテーマにICOI日本支部総会・学術大会開会式で挨拶する大会長の春日井昇平氏。国際口腔インプラント学会(ICOI)の「顔」鈴木仙一神奈川県開業すずき・せんいち1984年、日本大学松戸歯学部卒業。2000年、日本大学松戸歯学部歯学博士取得。現在、(一社)海老名市歯科医師会会長、日本大学松戸歯学部臨床教授のほか、要職多数。2019年8月より国際口腔インプラント学会(ICOI)世界会長に就任。インプラント治療が全身の健康に寄与できることを今以上に発信していきたい ICOI(International Congress of Oral Implantologists)は1972年に設立された25,000名以上の会員で構成されている世界最大規模のインプラント学術団体である。このたび、インパクトファクターをもつ雑誌の学会会長にアジア初となる鈴木仙一氏(神奈川県開業)が就任した。世界の学会の会務運営を任された氏が思い描くビジョンとは――。本欄では、世界会長にかける思いをうかがった。鈴木:ICOIは、すべての患者さんにより良い歯科治療を提供するため、歯科医療従事者のインプラント教育に努めています。また、世界歯科連盟(FDI)の加盟団体であり、世界最大規模のインプラント学術団体であると同時に、インプラントの生涯学習を提供する最大の教育機関としての役割も果たしています。 会員は研究者、大学教員、一般歯科医、歯科領域における各専門医、歯科矯正医、歯科技工士、歯科衛生士、歯学部生、卒後研修医、歯科業界の代表者など幅広い領域にわたっていて、会員数は年々増加しています。 学会誌は、専門家による評価と医療科学・技術を重要視し、厳格に評価された臨床結果の論文を掲載してきましたが、2018年からはクインテッセンスインターナショナルと連携し、『International Journal of Oral Implantology』が学会誌となりました。本年のインパクトファクターは「2.8」と一気に上昇し、世界16位となっております。 アジアの中から世界会長に就任することは初ですので、たいへん身の引き締まる思いです。これまでのICOIの実績を維持するとともに、よりいっそう学会の方針に賛同していただける先生方を増やしたいと思います。特に日本においては、2016年11月よりICOI本部直轄の法人組織として、嶋田淳初代理事長(明海大学教授)のもと一般社団法人 ICOI 国際口腔インプラント学会日本支部が設立され、さる7月には2019年ICOI日本支部総会・学術大会が盛大に開催されました。 また、高齢化の世界最先端を走る日本は、歯科の果たすべき役割として発信すべき情報の1つにオーラルフレイルがあります。飯島勝矢先生(東京大学高齢社会総合研究機構教授)を中心に行った柏スタディーでは、オーラルフレイルが引き金となり、全身のフレイルに陥ることが明らかになりました。私自身も神奈川県歯科医師会ならびに海老名市歯科医師会、海老名市のご協力のもと海老名スタディーを推進してまいりましたので、インプラント治療が全身の健康に寄与できることを今以上に発信していきたいと思います。 最後に、私のような一般開業医でも世界の学会の会長になれるということは、すべての人にチャンスがあるということです。世界会長をとおして、世界の国々の方々と友情を深めていくとともに、インプラント治療をとおして会員の皆様の世界交流が広まることを願っています。記念式典で挨拶する尾﨑哲則氏。 今月のニュース学 会第60回総会・学術大会、60周年記念式典が成功裏に終幕日本歯科医療管理学会 7月13日(土)から15日(月)の3日間、日本大学歯学部本館創設百周年記念講堂(東京都)において、第60回日本歯科医療管理学会総会・学術大会(尾﨑哲則大会長・理事長)が「新しい時代の歯科医療管理―“いま改めて”安全安心信頼の地域と繋がる歯科医療―」をテーマに開催され、盛会となった。 本大会では、シンポジウム、特別講演、口頭発表、ポスター発表などさまざまなプログラムが組まれた。まず、開会の挨拶に立った尾﨑大会長(日本大学教授)より、本学会の前理事長で本年2月に急逝した白圡清司氏の功績が称えられるとともに、その遺志を引き継いでいくことの重要性、本学会の今後の展開について述べられた。 シンポジウム1「歯科医院運営に役立つこれからの歯科診療報酬制度のあり方を考える―令和2年診療報酬改定に向けて考えておくこと―」では、小塩 裕氏(日本歯科医療管理学会医療保険検討委員会・副委員長)の座長のもと、高橋義一氏(同・委員長)、小野清一郎氏(同・委員)、上條英之氏(東京歯科大学教授)が講演。本年10月の消費税増税、次期診療報酬改定における影響などについて解説された。 シンポジウム2「地域医療の今後のあり方―さまざまな事例から考える―」では、全国平均より高齢化率が高く、歯科へのアクセスも悪い地域の現状および課題、地域包括ケアのあり方について活発な議論が交わされた。 また、60周年記念式典も開催され、住友雅人氏(日本歯科医学会会長)、田口円裕氏(厚生労働省医政局歯科保健課長)らによる来賓挨拶などが行われた。

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